表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

第13話 母と、止まらない料理・豚の角煮

私が大学生の頃の話しになります。よくは覚えてないのですが、何か申し込みをしなければならないことがありまして、たしか、先着順なので、友人たちと路上に並んで夜明かしをしなければいけないことになりました。


当時は、コンビニとかもあまりないし、友人と5、6人で、それぞれお弁当を買って並ぶことになりました。それを、聞いていた母は、それならせっかくだから、お弁当を作ってくれるというのです。母の手づくり弁当は何年ぶりか、せっかくなので、お願いすることにしました。


並ぶのは、当日の夕方から次の日の朝までなので、当日作り始めるのかと思いきや、その時は、前日から何やら作り始めている。ラーメンを作るわけじゃあるまいし、なんだか大袈裟だなと思いながら、それ以上、気にしないでいると。


さて、当日、並ぶのは夕方からなので、昼過ぎに出かけようとすると、母がお弁当を手渡してくれました。すると、

「もう一つ、これも持って行きなさい。」

と言って、お弁当よりも大きめのパックを渡されて、

「これは、お友達と一緒に食べなさい。みんなで食べるくらいの量を作ったから。」


えーっ、すごい。友人の食べる分まで持っていくのは、中学生以来のことです、懐かしい。そういえば、3年間持って行ったなあ。

中身が非常に気になりましたが、まあ、後のお楽しみということで。


そして、夕方4時くらいに、行列に到着すると、もうすでに何人か並んでいて、友人たちも集まってきました。道路の脇にシートを敷いて、荷物を置き、それぞれに自分のスペースを確保して、どっしりと腰を据えました。さて、明日の朝8時までの長丁場です。時期は、たしか夏休みに入る頃のことでした。しばらく、友人たちと雑談をしているうちに、夜も更けて、7時頃、さてそろそろ、夕飯を食べようかということになりました。みんなは、どこかで買ってきたお弁当。スーパーか、お弁当屋さんのお店からとか様々で、手づくりは自分だけでした。


そして、自分もお弁当をだして、

「そうだ。うちの母親がさ。みんなで食べるようにって、おかずを作ってくれたんだ。まだ、何か見てないんだけど。」

と言いながら、蓋を開けてみると、誰かが叫ぶ。


それは、なんと、


「うわーっ、すごいな。豚の角煮じゃないか、これ。」

「おおっ、すごいな。美味しそうだ。」

というなり、持ってきた自分よりも早いか、次々と手を出す友人たち。

「おおっ!なんだこれ、美味すぎるよ、お店の味じゃん。」

「本当だ、おーっ、口に入れると、すぐにとけちゃうぞ。すげえ。」

「なんだこれ、こんな美味いの食べたことない。これ、売ってるやつじゃないの。」


正直言って、自分も、それは初めて見たのです。そして、みんなについて、自分も一口。ところが、これが本当に、口の中で噛むが、ほろっとぐずれてか早いかとけていく。それも、パックに入れてきたので、とっくに冷めているのに、食べると口の中でとけていく。


これは、母が初めて作った、豚の角煮だったのです。それも、これは別に高価な豚肉じゃなくて、普通の感じがする。

それが、こんなすごいものになるなんて、相変わらず、すごい作り方だな。料理の腕前がすごすぎる。ちょっと甘めが後を引く。友人たちは、食べながら、ご飯が止まらないと、言っていました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ