戦い
「痛った!」
早々に斧で殴られた斗一が叫ぶ。
衝撃で松明が横に転がる。
俺は石斧で殴ってきた小人の頭部に、上から振りかぶった棍棒のフルスイングをぶちかました。
「やっべぇ!」
渾身の一撃すぎて、棍棒が真っ二つに折れてしまった。
残りは3体。
斗一は左手をやられているし、俺には武器がない。
(よく見て・・・・・・避ける!)
小人の突きだしてきたナイフを躱した・・・・・・つもりだったが、モロに俺の胴に刺さっている。
反射的に刺してきた相手の腕を持って、関節とは逆に曲げてやった。
焼けつくような痛み。刺された場所から血がドクドクと出ている。
(あぁ。また死ぬのか・・・・・・)
そう思ったのもつかの間。
痛みが徐々になくなっていく。
傷を見ると、血が止まっていた。
(なんじゃこりゃ? ひとまず助かったっぽいか?)
服に血はべっとりついたままだが、もうそれだけだ。
ナイフも抜けている。
(これなら痛いのを我慢すりゃあ武器なんかいらねぇ!)
腕が逆に曲がった小人に前蹴りをかます。
小人は青い鼻血を流して吹き飛んだ。
起き上がっては来ない。
斗一のほうを見ると、リーチの差を活かしてナイフ小人をボコボコ殴っていた。
(あれなら大丈夫か)
ということで残った1体とタイマンだ。
「ほぉぅあちょう!」
それっぽいカンフーポーズに大声を出して威嚇していく。
目の前のこいつは慎重のようで、あちらからとびかかってこない。
「あー!!」
俺は明後日の方向を指さす。
小人は釣られて指先の指す後ろを見た。
「隙ありじゃあ!」
両腕でハンマーを作って、頭を殴り飛ばす。
小人は横に吹き飛んで石斧を手から落とした。
俺は落とした石斧を拾って倒れた小人の首に振り下ろす。
グシャっと嫌な感触が手に伝わり、小人が絶命しただろうことがわかる。
もう一体の倒れている奴にも同じ要領でとどめを刺した。
不利を悟ったのか斗一と戦っていた小人が逃げ出す。
小人は入口に向けて駆け出した。
「させるかよ!」
ここで逃がしたら痛い目をみるのは俺たちだ。
俺は自分の首についている鎖をうまいこと引っ張って足払いをした。
小人は引っかかってすっころぶ。
「ごめん!」
斗一が致命傷となる一撃を頭に叩き込んで戦闘は終了した。
「これで終わりか?」
「・・・・・・みたいですね。他にはいなそうです」
「うーし。どうすんだ? こいつらの首でも持って帰るか?」
俺は右手で首を掻き切るポーズをしながら、左手はナイフでできたはずの傷口付近を撫でていた。
(なにもねぇ・・・・・・綺麗さっぱりだ)
確かにナイフを食らったのは間違いない。
それは痛みと、服に残る出血が残っている。
しかし傷口は完治していた。跡形もなく。
「とりあえず戻るべ」
松明を拾って、踵を返す。
首の鎖をたどりながら入り口へと戻った。
「・・・・・・その血はどうした?」
「問題ないっす。青い肌の小人を4体仕留めました」
「そうか。では死体を持ってきて埋めろ」
「はい」
そのあとも俺たちは命令されるがままに仕事をこなしていく。