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あきらめない心

(勝てる! 俺はやれる!!)


 そう自分を奮い立たせ、卓に着く。

 既に3日目なので、店に顔を覚えられ、トニーとは別卓に入れられる。

 今回一発目の同卓はハンチングのような帽子を被った男、休憩時間中と思われるエプロンを付けたおっさん、地味なドレスを着た細い目をした女だった。


(女とは珍しい)


 女性客は終日店にいても5人も見かけない。

 この店で打つのは初めてだ。


(結構独特な打ち方するやつが多いんだよなぁ)


 今までの傾向的に、手が読みにくくて振り込むことが多かった。

 人によっては点数の計算や手自体をまともに覚えていない者も多かった。

 それだけ女性は外に出てうんぬんの世界ではないのだろう。


「りぃち」


 細い目をした女は独特の訛りがあった。


(高くならないのは・・・・・・この辺か?)


 こちらもあと1枚で聴牌なので、降りずにドラ表示の5を切ってみる。

 河を見る限り、456の順番の役だけ危険だが、それ以外は大したことが無い。


「それ、あたぁり~」


 振り込んだ。

 リーチ、一発、裏3。

 女へ40ゴールドの支払い。


(9が3枚切れてるんだが、なんで359の奇数を作らなかったんだ?)


 よくわからん情報に惑わされる。

 シンプルなルールで直線的に打たない理由がわからない。


(わざわざ俺みたいなやつを狙い撃ちにでもしてるのか? 勝つのが至上ではないとなると面倒だな・・・・・・)


 そういう人間が一定数いることはわかる。

 しかし、金を稼ぐことを目的としているこちらにとってノイズはやっかいな存在だ。


「リーチ!」


 俺も負けじとリーチ。

 ドラ表示が増え、ドラ6枚。そこそこでかい手。


「一発、ツモ!」


 裏も2枚とも乗り、子の役満ツモだ。

 金を回収。


(運が来てる。今日は勝てる!)


「りぃち」


 女がまたリーチ。


(オリだオリ! こいつの手を考えるだけ無駄だ!)


 もう勝っているので危険にわざわざ踏み込む必要はない。


「あ、でたぁ。たけぇぞ」


(やらかした・・・・・・)


 女のリーチに気を取られ、ハンチングに振り込んだ。

 赤3枚内臓のドラ6、偶数のみの16点。80ゴールドの払い。


(ダメだダメだ。もうプラマイゼロに切り替えねぇと)


 どうにも調子が狂う。

 そうしてその1戦は終わった。プラマイゼロだった。


「いけめんさん、まだまだだねぇ」


 女はそういって、次の卓へと移っていった。


(くっそ、あいつらグルかよ)


 次戦。


(よっし! プラス60ゴールド)


 ようやく運が向いてきた。

 バシバシ高い手が入り、かなり勝つことができた。


「どうだった?」

「そこそこですね。やっぱりリスクも高いけど」


 今日は2人で200ゴールドほどプラス。


「危険だなぁ。明後日くらいにはパンクすんじゃねぇか?」

「しないといいですねぇ」


 数日後。

 街をでる日が来た。


「さ、次のとこへっと」


 サイコロを転がし、行く場所を決める。

 2。そこそこ遠い場所。

 結果だけでいうと今回のインフレヤラは大勝だった。

 序盤こそ立ち上がりは悪かったものの、滞在費を引いても500ゴールドほど増えた。

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