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◆第二章㉗ 破滅の光(後編)

 眼球を傷つけられたサイクロプスは、回復魔法を発動し、魔力を肉体と心臓の強化に回す事ができなかった。攻撃時・攻撃直後・回復魔法使用時は、最も防御が緩まる瞬間だ。


「グゥウゥゥゥ……」


 サイクロプスは剣を突き立てられた勢いで背中側から倒れ、ダンケルは仰向けになったサイクロプスの腹の上に乗っている。


「……グググ……バ……バ・ケ・モ・ノ……ガッ!」


「ほぉ~う。人間の言葉を解するのか⁉ さすが、この遺跡の魔物の王だ!」


 ダンケルは嬉しそうに嗤う。ダンケルの『月下の剣』は、今度こそ確実にサイクロプスの心臓を貫通している。

 ダンケルが剣を抜くと、「ブシュウゥウゥゥゥ……」とサイクロプスの胸から大量の血飛沫が舞った。サイクロプスの血の色は、深紅に群青色が混じったような濃い紫色をしている。魔界の魔物である証拠だ。


 ダンケルは血飛沫を大量に浴びたように見えたが、魔霊鎧装まれいがいそうが全てを防ぎ、同時に浄化魔法の効力で瞬時に光の粒となって蒸発した。ダンケルは汚れ1つも無く、魔物を倒した直後とは思えないほど身綺麗な状態だ。

 逆に言えば、魔物の血は毒性がある可能性もあるため、一滴でも浴びれば何があるかわからない。血飛沫も防ぐ事が重要だ。


 サイクロプスは遂に絶命した。目は見開いたまま、瞳孔が開いている。白目にナイフが突き刺さったままだ。


 ダンケルが右手の人差し指をクイッとすると、サイクロプスの目に突き刺さったナイフは抜けて浮かび上がり、「バシュッ」と汚れが飛び散って消えた。無詠唱で浄化魔法が使われたのだ。そして再び圧縮されて、ダンケルの太腿の小さな鞘に戻っていく。


 そこにザハールが近付いてきた。


「ひぇっひぇっひぇっひぇっ……これほどの魔物をここまで最小限の傷でお倒しになられるとは……さすがダンケル様でございます……」


「クハッ、クハハッ‼ まぁ、余裕だろ! ……目的を果たすぜ」


 事実、初撃を喰らって以降は、魔霊鎧装まれいがいそうのおかげで、ダンケルは全くの無傷だ。


 ダンケルはサイクロプスの首飾りに取り付けられていた『魔法の鍵』を力ずくでもぎ取った。鎖が「バキンッ」と壊れ、遂にダンケルは魔法の鍵を手に入れた。


 巨大なサイクロプスの首飾りにされていた物だけに、かなり大きい。一時的に圧縮魔法で縮めて持ち運ぶ。


 近くに1羽のコウモリが飛んで来た。ザハールの首に巻かれている蛇のズミーヤが反応を示す。


「ひぇっひぇっひぇっ……さてさて……これで『伝説の【魔剣】』はダンケル様の物ですな。私めはこの魔物どもの死骸を回収しておきます故、どうぞ魔剣がある『棺の間』へお急ぎ下さい……」


「おう、任せたぜ。その間に、『儀式』も進めておけ。トーマスが背負ってる6本の杖が必要だろう? 言っておこう」


「……御意」


 蛇のズミーヤがザハールに何か言いたげにして、魔力の波動を発する。


「……何だ?」


「……それが、まだ上に数体、トロールが残っておるようで……。私めが使役したコウモリが見つけましてございます。ひぇっひぇっひぇっ……何故かはわかりませぬが、既に死骸となっているものもあるようですじゃ……」


「ほぅ……そうか。どうするつもりだ?」


「先程の2体ほど強力ではなさそうなので、儀式で〈魂を捕縛〉した後に私めが退治して参りましょう……。可能であれば、白い髪の少女も捕らえたく存じます……ひぇっひぇっひぇっ……」


「そうか、好きにしろ」


「御意……」


 ザハールは頭を下げる。ダンケルはグレースとトーマス、そして倒れたコールソンの下へ向かう。


 コールソンは意識がないが、ザハールとグレースが回復魔法で応急処置していた。特にグレースは戦闘中から今までずっと回復魔法と解毒魔法をかけ続けていた。


 グレースもしゃがみ込んでグッタリしている。


「よぉ、お前ら。無事だな? ……グレース。大丈夫か?」


「……はい。私は無傷です」


 グレースは疲れ切っているが、気丈に振舞った。


 そしてダンケルは意識がないコールソンを見る。


「おいおいおい。コールソンの野郎、情けねぇな‼」


「そんな……」


 トーマスは悲しい顔をした。続けてダンケルはグレースに確認を取る。


「処置はしたな?」


「……はい。私とザハールで回復と解毒の魔法をかけましたけど、穢れた魔物の武器で斬られたから……、もう少し解毒して、しばらくは安静も必要だわ……」


 グレースが心配そうに言った。


「そうか。立てるか?」


「……はい」


 ダンケルはグレースを起こす。


「おい、トーマス。お前の背中の6本の杖はザハールに渡して来い。それ確か、かなり小さく圧縮してたよな?」


「は、はい! 圧縮状態でも全部で60キロくらいあります」


「クハハッ。お前、よくその状態で戦ってたな! まぁ俺も余裕だろうけどな!」


「い、いやぁ……降ろしてる余裕なくって……」


「まぁ良いんじゃねぇの? 鍛えられたろ! ギャッハッハッハ」


 蛇の霊薬を飲んだ直後はいつもこうだ。酒を飲んで酔っ払ったように、ダンケルは無駄にテンションが上がっている。その割に、よく戦闘中は冷静に行動できていたものだ。


「トーマス。お前はザハールに杖を渡したら、コールソンを背中に括り付けて先にキャンプに戻って治療させろ。手強い魔物はもういねぇから、1人で戻れるだろう。足跡魔法を使え」


「わ、わかりました!」


 トーマスは十分強いが、少し臆病な男だ。1人で戻れるか不安になった。


 トーマスは一旦、コールソンを最下層の横穴の入口で寝かせ、ザハールの下へ向かう。


 ダンケルはグレースを連れて、再び最下層の横穴の奥、『伝説の魔剣』の棺がある『棺の間』に入っていく。グレースはかなり辛そうにしている。


「お前にも蛇の霊薬が効けば良かったんだがな……」


「……そ、そうですね……」


 話を合わせはしたが、グレースは蛇の霊薬なんぞ使いたくもない。幸いにも、グレースは体質的に蛇の霊薬が全く効かなかった。正確に言えば、呪われている霊薬の効果は、グレースが持つ『魔神器アーティファクト:ハリの水晶』の魔力で打ち消されていたのだ。

最終的には縛りがありつつも、【主人公が圧倒的な強さで無双する物語】です☆

ゲームやアニメのアニメーション経験者ならではのアクション描写にご期待下さい!


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 ☆配信スケジュール という投稿で次回以降の配信が確認できます!


作者ページ

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