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7.5日目のきみに会いたい  作者: 餅月 響子


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第12話 探していた人

ざわざわと校庭が騒がしかった。澄矢は、昼休み1人で職員室に向かった。

どうしても確認したいことがあった。スマホのカレンダーをよく確認して、

水曜日だとわかると、引き戸を開けて中に入っていった。

 コーヒーの香りが漂う職員室では、お弁当を食べている先生たちがいた。

今日は校長先生も含めて、出勤していた。

「お?どうした?小早川か。早退でもするのか?」

  箸に卵焼きを摘んでお弁当を食べていた担任の齋藤晃一郎先生が声をかけてきた。 出入り口付近に座っていたため、すぐに気づかれた。今日は、真面目な対応だった。タバコは吸っていない。デスクの端に電子タバコの本体が置いてある。

「先生、今日は、職員室でタバコ吸わないんですね?」

「は? ばか、おま、何言ってるんだよ。吸う訳ないだろ? ここは禁煙だぞ」

「……知ってますよ、それくらい」

「えーーー、齋藤先生、職員室で吸ったことあるみたいね」

 近くのデスクにいた栄養士の木村先生がニヤニヤと言う。

「な?! そんな、木村先生、真面目な僕が吸うと思います? 吸う訳ないですよぉ」

 笑いながら、立ち上がり、澄矢の背中を押しながら、職員室を出て行った。

 齋藤先生は引き戸を閉めて、澄矢を睨む。 

「おい、なんで俺が職員室で吸ってるって知ってるんだよ」

 小声で言う齋藤先生に対して、澄矢は動じない。きょとんとした目をして言い返す。

「だって、この間、先生1人でここで吸ってた……」

「え? 俺、お前に言ってないけど。なんで知ってんの?」

「……」

(夢なのか? 三日月曜日って、先生は知らないのか)

 齋藤先生は、ため息をついて、ズボンに手をつっこみ、窓によりかかる。

「まぁ、そのことはいいけどさ、何の用事? 俺にだろ、話したいことあるのって」

「……はぁ、まぁそうですけど」

 さっきの話で納得できてない澄矢は、話そうとする気持ちに入るまで時間がかかった。

「何、クラスに馴染めないとか?」

 廊下から見える中庭を眺めながら話す。

 「いえ、別にクラスに馴染めないとか全然どうでもいいですけど、聞きたいことがあるんです。先生、水城 雫羽って知ってますか?」

 夢の中だったのかあの時聞いた時は、珍しい名前だが、いないと言っていた。

「水城? 何、小早川知り合いなの?」

「え?」

 齋藤先生の新しい反応に澄矢は胸を躍らせた。

「同級生だろ。1年で」

「は?」

「知ってて言ってるじゃないの? 隣じゃなかった? クラス。部活動は確か茶道部だったかなぁ。スポーツはできないって話だったかな」

「マジっすか。知らなかったです」

「ん?なんで聞いた?」

「いえ、なんでもないです。失礼しました。」

 その言葉を聞いて澄矢はその先を聞きたくなかった。わからないままでいたい。

 職員室前の廊下を立ち去った。それ以上、雫羽のことをどんどん知ってしまう恐怖。教室に戻る足が早くなる。隣のクラスだと言っていた。

 澄矢のクラスは1年1組ということは、1年2組だという話だ。

 自分の教室に行く前に覗いてみようかなと焦る気持ちが出てきて、

 廊下をズッコケた。誰もコケたところを見てないよなと周りを確認すると見られたくない人に見られていた。

「澄矢、見たぞ」

 いちごミルクの紙パックを飲んでいた快翔だった。

「見るんじゃねぇよ、コケたところなんて」

「豪快な感じでリアクション最高!」

「俺は、芸人じゃねぇよ?」

「知ってるよ、澄矢の個性だな」

「個性って言うな、個性じゃない」

 手のひらをぱんぱんと叩いて起き上がった。転んだが次元の歪みがなかった。いつも通りの空間だ。

「てかさ、水城って隣のクラスだってな」

「あ、なんだ、知ってたの?」

「さっき、わかった」

 澄矢の廊下での進む足は早かった。快翔は着いてくのがやっとだった。

「……あ、でもさ……」

1年2組の教室に着いて、辺りをキョロキョロと見渡したが、昼休みだというのに雫羽はいなかった。やっと会えると思っていた。

「話聞けって、俺が今言おうとしてただろ?」

「え?どういうこと?」

 教室の引き戸の前、澄矢は快翔の言う言葉を疑った。

 ざわざわと教室内は騒がしかった。


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