勝負!
「それで、僕たちが馬券を当てるには?」
「まあ高いグレードのレースに賭けないほうがいいかもな。混戦より、芽の出てないやつ探して賭けるほうがいい」
「まずは初心者のかたは単勝、もしくは複勝で当て勘を掴むといいと思います」
「あ、時間が来てしまいました。どうします? もうちょっとお話します? お代はいただきますけど?」
「いや。もう大丈夫だ。大きく勝ったら飲みに誘うよ」
「約束ですよ! では失礼します」
マイは会釈をしてエントランスの方へ去っていった。
「せっかくだからよ、勝負にしようぜ」
「どういうことです?」
「あと5日あるだろ、今水曜。今日と土日の3開催、毎日100ゴールドまで賭けていい。それで300ゴールドをどれだけ増やせるか。1回のレースで全額賭けるのは無しな」
「負けたら? あと引き分けは?」
「負けた方が夜飯おごり。これは等分に含まれない。引き分けは特になし」
と、いうことで、始まった。
『2番、ソラヨシ! 圧倒的な力の差を示してゴール! 今後の活躍が楽しみです!』
「まあ余裕だな」
「・・・・・・」
売っていた競馬新聞片手にモニターのオッズをチェック。
俺は2番の単勝、複勝、2ゴールドと8ゴールド買っていた。
ちなみに買い方はいつもの通り、窓口で伝え、チケットを受け取る式だ。
「ぼちぼち。2倍に1.3倍か。端数はどうなんだ?」
「食堂用の食券クーポンですって」
「外れかい?」
「そうですね。3番からにしてたので」
あと7レース。
『どうだ!? 際どい!? 3頭だんごでゴール!』
「うむ。どれでも勝ち」
3連複4頭ボックス。
ボックスという買い方は、その馬番号を含むやつ全通りだ。
今回の場合、実際の番号は違うが、1-2-3、1-2-4、1-3-4、2-3-4の4通り。
選んだ4頭中3頭が固まって3着以内で当選確実。
俺はドヤ顔でトニーのほうを見る。
「・・・・・・今日は譲りましょう。このままじゃ不利すぎるんで、帰ったら賭け方教えてください」
今日は勝ちだ!
大きくはないが、元手として使った90ゴールドが、倍以上の240ゴールドと食券になった。
トニーはというと、100ちょうどマックスまで使って、20と少しの回収。
「マイさ~ん」
『チリン』
「はい? あ、サムさんとトニーさん。もしかして大勝ちしました?」
「いや、残念ながらちょい勝ちです。今日水曜日ですけど、マイさんは土曜日と日曜日はいますかね? 俺たち月曜にはここを発つので、ご飯行くくらいしたいなと思って」
「どちらもここにおります。じゃあ勝って、日曜日夜に美味しい物食べに行きましょう!」
と約束を交わし、とぼとぼ歩いて街へと戻る。




