事前予想
「C席は10ゴールドと安いんですが、席は固いし、狭いし、トイレは汚いし、あまりオススメしません」
「B席のほうがいいと思います。B席の階層には食堂もありますし、階層専属の掃除人が付きますので綺麗です」
「ところでK席って?」
「Kはキング。王族用です。時価ですが1万ゴールド以上する席ですね」
「僕たちには到底縁がないですね・・・・・・」
というのが昨日の帰りのやり取りだった。
「おお。快適そうだな」
「倍額なだけありそうですね」
ただ木製の椅子に座っているだけの外の無料席と違い、クッション材入りの椅子だった。
簡素なテーブルも1人に1つある。
席数も200かそこら。
「メインレースは割れてるなぁ」
「4頭に人気が分かれてるんですね」
新聞の事前予想を見ると、メインの9レースは、カッパー特別賞。
その人気はバラバラで4頭が競り合っているようだった。
「まあ人気どころが絶対来るわけじゃあねぇから」
「にしても1頭くらいは馬券に絡むでしょう? これはすごい難しいな・・・・・・」
ちなみに、こういった競馬ではメインレースが最終レースではなく、最後に取り返すようにもう1レース設けられていることが多い。
例にもれず、このエイチホメ競馬場もそうだった。
「まずは序盤の障害戦。4レースまででプラスを出してぇなぁ」
財布を取り出して、今日の軍資金を確認。
100ゴールド札と小銭。
荷物は宿に置いてある。
「おういトニーこれはなんだい?」
「これは、疾病により取り消しって書いてあります」
数字はともかく、文字が完全に読める訳ではないので、謎の文字は全てトニーに逐一聞いている。
「こりゃ割引き評価だな」
俺は新聞に印を打つ。
△マーク。
「馬体重とかわかんねぇのかな?」
「まあ体が大きいかどうかで判定じゃあないですか?」
「でも詳細なやつ持ってるはずなんだよ。クラス分けがあるんじゃないかったか?」
双眼鏡なんてものは無いので、目の前に指で輪っかを作って見る。
誤差レベルだが、目がよくなる感じがして昔からよくやっていた。
「今日の昼食はハンバーグとマッシュポテトです」
「いただきます」
混む前に早めの昼食。
アツアツのプレートにハンバーグが乗っている。
フォークとナイフで切り分け、口へと運ぶ。
ソースは野菜のうまみあふれる塩味たっぷり。
米のかわりにマッシュポテトで腹を膨らます。




