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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第六章:盲信は鏖殺に帰す
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龍の国へ

訂正→サブタイトルが1つ先の物へなっていたので修正します。



「ほう……まさか馬車の中がこれ程広いとは……まさか〝時空魔術〟か?」

「ハッハッハッ、そんな〝難解〟な術理じゃ無いさ、馬車の内部に結界を用いて俺の〝世界〟への入口を置いただけだ、時空魔術なんざ俺にはまだ扱えん、〝時の概念〟自体が俺には理解しきれないのだからな」


何時かは物にしたいがね……さて。


「そう言えばエレノア、お前人に成れたのか」

「む?……あぁそうだな、我々龍は時偶精霊達の所へ赴くのだが、本来の姿では近隣の人間の目を惹くだろう?精霊達の元へ人間が集まるのはコチラも向こうも迷惑だ、故にこうして〝人化の術〟を備えているわけだな」

「成る程、俺の〝異形化〟とは近いが別か、まぁ良い、どうせなら互いに話でもしながら茶会でもして龍の国への道中を共にしようか……お前等もそう緊張せんでも、別に食わんだろ……多分」

「ハッハッハッ!そう固まらずとも良い、先刻は愉悦に気が緩んだだけの事、ハデスの部下である君達を喰い殺すつもりは毛頭ないとも」


エレノアの言葉に張り詰めていた緊張の糸を解くバリット達。


「エレノア!今度私とも戦え!ハデスだけずりぃぞ!?」

「「「セレーネ!?」」」

「ハッハッハッ、中々元気なお嬢さんだ、安心したまえ、我が国では暇を持て余した若いのが沢山居る、セレーネ殿程の腕ならば彼等も満足出来るだろう」

「相変わらず血の気が多いなぁセレーネは……」

「「ソレを(貴殿)が言うのか……」」

「何だよ、個人への感想と俺の素行はイコールではないだろう?……はいよ、出来たぞ〜」


俺は出来上がった焼き菓子をテーブルに並べて行くと、エレノアが物珍しそうに見渡す。


「コレは……?」

「クッキー、カップケーキ、アイス、後はフルーツパイだな、此方は俺の行き付けで買って来た〝アップルパイ〟、美味いぞ」

「ほう……それでは」


――サクッ――


「――ッ!甘いッ、サクリとした食感と、溢れんばかりの甘味、香るバターの香り……そして」


――カチャッ――


「紅茶も美味い、甘味とよく合うッ!」


そう言うとエレノアが菓子を頬張り始める……どうやら口に合ったらしい。


「主様、どうやらエレノア殿がこの場所に居るせいか、飛竜達が逃げて行きます」

「ふむ、それならもう少しペースを上げても構わんか」

「――ふぅ……すまんな、初めて甘味と言うものを口にして少し我を忘れていた……飛竜を狩りたいなら我の気配を隠そうか?」

「いや構わん、道中数百は狩り殺した、もう腹一杯だ」

「底なしの胃を持つ癖に良く言う」

「違いない」

「「HAHAHA!!!」」


――カチャッ――


「で、だ……」


雑談の最中、不意に目を細め俺を見るエレノア……に言う。


「警戒するのは構わんが場所を考えろ、俺以外にまだ幼い童が居るんだぞ?」

「……むぅ、それはすまんな、しかし聞かねば成らん……何故、我等が国へ向かう?場合によっては此処で――」

「そりゃお前、龍の国にある〝淀み〟を処理する為だよ」

「殺さねばならん……………何?」

「淀みだよ〝淀み〟、概念に逆らった行為の果てに生まれた不純物、神さんから仕事で頼まれてるんだ」

「か、神ッ!?……まさか貴殿、いや貴方様は神の「止めろ畏まるなッ、むず痒いわッ!」――ッ、コレは失礼…いや、すまなかった、まさか神からの頼みとは知らず、動転してしまった」

「まぁなぁ…普通〝神様に頼まれた〟とか何言ってんだコイツとしか思わんだろうさ……その〝眼〟は種族特有のもんか?」

「うむ……〝龍の眼〟は龍が生まれながらに持つ〝見通す目〟だ、私の眼は対象の個体情報、弱点、性質を知れる、つまり〝真実〟を視る事に特化した眼だ、有る者は同種の何倍もの視野を持つ者も居る、龍王様は……特殊な事例だ」

「〝先の未来〟が見える……成る程、種族通して眼の性能は強いが、その特性はランダムなのか……中々面白い」


――ペチペチッ――


「ん?……どうしたアジィ?」

「シャーッ」

「腹減ったのか?」

「シャーッ!」

「ふむ……じゃあほら、飛竜の肉でも食ってろ」

「シャーッ♪……〝――――〟」


――ボオォォッ――


「コイツ、蛇の割に文明的な喰い方を……小癪な」


『ちょっと待て!』

「ん?」「シャー?」


俺がアジィと戯れていると、横からセレーネとエレノア達が叫ぶ、どうかしたのか?


「何でアジィが魔術使えるの!?」

「いや、お前等も使うじゃん」

「何時覚えたッ!?」

「ん?そりゃ俺の実験室の魔術書読み漁ったんだろ、コイツ賢いし」

「……君はアジィ、殿と話せるのか?」

「そりゃまぁ、なぁ?」

「シャーッシャーッ!」


言葉が無くとも色が見えるならやりたいことを知るのは容易いさ。


「それよりもだ、そろそろ見えて来たぞ?」

『???』

「何がだ?」

「え?いや……龍の国の入口だよ」


『…………………』


「いや、イヤイヤイヤ、まだ入って1時間も経ってないだろう?陽も殆ど変わって……ない……し」


エレノアが窓を見……そして固まる……その視線の先には。


「りゅ、〝龍門〟ッ!?」


巨大な渓谷……龍の国への門が有ったのだから。


「〝スレイ〟、〝アンヴァー〟、〝バイコー〟……コイツ等はただの死霊馬ではない、ちゃんと意味が有る」


〝スレイ〟は六足の王馬、二匹の〝先導役〟、その力は〝王の責務〟、二匹の能力行使に扱う魔力を負担する、故に最も強く、最も魔力を保有していなければならない。


〝バイコー〟は異端の駿馬、その能力は〝無法の駿脚〟、風を追い越し、音を追い越す程の速度を己と、周囲に付加する。


〝アンヴァー〟は不浄の護馬、その能力は〝報復の盾〟、3馬と馬車に怨念の結界を施す、アンヴァーが敵と認識した者にダメージを返す、そして結界内に居る不浄の同胞に常時の持続回復を施す。


単一では大した事も成せないが、真価は三馬一同に至ってこそ発揮される……風を追い越す程の速度で音もなく駆け、敵から搭乗者を守り、傷を癒やし、溢れん魔力でソレを補う司令塔、まさに〝最強の馬車〟と化すのだ。


「道中は竜を狩りながら行こうと考えていた、その為、コイツ等の能力を使うことは無かったが、目的地に最短で進むだけならばこんなものだ」


景色も一面荒野で代わり映えせんし、わからないのも無理はないがな。


「そんな事は置いておいて、早速龍の国へ訪問と洒落込もうか」



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