洞穴ホテル
「すごいねぇ」
今日泊まるのは、洞窟を舗装したホテル。
そこかしこに横穴が開いているらしい。
この辺りでは観光目的での宿泊客でいっぱいになるという。
お値段も1人10ゴールドと、とてもリーズナブル。
「このホテルは、宝石を掘った跡地を活用しているんですって」
きちんと扉には鍵もついている。まあやろうと思えば蹴り壊せる木のドアだが。
トイレは当然外。
ベッドに小物置きという簡素な宿。
「ちょっと暑いな。窓もねぇしよ」
「ああ、あれはそういうことか・・・・・・なんか30分扇いでもらえるサービスが6ゴールドって書いてます」
「その間に気合で寝ろってか。よく考えるなぁ、寝ちまえば気にならねぇ暑さだしな」
「寝る前にちょっと頼んでみますか」
「んだな」
ということで、夕食を食べ、カウンターでサービスを頼んだ。
「・・・・・・」
部屋に来たのは、でかい扇をもった女性が2人。
しかもその恰好は、ビキニのような相当にきわどい煽情的な恰好をしていた。
俺たちの性欲が消失していなければ危なかっただろう。
(トニーもやっぱり興味なさそうだしな・・・・・・)
「ゆっくりお休みなさってください」
黒い髪のほうが胸を揺らしながら扇いでいる。
(こりゃあ襲い掛かって別料金みたいなやつだぞ)
髪が風に揺れ、だんだんと睡魔に取り込まれていく。
気が付くと彼女たちは消え、翌朝らしかった。
「・・・・・・お金とか取られてないかい?」
「もちろん、平気ですよ」
俺たちは念のため財布をパンツの中に隠しておいたのだった。
「よく寝た。というか急に寒いくらいだな」
「ですね。朝は冷えるんでしょう」
今のところ治安もよし。
少し高い気温と、物価が高いところがこの国の不満点。
「農場もデカいねぇ」
以前の場所とは規模が段違いだ。
育てているものも、比較的気温が高くても育つ作物だ。
一番広く場所を取っているものは"トマト"。
どういう育て方をしているのか、まだ緑色のものと、既に熟しているであろう真っ赤なものがすぐ横の列に並んでいる。
「牛もいるねぇ」
「こういう場所の牛って金貨と同等っていう価値でしょう? あんまりちょっかいかけないようにしましょ」
撫でに行こうとした俺はトニーにたしなめられて中断する。
「こっちは・・・・・・豆っぽいな」
さらに少しばかり歩くと、目の前に広がっているのは豆畑。
大きさは大豆と同じくらい小粒。
「何の豆かはわからねぇけど、すごい広さだな」
「これで家畜を育ててるとかなんですかねぇ?」
ということで、昼飯。
今日の宿の予定はもう少し先の村だが、手前にあった休憩どころのような飯屋で昼食だ。
簡素なあばら屋から美味そうな匂いが漂っている。
「この匂いの食べ物はなんですか?」
「牛肉と豆のスパイス炒めですね」
「じゃあそれを2つ」
2人掛けのテーブル席。
出てきた飯は、たくさんの豆の乗った皿だった。
独特の香辛料のいい香り。
甘じょっぱい味付けだ。
「美味しいねぇ」
「牛肉もホロホロに煮込まれて美味いです」
「日差しがきついし、次におおきな街に行ったら折りたためる帽子でも買おうぜ」
満腹、満腹。
そのあと歩くこと3時間。
村へ着いた。




