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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第六章:盲信は鏖殺に帰す
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そして、陽は闇に包まれる

どうも皆様、泥陀羅没地です。


一週間前に私が始めたゲームを覚えていますでしょうか?。


一週間にどれだけ投稿出来るのか、と言う企画でしたが、その結果は何と"9話"。


個人的には、その2倍は行きたかったのですが……残念な事に、予定外の急用と執筆中にサイトを閉じてしまうと言う凡ミス(バックアップ出来ていない)により、この様な結果に……。


しかし、結果は結果、変えようの無い事実です。


次に同じ事をする時は其の辺を対策して挑みたいと思います。

あの野郎(竜王)……粋な事をしてくれる……。


「『さぁ、狂宴に募るる幾万の参加者、五匹の客獣、四の騎士……ゲームを盛り上げろ、〝()〟から言う事はただ1つ……〝好きにしろ〟』」


折角だ……どうせなら、派手な幕開けとしよう♪



ハデスがそう言いながら、声を紡ぐ。


「〝魔造偽龍炉〟……〝起動〟」


その言霊に応じて、ハデスの身体から、莫大な……件の竜王を遥かに上回る魔力が流れ出す……まるで、一時の頂きへ足を掛けたプロフェスの様な、そんな人ならざる魔力の波が。


「〝偽る者、形無き者、虚ろの道化、愚かな王者〟」


プロフェスの魔術は、このイベントにおいて、途轍もない効果を示した、幾万の群れを掃討する……〝混沌の暴威〟でもそれ自体は成せるだろう……時間さえ有ればだが。


「〝我は象る者、再現者、改変者……全と一を併せ持つ者〟」



今回の獣災はただでさえ不確定要素の多い物だ、同一で異なる異形達、裏で糸を引く黒幕とその配下、下手な長期戦はそれこそ不利となる。


プロフェスのあの能力は、本来は別の魔術に用いる腹積もりだったのだろう、全魔力と、数ヶ月の魔力を前借りして放つ術の強化……それが最も効果的なのは単一の魔術、あの様な、量の術では無い。


「〝怨火の十剣、毒水の百矢、病風の千槍、穢土の万斧〟」


だが、アレは此度の獣災の危険度を理解し、その力を、獣災の処理に割いた……後に続く者達を信じて。


「〝影間より来たれり、我が具装よ〟」


幾千の、幾万の、幾十万の魔術の武器として獣災へ放った……。


「意趣返し……いや、少し違うな……パクリ、オマージュ……模倣……〝改造〟……そんな所か?」


その、プロフェスの魔術は、悪意に侵され、その在り方を歪められ、今、人へ刃を向けた。


「さぁ、音楽を鳴らせ……宴には耳遊ぶ歌が必要だ」


指鳴りと共に、魔術の武装が飛翔する、そして。



血を撒き散らした。


肉を砕いた。


骨を擦り潰し、臓腑を切り刻み、悲鳴と恐怖が耳に響いた。


壁の外で厄災を迎え撃たんとした、守護の者は、老若男女、青熟問わず、尽くが屍と帰した。


「クフフッ♪……フフッフハハッ、アッハハハハハハハハハハッ、良いッ、やはり人の恐怖の声は何時聞いても愉快だなぁッ!」


……しかし。


「お前達の絶望はまだ先だ……その悲鳴は、籠の中の鳥が奏でる物だ」


――ブブッ……キィン――ッ――


「『それでは、第二幕の開始に乗じ、ステージを変更しよう♪』」


荒野を、異形の群れが埋め尽くす。


「『人魔入り乱れる地獄に選ばれたのは、王都サクリスク、鳥籠は壊された、安寧は混沌に、希望は絶望に、生は死へ……そして全てを、お前達の総てを蹂躙する、恐れ震え、座して祈れ……お前達の神は、はたして助けてくれるかな?』」




●○●○●○



「此処が……〝聖域〟」

「その通りです、選ばれた者にのみ、立ち入ることが許される聖域、我が神の命により、貴方を連れて参りました」


城壁が崩れる少し前……アーサーは聖皇国の神官に連れられ、大教会の地下を進んでいた。


導かれたのは、白い、それはもう白い空間、其処には金の意匠が掘られた石柱と、大きな女神像、そして地面に描かれた奇妙な魔術陣が有った。


「陣の中で祈り、神へ呼び掛けて下さい、私の役目は此処までです」


そう言うと、神官の男は部屋を出て行く。


「祈り……か、初めてやるな」


戸惑いながら、アーサーは陣の中央に膝を折り、腕を組み祈祷する。



『良く、来てくれました……守護者アーサー』

「ッ!?」


そして、それは美しい声と、思わず膝を付いてしまう程、清らかな力の奔流により妨げられた。


『私は、善神アフラーマ……守護者アーサーよ、良く聞きなさい』

「はい」


アーサーのその声を聞き、善神は曇らせ語り始める。


『今、この地に獣災が起きていることは知っていますね?』

「はい、それを止める為に……ハデスの悪行を裁くために、僕はこうして来たのですから」

『……そのハデスは、悪神アーリーユの命によって、世界の破滅を呼び込もうとしています、このままでは世界が歪み、崩壊してしまうでしょう』

「……」

『守護者アーサー、貴方にハデスの消滅を依頼したいのです』


アフラーマがそう言うと、アーサーの眼前にウィンドウが現れる。


―――――――

特殊クエスト

【ハデス討伐】

世界の崩壊を目論む悪神の手先、ハデスを討伐して欲しいのです、報酬は心ばかりですが用意します、どうか、貴方の手で世界を救って頂きたい。


報酬:???


―――――――


「アフラーマ様、申し訳有りません……僕はハデスに勝てない」


アーサーは悔しそうに口を噛み、続ける。


「ハデスは尋常ではない、化物です……僕の今の力では、勝つ事は出来ないかと」

『安心して下さい、貴方には、私の力の一片を与えます……ハデスに対抗出来るのは貴方しか居ないのです』


アフラーマはそう言うと、アーサーを見据える……そして、アーサーは少し目を閉じ……そして、真っ直ぐアフラーマを見据える。


「……承りました、必ず、ハデスを倒してみせます……!」


『クエストを受諾しました!』


『感謝します、守護者アーサー……では、受け取りなさい』


女神我そう言うと、女神から淡い小さな光が生まれ、アーサーへ溶け込む。


『職業【勇者】が【女神の使徒】へ変化します!』

『新たな能力〈覚醒〉を獲得しました!』

『固有能力〈???〉を獲得しました!』

『新たな称号〈女神の使徒〉を獲得しました!』

『〈女神の祝福〉が〈女神の寵愛〉へ変化します!』


「コレは……凄い……力が溢れて来る……コレなら」

『御行きなさい、貴方の手で、世界を救うのです』

「お任せ下さい、必ず……必ず役目を果たしてみせますッ」


それだけ告げると、アーサーは光となって消える。


『……フフフッ♪』


残ったのは、女神の笑顔を貼り付け、憎悪に燃える醜悪な女だけだった。



○●○●○●


そして、時は戻り……。


「ひ、ギャアァァァッ!!!」


街は地獄と化していた、街に住まう者達の悲鳴、獣の嘲り、身体を八つ裂きにされた男、首を引き千切られた女、毒に侵され死んだ赤子、獣に身を喰われもだえ苦しむ童達……そして、それを見て尚、獣に歯が立たず、蹂躙される守護者達。


「あ、嗚呼……神よ、どうか我等を救い給――」

「嘘よ…こんなの、悪夢だわ……」


良い絶望だ、良い憎悪だ。


「ハデスーッ!」


街道を歩いていると、横から守護者の男性が飛び出す……ふむ、憎悪は良し、装備の質は良い……だが。


「中身が伴っていないなら、話にならんなぁ」


――パチンッ――


「ガァッ!?――ゴッ……」


指を鳴らすと共に、影から触手が現れ男の腹を、喉を突き抉り、そのまま引き裂く……飛び散る血液が石畳を赤に塗り替えて行く。


「あ、悪魔め……貴様、呪ってやる……呪ってやるぞォッ」

「へぇ、それは愉しみだ、是非呪ってみてくれ……それじゃあな」


瓦礫に埋もれ、俺を睨み呪詛を吐く神官に蟲の群れをけしかける……虫の肉を千切る音と、悲鳴が響き渡り……場を離れて5分後に、その悲鳴は途絶えた。


「う〜ん……被害は建物が四割……人間が六割か……」

「……居た」


――キィンッ――


「「……あぁ、久しぶりだな……ニノ?」」

「ん、久しぶり……ハデス……名前覚えてくれてた」


取り敢えず縦に裂かれた頭を戻し、眼前の和装の少女を眺める……アレからだいぶ経つ……随分と強くなったな……コレなら壊れなさそうだ……しかし。


「悪いが、今お前に構ってる暇はない……〝セレーネ〟」


俺が喚ぶと、影から1人の女性が飛び出す。


「応ハデス……急に呼んで何の用だ?」

「雑魚ばかりでは飽きたろう、コイツと遊んでやれ」

「んぁ?……へぇ?……こりゃ良いな、楽しめそうだ」


セレーネが好戦的な笑みを浮かべ、対するニノは顔を冷たくする。


「私は、ハデスが良い」

「それは悪いなニノ、それはまだの機会にしてくれ」

「嫌」


――ギィンッ――


「聞き分けのない娘だ」


ニノの刀を掴み、動きを止める。


「今やる」

「断る」


掴んだニノを、セレーネの方に投げる、そして。


「〝呪印片生檻〟……セレーネ倒せたら来ると良い」


それだけ告げて、俺は大通りの先の、大教会へ向かう。



●○●○●○



「……むぅ、逃げられた」


和装の少女、ニノは暗い闇の奥に消えたハデスを見ながら、頬を膨らませる……そして、観念したのか、赤髪の美女を見据えた。


「あのタラシ野郎、また女たらし込んだのか……節操無しと言うか、無責任と言うか……」

「………貴方」


――ギィンッ――


「ハデスの何?」

「あん?……一応部下だな?」


ニノとセレーネが剣と篭手を打ち鳴らし合い、問答する、するとニノはその答えに、僅かに口角を上げる。


「そう……なら、私が先」

「……何が言いてぇ?」


――ギィンッ――


「私はハデスの友達、部下よりも親密」

「……」

「この差は大きい」

「……成る程、つまりお前は――死にてぇのか」


――ドゴンッ――


ニノの挑発に、セレーネが青筋を浮かべる。


街の大通りに突如現れた黒いドームの中で、美少女と美女の〝殺し合い(キャットファイト)〟が始まった。





「匂う、匂うなァ…神臭い」


大通りを闊歩する、黒服の仮面を着けた男は、道化の仮面越しに、目を爛々と輝かせ、道の先の大教会の……其処に聳える女神像を睨んでいた。

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