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2人目

 異世界に来てから数か月。

 雑用の毎日だ。

 相変わらず数人の男以外、他の村人の姿は見たことがない。

 そうして牢屋で寝ていたある日。

 いつもとは違う早い時間に扉が開いた。

 男たちに、ボロの服を着た男が一人だ。

 ボロを着ているが顔立ちは映画スター並みに整っている。

 ぐったりとしたボロを着た細身の男は隣の牢屋へと入れられた。

 

「今日から奴隷はお前たち2人だ。仲良くしな」


 そう言って、ギィ、バタンと扉は閉まった。

 だまされたお隣さんが増えたらしい。


「よぅ新入りさん。君も日本から転生したのか?」

「ぅう。そうです」

「不幸なこって。まあこれからのほうが地獄だよ」

「・・・・・・」

「とりあえず自己紹介でもしようぜ」


 ようやくまともに喋ることができる。

 同じ境遇の人が来なかったらまともに口を聞かずに一生を終えていたかもしれない。


「俺は・・・・・・二色修にしき おさむ、サラリーマンをしていたが、出先で事故に巻き込まれて死んだらしい」

「僕は小林斗一こばやし といちでした。昔からずっと病気がちで、病院で死んだみたいです」


 暗い話ばっかりだし、もうちょっと喋ろう。


「ほーん。何歳だった? 俺は27歳独身」

「23歳でした」

「まああんま変わらんな。そんでお互いこんなところまで来ちまうんだもんなぁ。なんだってんだ世の中」


 不幸にもやってきてしまった同僚? は同じく日本からの転生者だ。


「ちなみになんて言われて来ちまったんだ?」

「なんか好きな容姿と能力で転生できるぞって」

「俺と同じか・・・・・・」


 同じ手口でここへと来たようだ。


「どのくらいここに?」

「わかんね。半年くらいじゃねーか?」


 季節に四季があるのならば、秋から冬を越し、春になったはずなので6か月くらい。


「やつらに逆らうと全身に激痛が?」

「毎回マジでいてぇ。だから最近はおとなしく従ってる」


石壁越しにずっと会話する。


「寒いし床が石だから尻が痛いです」

「この前まで雪降るんじゃねーかと思うくらい寒くてよ、今はまだマシだぜ」

「このままじゃ死にますよ」

「それが体は丈夫みたいなんだよな。クソ寒いのに水浴びしても平気だったからよ」


 俺たちは自分たちの置かれた境遇を話し続けた。

 そうして牢屋の夜は更けていった。


 翌朝、


「今日からお前ら2人には魔物狩りをしてもらう」

「魔物狩り?」


 いままでそんなものの気配は微塵も感じなかった。

 ここも腐ってもファンタジーな世界ということか。


「普段は冒険者連中に依頼するんだが、お前らがやればタダだからな」


 ということで、牢から出されて男たちと一緒に山中へと向かった。

 首に鎖を着けられ、武器として木の棍棒を渡される。

 短い野球のバットのようだ。

 持ち手はとげとげとささくれ立っていて持ちにくい。

 男たちに先導されてたどり着いた場所、目の前には大人が3人並んで入れるくらいの洞穴が空いている。


「中が見えないんですけど?」

「コレを持っていけ」


 斗一といちに渡されたのは松明。

 に見えたが炎は灯っておらず、先端に光る石が嵌っている。


(まあ燃えるようなもん渡さねぇよな)


「中にいる青白い肌の小人、そのほか動く生き物を全部殺してこい」

「全部? どのくらいいるんですか?」

「知らん。根絶やしにしろ」


 お偉いさんは無茶をおっしゃる。

 洞穴の入口にはこれ見よがしに動物の頭骨が飾ってあった。

 縄張りのアピールなのだろう。


「さあ行け!」


 従わないと激痛が走るだろう。

 俺たち二人は首に枷をつけたまま、恐る恐る洞穴へと入っていく。

 明かりを持っているので前は斗一だ。


「・・・・・・何かあります」


 斗一が指さす。

 草木と骨で編まれた何かが、ピンと張って設置してある。


「罠か? つついてみろ」


 斗一が右手の棍棒でつついてみる。


『・・・・・・カラン、カラン・・・・・・』


 奥の方で小さく音が鳴った気がする。


「今すぐ俺たちが死ななきゃこんなん気にしてもしゃあねぇ。言われた通り全部ぶち殺すぞ」


 奥へ進んでいく。

 生き物の臭いが強くなり、すぐに開けた場所へ出た。

 天井が高く、ところどころ穴が開いているのか太陽の光が差し込んでいた。

 開けたそこには片手で持てる石の斧と、ギザギザしたなにかの骨のナイフを持った小人が全部で4体いた。

 身長80㎝くらいの小人、全員が襲い掛かってくる。


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