マリオの底力
母親が運動不足だというので、某ゲーム機と運動系のソフトをプレゼントする事にした。
ところが、思わぬハプニングが・・・。
「ソフトが高い・・・。」
そこで俺は、自分自身を適当な理由で納得させる事にした。
家はマンションなので、母の能力から鑑みて、あの板みたいなのに乗ってもすぐに落ちて
下の階の人に迷惑をかけるに違いない。
騒音の後に大怪我。いや、それどころか最悪の事態も・・・。
危ない危ない。新しい死因を生み出してしまうところだった。
でも本体だけ買うのもなー。
そんな折、目に飛び込んできた赤いパッケージ。
「そう言えばしょっちゅうCMでやってたなー。でもこれってアクションゲームだよな。彼女の反射神経で出来るかなー?まあ俺は出来るけど。」
「ふんふん、これがジャンプね。よし、やるか!」
家に帰った俺は、当初の目的を完全に失念していた。
小一時間楽しんだ後、新たなる欲望が。
「二人プレイ、やってみたいな・・・。」
相棒候補リストに母の名はない。
彼女には、俺の大事な命を預ける事は出来ない。
やはりあいつか・・・。
家によく飲みに来る、Kという男。
しかしこの男と飲む時は、基本TVもつけず、音楽もかけず、ただ語らうだけ。
そう、俺達は互いの意見や思想で互いを高め合う、硬派な飲み仲間なのだ。
「ゲームをやろうなんて言ったら失望されるだろうか?」
そんな不安を抱きながら、週末。彼がやって来た。
恐る恐るの打診。が、思いの外彼はあっさりこれを受け入れた。
流石はマリオといったところか。
「楽しんでたみたいだけど、どうかなー?」
彼が帰った後、冷静にいつもの飲みとの違いを分析する。
今日はとにかく笑いがあった。でもそれはいつもの飲みでも同じ事。
今までなら、それに加えて建設的な話や、為になる話もしている。
そう考えると、今日のチャレンジは失敗だったんじゃないだろうか?
猛省に猛省を重ね、日々を過ごす。
数日後、Kから一通のメールが。
「今日マリオやりに行ってもいい?」
心配は杞憂に終わった。
「何だよ、気にする事なかったんじゃん。そんなに楽しかったのかよ。いつもだってそこそこ楽しかっただろうが!」
今まで積み重ねたものが、一瞬にして髭に超えられてしまった。
昔、このシリーズをやり過ぎて親に怒られてるのを婆ちゃんにかばってもらった事がある。
婆ちゃん、20年以上経った今も、まだやってます。
初投稿です。
優しい人は、これからも見て下さい。