第五話
松永久秀の身体から、一筋の火が走る。
爆薬が怒り狂う獣のように咆哮し、火花が血のように飛び散る。
予定だった。
「寝言は、死んでから言えい」
眠そうな声とともに、ストーンボートの刀が爆薬を体から切り落とす。
松永の目が見開かれる。
「な……にィ……!? 火薬が……!?」
「マジで眠いんじゃ……はよ死ね‥」
ストーンボートの声はなおも眠たげだが、その剣には一片の情も、容赦もない。
松永はなんか急に命が惜しくなってきた。
「ジジィ‥分かった。降参だ。何でもするから助けてくれ」
「何でも‥?じゃ、お主にしか出来なくて今すぐしてほしい事を言うぞい。」
「うん。」
「死ね」
「ちょ‥ジジィ~、そういうんじゃなくて」
「ん?今、何でもするって‥言ったじゃろうが‥」
「死ぬ以外で!ジジィ~!」
「マジで頼むから死んでほしいのぅ‥」
「大仏でも焼くし将軍でも殺すから!何でもしますから!」
「大仏どのを焼くゥ?‥将軍を殺す‥じゃと?‥よくそんなこと思い付くのぅ‥ワシ‥そんな悪いこと出来んよぉ」
「お願いしますジジィ。」
「……ああ、もう限界じゃ。まぶたが重うてたまらん」
ストーンボートは松永を拘束すると地下牢にぶちこんだ。
その頃、柳生宗矩。
「んん……うにゃ……これがエクスカリバー……だめ…抜けん……」
ふかふかの布団の中で、宗矩は眉間にしわを寄せ、夢の中で刀を抜こうとしていた。
部屋の外では、勝敗が決し、静寂が戻っていた。