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第5話 快翔が目の前に

瞼を開くと、先に入ってきた情報はスズメの鳴き声だった。

もやがかかったように白かった。

ここはどこだろう。横になったまま考えた。さっきまで、学校の渡り廊下で

屋上にいる快翔を助けようと走り出そうとした。思いだそうとすると

こめかみが痛い。手でおさえた。頭痛がする。起きようとすると、顔を覗く快翔がいた。瞬間移動してきたのかと目を丸くして見つめる。

「なぁ、そこで何してんだ?澄矢。ここで昼寝か?」

ざわざわと校舎の中から聞こえてくる。辺りを見渡すとごくごく普通の学校が

あった。何が普通かって、学校生徒はたくさんいるし、

先生は暴れている生徒に風紀を乱すなと騒ぐし、チャイムは忙しく鳴っている。

さっきまで見ていた光景は夢だったのか。

「おーーい。澄矢、何してんのって聞いてんの」

「あー、ごめん。聞いてなかった。寝起きだから、ほら」

「なぁにが寝起きだよ。昼寝をかたいコンクリートの上でする

 バカがいるかって。しかも渡り廊下は通る人に踏まれるぞ?」

「……だよなぁ、ハハハハハ」

 よくわからない状況に笑うしかなかった。

「笑ってる場合かって…」

「あ、そうだ。なぁ、快翔、今日何日の何曜日??」

「そんなのスマホ見ればいいだろ。てか、お前さ、さっきチャイム鳴ったの

 聞いてないの?」

 そう言いながらも快翔は、スマホ画面をチェックした。

「あ、確かにそうだよな。え、まじで?てか、次の授業って何よ」

「澄矢、今は5月13日月曜日な。珍しく月曜日登校したなって

 今朝言ってただろ?」

 次元の歪みだろうか。澄矢は一言もそんなこと話していない。

 未来に進んでいるのか。快翔は、澄矢にスマホを見せつけた。

 確かに通常通りのカレンダーになっている。ついさっきまでの12.5日や

 三日月曜日なんて書いていない。

「あーーー、そ、そうだったっけな。ちょっと、待て。俺の記憶力が

 正しければ、昼休み明けの授業は体育じゃなかったか?」

「げ、マジか!!!それ、早く言えって。

 こんなところで寝てるから行くぞ」

 快翔は、体育だということを思い出して、教室まで走った。運動着に直ちに着替えないと、時間に間に合わない。すでに予鈴は鳴っている。澄矢は、元気に走る快翔を見て、ほっと安心した。快翔が屋上のふちに足をかけていた姿を思い出すと今とはかけ離れた暗い表情をしていた。教室で急いで、運動着に着替えて、体育館に向かった。月曜日の体育を受けるのは今年になった。初めてだった。来週にまた三日月曜日があったら、月曜日に登校できるんだけどなと考える澄矢だった。



 


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