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壊すべきもの、救えなかったもの

喉の奥から血の味が滲む。ステルンは唇を噛み締め、傷ついた体に鞭を打って進んでいた。


彼女の両腕は既に乾いた血で固まり、コートは破れ、脚を引きずっている。それでも進む。2基目の爆弾は破壊した。次が最後の一基。遅れは許されない。


「……時間は、まだ……ある」


呟きながら、ステルンは目の前のエイリアンの群れに向かって駆けた。裂帛の気合と共に右手を振る。虚空が歪み、鋭い断裂の音が響く。


――世界のヴェルトクリーゲ


重力ベクトルをねじ曲げる彼女の能力が、押し寄せる敵を次々と切り裂いていく。血ではない異形の液体が飛び散る。だが、ステルンの呼吸は荒く、傷の痛みが徐々に意識を鈍らせていった。


そんな折、戦場の中で異様な光景が目に映った。


「……ッ!」


瓦礫の影、破壊された建物の隙間に、小さな体が震えている。子ども。その隣に腕を広げ、庇うように立つ父親。必死に助けを呼ぶ母親。


「逃げて……!」


ステルンは咄嗟にそちらへ駆け出した。しかし、間に合わなかった。猛然と襲いかかったエイリアンの一団が、家族を一瞬で飲み込んだ。


悲鳴が、断末魔が、静寂を裂く。


ステルンは足を止めた。何かが崩れ落ちたような顔をして立ち尽くす。拳が震えていた。唇が噛みしめられ、血が滲む。


「気づくのが遅れた……救えなかった」


背後からまた別のエイリアンが迫る。しかし、彼女は振り返ることなく、拳を握りしめて再び前を向いた。


そのとき、上空に青白い光が揺らめいた。あのネームドエイリアン――ゼクス=マギィアのホログラムが出現する。


『よくやったな、ステルン・シュナイダー。お前は既に二つの爆弾を破壊した。だが、その間に、我々は新たな"演出"を仕込んでおいた』


声は嘲るように響く。


『逃げ惑う人間たちは、我々の誘導によって最後の爆弾がある区域に自然と集まっている。面白いだろう? 人間たちが自ら破滅へと進んでいるのだ』


ステルンの顔が引き攣った。目が見開かれ、次の瞬間、憤怒と焦燥が交錯する。


「……殺す気か。市民を」


痛みを忘れたように体を動かすステルン。だがその行く手を阻むように、大地が揺れ、エイリアンたちが蠢き始める。


多数のエイリアンが融合し、巨体を形成していく。全高5メートルを超える異形の怪物。皮膚は鋼鉄のように鈍く光り、無数の瞳がステルンを見下ろしていた。


「……ふざけないで」


ステルンが地を蹴った瞬間、融合エイリアンは咆哮を上げ、猛然と殴りかかってきた。裂ける空気。炸裂する衝撃。

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2025/08/18


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