作戦会議
「ちょっと便所行こうぜ」
トニーに合図を出し、作戦会議をすることに。
会議と言ったら便所と相場が決まっている。
「ゴールしたあとのボールの動きを見たかい?」
「何か不自然でしたね、おそらく重りでも仕込まれているのかと」
ゴールしたあと、ボールは平の場所にぶつかって転がっていた。
しかし、ボールによって挙動がまちまちで、壁にぶつかったままのもの、反動で戻るもの、弧を描くように転がるものなどがあった。
「重いほうを下にするか、横にするかでまるで違う挙動になるんじゃないのか?」
「・・・・・・そうですね。賭けている方々は知っているのでしょうか?」
「わからん。全部同じボールだと思ってんじゃないかい? ひとまず半分ずつボールを観察しよう」
「わかりました」
便所から出て、俺が1枠から3枠、トニーが4枠から6枠に入ったボールを観察することにした。
観察すること暫く・・・・・・
「やっぱりおかしいよなぁ?」
「こんなに均等に近い確率で、どの枠からもゴールがでるのはおかしいですね。同着も0回ですし」
「今日は3番の調子がいい、っていうおやじもいるしなあ。これは絶対オカルトじゃねえぞ」
結局、今日は賭けることはせず、翌日に持ち越すことにした。
理由は、少しずつだが、傾向を読めてきたからだ。
「異世界っつうのはさあ、なんでこんなに料理のレパートリーが少ねえんだ?」
「冷蔵庫も冷凍庫もありませんし、保存の問題でしょうかねぇ」
「でもよぉ、毎日サイ〇リヤみたいな飯は飽きるよねぇ」
翌朝、宿の食事処で、ハムとチーズのホットサンドと謎のフルーツを食べ、賭場が開く時間である昼まで観光することにした。
「あの塔、入れないんか?」
街の中央にある高い塔。
近づいてみたものの、入口には憲兵のような武装した人がいて、関係者以外は立ち入り禁止だと伝えられた。
しかし、観光の名所であることには変わりないようで、付近には芸をして投げ銭を貰うような人達もいた。
そうしているうちに賭場の開帳時間が来た。
「変わってますねぇ」
昨日は3番のボールが強い挙動をしていたが、今日は全然傾向をつかめない。
6レース、7レース・・・・・・、時間だけが過ぎていく。
「・・・・・・ダメだな、こりゃあ」
やたらめったら賭けているのでは、ただの無謀。
博打打ちというのは、傍からは無茶をしているように見えても、本人には確たる勝算がなければ戦わないものだ。
「やめだ、やめ。他行くぞ」
見切るのも腕前のうち。




