これからの旅
「こちらの不手際、申し訳ありませんでした。本来ならお顔を見てお通しすべき・・・・・・」
「いいのです。さあ、行きましょう」
衛兵の誰にも声を聞かれないくらい離れてから、
「いいのか? ロゲンさん」
「あなたたちが悪人でないのは見ればわかります。書類のことを知らなかったのも何か理由があるのでしょう。私が力になれるのはここまでです。ここからはあなたたちの旅。くれぐれも厄介事に巻き込まれぬよう」
「ありがとう」
しばらく後、無事にフェザーポートの地を踏んだ。
簡易的な宿と食堂がある。
「はい。お疲れ様。この先、共通語だったり"ノォド"っつう言葉だったりするから気を付けな。大きい街ならともかく、ノォドの言葉が」
「今喋ってる俺たちのって共通語?」
御者の話を遮って、俺は疑問を口にする。
「そうだ」
「ってことは意外としっかり教育がされてる・・・・・・なんでもない」
「ともかく、あまり道から外れた村とかだと言葉が通じない危険がある。気をつけな」
「はいよ。ご忠告どうも」
俺たちはバッグを持って、馬車から降りる。
「私たちはもう少し先まで行きますが、お二人は?」
「うぅん、疲れたし、ここで寝るかな。じゃあここでお別れだ」
ロゲンと名も知れぬ姫は別の馬車へと乗り込み、先へと旅立った。
別れはあっさり。
「二名、30ゴールドです。シャワー、トイレはこちら」
「はい」
宿はベッドすらない布団を床に直接敷くタイプ。
しかし、簡素な割にきちんとドアには鍵がかかるし、防犯面では問題ない。
「それはそうと、ちょっと高いよねぇ?」
「ですね。ここのご飯も20ゴールドですもんね」
食堂は料金を払い、ビュッフェ形式。
好きなものを好きなだけ皿にとっていいという。おかわりも自由。
宿と併せると70ゴールド。
「今の手持ちは?」
「3000少々」
朝の宿を出たタイミングで分配したので、馬車の料金で若干の差が生じたくらいだ。
「このまま行くと、一カ月後にはパンクだぞ。稼ぐアテを探さなきゃ」
「ですねぇ。ひとまずなんらかの稼ぎが必要かと。特に大きい街があるうちに」
腹いっぱい食い、シャワーを浴び、床についた。




