大食い対決
「・・・・・・」
見た目通り中身は肉まん。
フカフカの外側に、香辛料の効いた挽肉の餡が入っていた。味は可もなく不可もなく。
ほぼ音もなく、咀嚼する参加者たち。
ひたすらに地味だが、負ければ長い労働がかかっている人間もいるのだから当然だ。
横のトニーをチラリとみるが、余裕そうなので、心配せずに俺もペースを上げる。
「残り5分でございます。現在、ぼっちゃまは5つ!」
ヤバイ。俺は4つだ。
次々と蒸された肉まんが出てくるが、新しく出来立てのやつはアツアツで、そう簡単にパクパクいけるものではなかった。
(こうなりゃ・・・・・・こうだ!!)
喉に詰まらないようにか、各々に木製のコップがあり飲み水が注がれていた。
それにちぎったまんじゅうの外側部分を浸し、口へと押し込んでいく。
びちゃびちゃの肉まん、決して美味しくはないが、もはやなりふり構ってはいられなかった。
「終了まで、3、2、1、そこまで! そこまでです!!」
みんな一斉に手を止める。
執事によるカウントが終わり、結果が発表となる。
「今回、ぼっちゃまが食べた数は6つ。6つの方までは負け。7つ以上食べきっているかたのみが勝者となります」
俺が食べた数は・・・・・・8つ。
トニーは9つだった。
俺たちの勝ちだ!
「勝った方はお金をお渡しします。ゆっくり休んでからおかえりください。負けてしまった方、こちらへ来ていただけますか?」
負けてしまった3名は屋敷の中へと連れていかれた。
何が行われるかは知る由もないのだが、良いことだけは無いだろう。
俺たちは賞金の700ゴールドを受け取り、パンパンになった腹を抱えて宿へ戻った。
「満腹だ・・・・・・」
「このままじゃあとても眠れませんね・・・・・・」
2時間ほど雑談をし、共用の水シャワーを浴びて、さっぱりしてから床についた。




