騎馬隊
サイコロの出た目に従い、北上。
ある街道を歩いているときだった。
向かいから来たのは騎馬隊。その後ろには豪華な馬車もあった。
俺たちは普通にすれ違おうとした。
「おい!」
「?」
「この紋章を見てわからんのか? 道を開けよ!」
「はぁ? 別に通れるだろ?」
道の真ん中を歩いていたわけではなかった。
しかし相手はそれでは満足しないらしい。
「このっ、言いごたえを」
「まぁ、待ってくださいよ騎士団長。・・・・・・見たところ旅のお方ですか?」
騎士団長と呼ばれた男をなだめて、顔立ちの良い若い男が話しかけてくる。
「そんなとこっす。すいませんね、騎馬隊なんかとすれ違うの初めてなもんで」
「そうかですか。今後は気を付けたほうがいい。紋章の入った馬車は道横に避けることです」
「気をつけます」
優しい男の忠告により、何も起きずに済んだ。
騎馬隊たちから十分に離れてから、
「おいおい、水戸黄〇かよ」
「なんですかそれ?」
「おおう。見たことねえか」
という感じで次の街へ着いた。
今回はこの街に宿泊する予定なので、まず宿を取る。
素泊まり20ゴールドだった。
「さて、賭場を探しましょう」
そうして街を駆けずり回ること1時間。
街の中心にある大時計を見て、時間がきたので宿に戻る。
トニーがそれらしき店を発見していた。
街の外れにある、大き目のあばら家だった。
いかにも荒ぶれた見た目の男たちのたまり場だ。
「どんなゲームだ?」
「ブラックジャックの様なものですね」
男たちの後ろに立って、様子を見ていた。
大体ルールを理解した。
1~12の数字と絵が書かれた板、それが3枚ずつ。計36枚。
板を並べて裏にして置いた状態。
そこから各々3枚ずつ板を引き、20までで合計が大きいほうが勝ち。
同値は引き分け、21を超えても負け。つまり最強は20。
両者とも超えた場合も20に近いほうが勝ち。
とてもスピーディで運の要素が大きい。
「バッタだな」
「バッタ?」
「ブラックジャックよりも、"バッタ巻き"、つうのが似てるな」
勝った方は賭け額の1.9倍を受け取る。
張り額は10ゴールドから。
1割は場所代として取られるので、永久的に子が勝つことは不可能な運否天賦の勝負だ。
「いや~、やっぱり勝てねぇな」
「まあ無理ですね」
一応やれるだけやってみたが、場所代の1割分、少額ずつ負けていく。
宿に戻って飯を食らう。
独特の香辛料が効いたチキンステーキ。
「兄さんがた、飲んでみるかい? 美味しかったら頼んでくんな」
カウンターから、恰幅の良い女将が、小さなグラスに入った牛乳のような飲み物をくれる。
「ミルクですかね?」
「こりゃあ"どぶろく"でねぇか?」
「どぶろく?」
どぶろくというのは、米と米麹と水から作る酒だ。
濾過せずそのままなため、ドロドロとした口当たりが特徴的。
俺は一口飲んでみた。
「ひっさびさに飲んだ。日本米じゃないから雑味がすごいが、悪くねぇ」
俺は久々に飲んだどぶろくを気に入り、注文して大グラスで貰った。
「う~ん。はじめて飲んだけど僕は日本酒がいいかなぁ」
ひとしきり飲んで満足した俺たちは、その日の収支を勘定して眠りについた。




