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ママとの対決

 まず1局目。

 よく混ぜられた牌を8つ取る。

 親はママだ。

 座り順は、俺の対面がママ。

 上家がトニー、下家が赤髪。

 俺の手牌は・・・・・・


(だめだ。バラバラすぎる・・・・・・)


 すべてバラバラの国士無双のような役は無いと、ミィコから聞いていた。

 横のトニーの顔を見る。

 

(イケる、のか?)


 少し微笑んでいる気がした。

 今回は守りに入って、トニーの上がりにまかせよう。


「アガリよ。12点」


 早々にママがツモ上がった。

 満貫相当の上がりらしい。


(嫌な流れだ)


 俺は、右手側のテーブルに置かれたコップで口を湿らせる。

 次局、まだママの親。


「それ、いただきだ」


 下家の赤髪から鳴きが入る。

 食い下がりの概念があるらしいとは聞いている。


「それだ! アガリ!」


 トニーの捨てた牌が赤髪に刺さった。


「安いけどな、2点だ」


 トニーの親になった。

 その時、


(う、う、なんだ? 不整脈か・・・・・・)


 俺の心臓が不自然な脈を打ち始めて、すぐに元に戻った。


(どういうことだ? ストレス過剰か?)


 そこからは一進一退。

 しかし、経験の差と運で、俺たちがじわじわと負けていった。


「な、この場面で勇者、だと」


 起死回生。

 俺が面前で揃えたのは、剣と盾に人のマーク。

 ボードに数字が書かれる。


「トニー。なん点だ?」

「48。親の役満ですね」


 灰色の視界だったこれまでから、一気に心拍数が上がり、頭痛がする。


(勝てるぞ、これ!)


 今の上がりで、俺たちは10点のリードになったはずだ。

 残り5局。

 そこからは運が向いてきたのか、面白いように上がれた。


「でた! アガリだ!」


 竜使いという役。これも役満だった。

 リードを開いていく。


「それです。1点」


 最後は、もっとも安いクズ手でトニーが流して終わった。

 終わってみれば60点以上勝っていた。


「・・・・・・あんたたち。ずいぶん意識がハッキリしてるね?」


 ママが俺たちの目の前でフラフラと手を振る。


「半分魔物、って感じでもないしねぇ? 何者だい?」

「その言い方、やはり、水に何か入れてましたね?」

「白状するよ。ワタシたちはお前たちを朦朧とさせて、やろうとした」


「インチキをしようとしたんだ、これで全員黙っててくれるかい?」

「・・・・・・」


 差し出された札を無言で受け取る。


「もうすんなよ」

「わかってる。これからは正々堂々やるさね」


 ただの口約束。

 しかし、これ以上踏み込んで何をされるかわからない以上、従っておく方が無難だ。

 シャバに出た空気は澄んでいた。

 手に入れたのは、2人で1万4千ゴールドという大金。

 僅か一晩で、半年は暮らせるだろう金を手に入れた。

 ひとしきり、飲んで食って、寝て。

 その夜。


「ありがとう」


 ミィコに500ゴールド握らせた。


「勝ったのね。しばらく街にいるの?」


 紫煙を吐き出しながら問うてくる。


「いや、明日には出るよ。俺たち、追われてる身なんだ」

「そう。じゃあ一晩いかが?」

「断るのも情けないもんだが、悪い」

「あらそう。次来た時は絶対だからね」


 ミィコはとても魅力的な女性だとは思った。

 彼女が普通の人間ではないことを踏まえてもだ。

 しかし、


(一切、高ぶらねぇ・・・・・・)


 転生して以来、機能不全だった。 

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