B級指定席
「マイさん、判定のときってどうなってるんですか?」
「覆面で見えませんが、馬の額あたりに魔石が付いています。それで到達順がわかります」
「へー、写真判定はなくてもそんな技術が」
「写真?」
「いや、こっちの・・・・・・」
「それでごまかされませんよ! なにか面白い技術を知っているでしょう!?」
「旅をしてる道中で見たんだよ、理屈はわかんねぇけど、その光景を紙に写せる技術が」
マイからの質問を嘘半分でかわそうとする。
「ふぅん、私は知りませんね。この魔法具屋の娘が知らないっていうのは、相当な秘密を知っているようで?」
「まぁな。どこぞのお姫様とも知り合いなんだ」
「じゃあ、そういう技術があるということで。あなたたちは詳しくは知らないと」
「そう言うことだ」
最終レースが終わって、17時。
一通りの換金を終え、他の人たちが帰路に就く中、俺たちはマイに声を掛けにきたのだ。
「あ、ちょっと待っててください。帰り支度をしてきますので」
「ほいよ」
マイと一緒に街まで帰ることになった。
「明日はグレードA、カッパー特別賞。混雑が予想されるので、早めに来ていただいたほうが良いかと。席も、有料席をオススメします」
「有料席ってどうすれば入れるんだ?」
「ええと、階段下の有料席購入窓口というのがありまして・・・・・・」
マイに有料席購入の指南を受ける。
「明日も勝って、良い一日にしてください。頑張って!」
街へ入ったところで分かれる。
マイの家と、俺たちの宿は逆方向だった。
「ほんで、今日は幾ら勝った?」
「40」
「40か。まあうまくなったんじゃねぇの?」
「サムは?」
「俺は130。これじゃあそんなに増えた感じしないけどな。でも、生きていくには十分な額だろ」
翌日。日曜。
エイチホメ滞在最終日。
「すげぇ人だな」
「僕たちは宿ずっと取ってたからわからなかったですけど、満室だったんですって」
「そうかい。経済効果もあるんだなぁ」
俺たちは有料席の入場券を買うため、列に並んでいる。
ぞくぞくと集まる人、人。
俺たちが最後尾だったのは数分前。
もう最後尾は見えないほど後ろに人が並んでいる。
「B席、2枚」
「40ゴールドです」
札を4枚だして支払う。
昨日マイから聞いた話では、C、B、A、Kという席があり、もっともコスパが良いのはBだと言われた。




