鉄砲
(覚悟はできてるんじゃい!)
「ルールを教えてくれ!」
「なんだい? 知らねぇのか?」
「まあまあ。よかろう」
牌は13種。3種9枚を手札として扱い、テンパイしたらリーチもありだそうだ。
集めた3種類で得点が決まり、馬、魚、鳥のように特定の3種を集める役もある。
その陸海空の役の横には数字と思われるものがあった。
「役は壁に貼ってある通りだかんね」
(読めねぇし、どうでもいい。アガるまでは振れねぇんだ)
1局ごとに清算。順繰りで親をまわす。
親の概念もあり、あがると1.5倍、金のやり取りになる。
親が振り込んでも1.5倍にはならない。
親はあがっても流れ、全員が親をやるまで続ける。
自分の捨てた牌で人から出あがるのは不可、(フリテン)。
「この店は1点10ゴールド。まさか金持ってないわけないよな?」
「ああ。でも見せはしねぇ」
ポケットに手を入れ、拳を握ってハッタリをかます。
そしてゲームが始まった。
1局目、ベレー帽の親。
(6面サイコロを2つ振って取る山を決める)
麻雀と違って親の1度振りで決めるようだ。
山から2枚ずつ、8枚取り、親のベレー帽がさらに1枚取った。
流石に1枚目で上がるはずもなく、魚の絵が掘られた牌が場に捨てられた。
俺は見やすいように手を整理する。
(魚2枚、ドラゴン2枚、白2枚、剣1枚、槍1枚)
ひとまず、わからないうちは面前で構えよう。
白髪、爺も捨て終わり、俺のツモ番だ。
(これは・・・・・・盾か?)
ツモったのは盾。
騎士の持つような大盾だ。
(役一覧には盾3枚、槍3枚、ドラゴン3枚というのがあるが・・・・・・)
竜と騎士と思われる役までは遠い。
ここはツモ切るしかない。
そのまま盾を捨てる。
次順、
(よし。魚3枚目だ)
またしばらくして、
(ドラゴン3枚目! 白でテンパイだ)
上がる手前まで手ができた。
残りの山はちょうど1列くらい。
ベレー帽の場に1枚、白が出ているが、麻雀と同じなら1枚はどこかにあるはずだ。
「リーチ」
親で隣のベレー帽がリーチをかける。
ツモられたり振り込んだが最後、俺は海の藻屑となるだろう。
(頼む・・・・・・)
俺は安パイの槍をツモ切り。
すると白髪から白が捨てられた。
「それだ! あがりだ!」
俺はロンし、事なきを得た。
「12点。ほらよ120ゴールド」
札を1枚と小さなコイン2枚が俺に寄越される。
受け取り、ズボンのポケットにねじ込む。
次は俺の親。
上がれればデカい、1.5倍のターン。
しかし、攻める気は毛頭ない。
もし12点以上取られたら金が足りないから当然だ。