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辛酸

「いやあ、儲けた儲けた」


 2人合わせて400ゴールド。

 あばら屋の宿に泊まって、飯を食うだけならば数週間も暮らせる額だ。

 24時間営業と思わしき食堂で、飯を食らって、宿で寝て翌日。


「さぁ、今日も稼ぐぞぅ」


 1つの街に滞在できるのは7日まで。

 奴隷である俺たちは逃避行している身。

 一つのところに留まって、捕まったら元も子もない。

 稼げることが分かった以上、目いっぱい金を増やすことにした。


『入った! 15番、18倍!』


 賭け額を倍の20ゴールドにしていた。

 4カ所で80ゴールド。回収、360ゴールド。

 わずか1度で昨日の200ゴールドを上回る勝ち額だ。


「賭博人生楽勝だ!」


 昨日よりも早い時間からやり、かつ上振れた。

 この日の収支は2人合わせて2000ゴールド。札巻きになった。

 そしてまた翌日。

 今日は一カ所に30ゴールドを賭けていく。


『2番! 2倍!』

『6番! 4倍!』

『1番! 2倍!』


 立て続けに3回外し、早々に360ゴールドを失った。

 しかし、こんなものは下ブレというものだ。

 よくある確率の偏り。


『入った、18番! 倍率は22倍!』


 ようやく入った。

 8回目。

 昨日までは3回に1回きていたのに、時間のかかったものだ。

 ずいぶんと元手も目減りしている。

 しか、回収するには賭け額を減らすわけにはいかない。

 ここは、30ゴールド賭け続ける。


「クッソ。昨日の儲けがパァだ」


 3回に1回、当たりに入ることもなく、800ゴールド以上スっていた。

 やけ酒を飲み、懲りもせず、また翌日。


「1日目、2日目は勝ててたのに、こんなことあるわけない!」

「・・・・・・明日、僕は見します」


 そしてネズミを見守る4日目。


「・・・・・・おしまいだ」


 俺の種銭が尽きていた。

 幸い、トニーのほうに金がある。

 無茶なことをしなければ、旅は続けられるだろう。


(何がいけなかった? 途中まではうまくいっていたはず)


 考えても、使った金は返ってこない。

 ちょっと自分の策にハマったから、調子に乗りすぎていたのかもしれない。

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