器用なトニー
練習も一区切りし、飲み物を運んできた店員に賭け額を伝える段になった。
「私の分は100、勝ち負け不問で5ゴールド、あなたたちに払うわ」
リーチェに100ゴールド札を渡される。
「んじゃあ俺たちも100いくか」
合計200ゴールドを賭ける旨を店員に伝える。
「200ですか・・・・・・少し相手が強くなるかもしれません。いいですか?」
「構わないわ」
勝手にリーチェが返事をしてしまった。
初心者が、数日暮らせるお金をかけることは少ないのだろう。
格上の相手と当たるのは当然だ。
「それでは、トニーさま、こちらへどうぞ」
金網に囲まれたブースへと連れていかれる。
俺たちは、その後ろから観戦することにした。
対戦相手は筋骨隆々とした男。スキンヘッドだった。
2人とも、カードを店員に渡し、金も預ける。
「私ができないのがもどかしい・・・・・・」
「まあ信じて待とうや」
先行は階級が上らしい相手からになった。
その1投目は、真ん中から外れ、満点の円からだいぶ左下に刺さった。
「ウンドさま、4点」
店員がボードに記録していく。
次はトニーの番。
狙いを過たず、ど真ん中に突き刺さった。
「トニーさま、10点!」
「よおっし! 私の見込んだとおりだわ!」
そのあとも試合は滞りなく進み、相手は後半盛り返したものの、終始安定したトニーには追い付けず、終わった。
「ウンドさま、66点。トニーさま84点。よって勝者、トニーさまとなりました」
結果を、店員がタイプライターのようなものでカードに記録しているようだ。
そして対戦相手と自分たちの預けた金を総取りし、400ゴールドになった。
「勝った勝った。ありがとね! もし困ったら安く依頼を受けてあげるから!」
195ゴールドを手にし、笑顔で手を振りながら、店から去っていくリーチェ。
「期待の新人ですね。これからも当店を御贔屓によろしくお願いします」
俺たちも、店員に見送られ、店をでる。
「各地にあるらしいし、トニー、金に困ったらこれで食っていけるんじゃねえか?」
「そうですね。ちょくちょくやりましょうか。というかサムもやればよかったのに」
「俺はいいよ。不器用だしな」
夜道を歩く。
夜飯を食べられる店を探して。




