第十五話
柳生軍およそ11200は亀山で明智軍2700と激突した。
しかし、この亀山‥戦場が狭かった。柳生軍は大軍を展開出来ず、明智軍にとっては有利である。
明智軍は川を渡り、近くに砦を築き渡河点を射撃する作戦。開けた場所での戦闘を避けた。柳生軍は川を登り洪水戦術で砦を洗い流すことに。
数日後、鳥屋尾満栄隊およそ300は洪水に流された。戦死‥。
砦を失った明智軍、ついに覚悟を決め柳生軍に全軍突撃を仕掛ける。
柳生軍も全軍突撃命令を出した。熱い!
「やぎゅわわわー!」
斬っても撃っても湧いてくる柳生軍。狭い戦場に入りきれずに近くの野営地で出番を待っている柳生軍がいくらでも居るのだ。
「こいつらどんだけ居るんだ!」
疲れが見えてきた明智秀満‥。
「植田!気を付けろ」
「?!」
植田光次、上だ!と植田!を聞き間違え戦死‥。
「ああ‥っくそ‥あのハゲをなんとかしろ」
馬場が悪かろうが弓馬に徹する六角義賢。ハゲである。ハゲの六角。裏でハ角と呼ばれている。
しかしここで六角義賢、馬ごと叩き斬られ負傷。あの北畠具教の仕業である。
川の濁流に明智兵が浮かび沈むさなか、両軍の突撃はまさに地鳴りのようであった。
槍と槍が噛み合い、火縄銃の火花が戦場を照らす。
「ぐおおおっ! まだだ、まだ退くな!」
明智秀満は顔を泥と血に塗り、必死に軍を鼓舞した。
そこへひときわ鋭い殺気。
六角義賢を斬り伏せたその刃は、なおも血を求めて舞う。
ただの大軍の中の一武将ではない。戦場に立てば、その存在はすぐさま敵味方の注目をさらう。
「う、うわああっ!アイツは北畠具教だ!」
「一太刀で二人まとめて落とされたぞ!」
剣が風を裂くたび、兵が倒れ、馬が絶叫する。
だが。
「やぎゅわわわわー!」
この怪しい雄叫びが再び戦場を揺らす。柳生軍の予備戦力が押し寄せてきたのだ。
秀満は歯を食いしばり、矢玉の中で叫ぶ。
「ここで退けば、すべて終わりだ!」
兵たちは必死に呼応するが、背後から聞こえるのは仲間の悲鳴と陣の崩れる音。
疲れ切った義賢。
「まだ…死なん!」
血まみれの額から光る反射。まるでハゲ頭が敵を目くらましするが如く輝き、明智軍を一瞬たじろがせた。
「うおっ、眩しい!」
わずかな隙を突いて、柳生宗矩は大喝。
「獲った!もう終わりだ!」
しかし。具教の刃が再び光を放つ。
義賢の刀を弾き飛ばし、地に叩き伏せた。
しかし戦場は依然として明智軍劣勢。
川を背に、兵は退路を失い、柳生の波に呑み込まれてゆく……。
剣豪にしても人の身。
疲労と傷が積み重なり、呼吸は荒く、動きにわずかな鈍りが見え始める。
「北畠を討ち取れ!あの首こそ、この戦のSSSラン武将!」
柳生兵の叫びが戦場を駆け巡る。
四方から押し寄せる敵兵。槍、弓、火縄の火花。
具教はなおも斬り払い突進する。
だが、ついに背後から放たれた矢が鎧の継ぎ目を貫いた。
具教の体が揺れ、大地に叩きつけられる。
「……ぐ、は……」
血に濡れた手でなお刀を握り、立ち上がろうとした。
その姿に一瞬、敵味方の兵が息を呑む。
しかし次の瞬間、柳生宗冬の刀が胸を貫いた。
具教は剣を手にしたまま、泥に膝をつき、天を仰いで崩れ落ちた。
「‥ストーンボートめ…柳生め…」
その声は戦場の轟音に掻き消される。
強すぎる公家の最期は、乱世の濁流に呑まれた。
「まだ終らんっ」
明智光秀‥命からがら亀山城へ逃げ込んだ。




