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瓦礫と悲鳴の街

午前十時。

 ナイジェリア・アブジャの空は、朝から少し曇っていた。

 市場は今日も活気にあふれ、私はいつものように果物を並べていた。

 隣の店の奥さんが笑いながら値切り交渉をしている。

 遠くでバイクのクラクションが鳴り、屋台の鉄板で肉が焼ける音が心地よい。

 ゆるやかで、穏やかな、毎日と変わらない風景だった。


 その時だった。

 耳の奥に、聞いたことのない「裂ける音」が響いた。

 空が――裂けたのだ。

 太陽の近くに黒い縦線が現れ、そこから巨大な影が引きずり出されるように落ちてくる。

 人々が次々に立ち止まり、叫び、指差す。


「なんだあれは!?」

「飛行機か? いや、違う……!」


 私は思わず頭上を見上げた。

 塔だ。

 ありえない、街を貫くほどの巨塔が、雲を切り裂いている。

 大地が揺れ、果物の山が崩れ、耳鳴りの中で誰かが悲鳴を上げた。


 ――そして、それは塔の周囲にいた。


 黒い甲殻、長い尾、光を反射する鱗。

 人間のように直立し、しかし人間ではない。

 ゆっくりと歩み出たその生物の足音だけが、やけに鮮明に聞こえた。


「来る……来るぞ!!」


 最初の犠牲者は、逃げ遅れた若い兵士だった。

 尾が一閃した瞬間、彼は吹き飛ばされ、血の霧が宙を舞う。

 誰かが泣き叫び、誰かが地面に崩れ落ちる。


 私はその場に立ち尽くしてしまった。

 脳が現実を拒絶する。

 市場の果物が踏みにじられ、店の看板が引き裂かれ、人の形をしたものが血を流して倒れていく。

 耳に届くのは、恐怖で潰れた悲鳴と、金属を打つような甲高い音だけ。


「逃げろ!! こっちだ!!」


 誰かが私の腕を引っ張った。

 だが、その瞬間、黄金の瞳と目が合った。

 エイリアンのひとりがこちらを見ていた。

 足がすくみ、息が止まる。

 人間を獲物としか思わぬ視線。冷たい狩人の目。


 やつが一歩、こちらへ踏み出した。

 尾が低く唸り、鋭い爪が光る。


(来る……来る……!)


 視界の端で、逃げようとした女性が一撃で倒れた。

 肩口から血が噴き、彼女は声もなく崩れた。

 その隣にいた少年も、引き裂かれて瓦礫の影に消える。


 私は足が震えて動けなかった。

 逃げなきゃ……逃げなきゃ……頭では分かっているのに、体がいうことをきかない。

 恐怖で膝が抜け、地面に尻餅をつく。


 エイリアンの黄金の瞳が細められた。

 次の瞬間、あいつは跳んだ。

 爪が獲物を捉えようと振り下ろされる。


(……ああ、ここで私の人生は終わるんだ……)


 胸の奥で、そんな諦めの言葉が静かにこだまする。

 私は目を閉じた。

 耳をつんざく風切り音と、迫る死の気配――

 雨も風もないのに、全身が冷えきった。


 ――そして、その瞬間。


 閃光のような音が近づいてきた。



ランキング上位入りを目指してます。

続きが気になる方は、ブックマーク、評価をお願いします。


※メモ帳で書いてから、コピペで「なろう」に投稿してるのですが、私、細かい反復作業が苦手でして、どうやら同じコピペを複数話に渡って投稿してたようです。(汗)


執筆のするのに話の整合性を確認するために、過去の話を読み直してた、らミスに気が付きました。


お手数ですが、同じ話、話の連続性が飛んでいる場合、私のコピペミスの場合がありますので、報告いただけると幸いです。




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