第三話
爆弾を身にまとい、柳生新陰流の門下生に斬られても決して離れぬ松永軍兵士たち。
「ギギギ…」ガシィィ!
「ヤギュワアアアアアッ!!」ドカァァァン!!
道連れとともに、己をも華やかに散らす。
松永久秀は陶酔していた。
「ビューチフォ~~~~!!砲兵が戦場の神なら、爆弾兵は戦場の芸術!!爆発は芸術ダ!」
彼の目は真夏の火薬庫のように輝いていた。
そのとき、異様な気配。
陣幕の奥、煙を裂いてひとりの老人が現れた。
「ぬふぅ…松永久秀殿とお見受けしたのじゃが…」
腰の曲がった、しかし芯の通った声。
「ジジィ〜〜誰てめぇ!?」
護衛が刀を抜いて間合いを詰める。
「……振ってみい」
「……はぁ? なに言ってんだこのボケ、死にてぇのか?」
「はよ振れ。振らんかい。……なんで振ってくれへんの!!ワシ、忙しいんじゃから!早くゥ!」
「うるせぇマゾジジィがァ!!」
護衛は怒鳴りざま、刺突を見舞うが、
スッ‥
その瞬間、老人は身体をずらし、刀を自らの脇の下でぴったりと挟んだ。
「っ…!」
護衛が一瞬たじろいだ刹那
グシャァ!!
老人は中指と人差し指で護衛の目玉を貫く!
「ぎゃああっっ!」
たまらず刀を離す護衛。
「攻撃してくれんと、殺せんじゃろがい……」
静かに拾った刀で、護衛の素っ首撥ね飛ばす老人。
ズバァン!!
老人の戦闘力に驚く松永。
「お……おまえ、何者じゃァ……?」
老人は返り血まみれのまま、にやりと笑った。
「ワシか?ワシはな……柳生ストーンボートじゃよ」