仕分けの仕事
今日は別の仕事を振り分けられた。
(これは・・・・・・青か?)
魔石工房という名の量産所。
そこの検品だ。
色とりどりの手のひら大の石を、色ごとに選別していく。
木箱にどっさりと、黙々と、粛々と、次々と分ける。
(俺もトニーも色弱や色盲ではないっぽい。はじめに検査があったけど)
なんとも緑と青の区別の難易度が高い。
黄色や赤はともかく、正直、光の加減でどの色にも見えるやつもあった。
「あのー、」
「なんでしょうか」
巡回の監督官の男性に聞いてみる。
「この虹色のやつはどこに・・・・・・」
「虹? そんなものがこんなところにあるわけ・・・・・・」
男性の目玉が飛び出るくらい見開かれる。
キョロキョロと周りを見渡し、俺の手から石を毟り取った。
代わりにズボンのケツポケットから100ゴールド札を出し、握らせてくる。
「何でもなかった。普通の魔石。君は何も見ていない」
「あ、はい」
今日の食事休憩は、併設の社員食堂のようなところ。
「トニーよう。お前んとこ虹色のやつ入ってた?」
「いいえ? 色とりどりではありましたけど、何かしらの色が濃く出てましたね」
「まあいいや。宿に帰ってから話すわ」
空になった食器とお盆を返却し、そそくさと仕事へ戻る俺たち。
今日の昼食は洋風お好み焼きっぽいやつ2枚。
マヨネーズが欲しかったが、そうそう新鮮な卵を使ったものなんて作れるはずがない。
金額5ゴールド。(水無料)
「んでよぉ、虹の石が混じってたけど監督官が持ってった。そいで口止めに100も貰った」
「・・・・・・闇が見える件ですが、こちらとしては口出す必要ないですしね」
仕事が終わり、夕食。
今日は室内作業だったので、汗もそれほどかいていないし、即シャワーに入る必要はないということになった。
そんで翌日、土日の土。
久しぶりに仕事をしたが、あの程度では、体調など何も変わりない。
足取りも軽く、エイチホメ競馬場へ。
「おろ? なんかこの前と違くねぇ?」
「柵と生垣? っぽいのが設置されてますね」
モニターを見ると、何やら文字がでかでか書かれている
「障害戦? ですって。3200m? メートルっていうのか知らないですけど」
「昨日マイもメートルって言ってた気がするし、距離はおんなじ単位なんじゃね?」
トニーの読むところ、午前中の4レースは障害戦。
これは障害物を飛び越えて長距離を走る。
現代日本では、馬も騎手も専門的なことが多い。
6ゴールド払って、新聞を買う。
(下馬評ではこの馬が一番人気か・・・・・・)
障害物戦での馬の良し悪しはよく知らないので、新聞の短評、それにオッズを踏まえて、回収ができるように買う。




