白龍エレノア
どうも、泥陀羅没地です。
龍、それは人の見た夢の幻、強さの象徴。
もし仮に、龍が居て、己に戦えるだけの力が有れば、戦ってみたいですか?。
私はしてみたいです。
――ドゴンッ、ドゴンッ――
セレーネが竜の頭蓋を叩き潰す、タラトが糸で竜をバラしていく、グルーヴが羽の弾丸で穴だらけの竜を創る……それのお陰か、竜の数は劇的に減っていった……そして、セレーネ等も進化を果たし、その武器も魔剣と成った。
――――――
【グルーヴ】
【屍黒貴鳥人】
生命力:55000
魔力 :55000
筋力 :45000
速力 :60000
物耐 :45000
魔耐 :45000
信仰 :40000
器用 :50000
幸運 :30000
【保有能力】
〈戦扇術〉LV:6/10
〈武踊術〉LV:6/10
〈風操魔術〉LV:5/10
〈気配察知〉LV:5/10
〈魔力察知〉LV:5/10
〈礼儀作法〉LV:8/10
【保有称号】
〈ハデスの部下〉〈色欲の騎士〉〈死鳥の令嬢〉〈色香の踊り子〉
―――――――
―――――――
【貴翼の鉄扇】
色欲たる麗鳥の令嬢に賜れし鉄扇、焦がれる彼女と共に歩み、私は新たに再誕する、華麗に美しく敵を屠り、より美しく彼女を飾ろう
―――――――
「主様ッ、どうです、私のこの美貌ッ!」
「あぁ、綺麗だな、お前の美貌も益々冴え渡ったな、綺麗だ」
「ッ!…ウフフフッ♪」
―――――――
【タラト】
【屍賢者女蜘蛛】
生命力:45000
魔力 :60000
筋力 :45000
速力 :45000
物耐 :50000
魔耐 :55000
信仰 :30000
器用 :55000
幸運 :40000
【保有能力】
〈鑑定〉LV:8/10
〈糸操術〉LV:6/10
〈罠術〉LV:7/10
〈四属性魔術〉LV:4/10
〈隠密〉LV:6/10
〈考古学〉LV:6/10
〈言語理解〉LV:8/10
〈道具作成〉LV:6/10
【保有称号】
〈ハデスの部下〉〈強欲の騎士〉〈知欲の賢女蜘蛛〉〈古くを知る者〉
――――――
――――――
【欲手の奪杖】
強欲たる賢蟲の探求者に賜れし魔杖、知の果へ至らん貴公と共に、我は新たに再誕せん、汝は己のままに生き、我はその先を知る為にこの力を振るおう
――――――
「フフーンッ、私の姿はどうかな?」
「そう心配せずとも、お前等3人容姿は整ってるだろうに……ただやはり睡眠は取れ、骸でも寝ないと精神的にキツイだろう?」
「……むぅ、それでは母親じゃないか……」
「母ではなくお前の〝主〟としての忠言だ、お前に死なれるのはまだ困る」
「まだねぇ?……何時かは死ねと?」
「そうだな、何時かは俺の為に、最高の劇場で死んで貰う、不満か?」
「不満なものか、だがそれなら私は生きる今を好きに生きるよ?」
「今でも散々好き勝手に生きてるだろうが」
「今まで〝以上〟に……だよ」
「……では、俺も合わせようか?」
「ッ――い、いや「オイ」…あ」
タラトとの〝御遊び〟を止めて、馬車の出口を振り返る、其処には漸く処理が終わったセレーネが居た。
――――――
【セレーネ】
【屍戦の独鬼】
生命力:60000
魔力 :50000
筋力 :60000
速力 :55000
物耐 :55000
魔耐 :50000
信仰 :20000
器用 :50000
幸運 :30000
【保有能力】
〈弱点看破〉LV:6/10
〈武器術〉LV:6/10
〈無属性魔術〉LV:6/10
【固有能力】
〈我道天崩〉
【保有称号】
〈ハデスの知己〉、〈破壊の闘鬼〉、〈悪神の興味〉、〈大食い〉
――――――
「昼間ッから〝何〟おっぱじめるつもりだ?」
「……そりゃまぁ、なぁ?」
「へ?…あ、いや……ソノ」
「……」
「何だ、お前も混ざりたいのか?」
「ッはぁ!?ば、馬鹿かお前―「ん?…ッ!…クフフッ♪」……?」
――ゾワッ――
『ッ!?』
突如、何の前触れもなく〝何か〟が太陽を覆った……漏れ出す気配が、漏れ出す魔力が、辺り一面の生命を萎縮させる……。
「ね、ねぇボス……こ、この、この気配まさか」
「カハハッ、キヒッ、キヒヒッ♪」
「おい、ハデス、聞いてんのかッ!?」
「クハハ♪聞いてる、聞いてるともッ、間違い無く龍だ、この気配の大きさは紛れもない〝化物〟だとも!」
さぁ、当初の目的、その先触れやもしれぬ龍が居るのだ、是非とも――。
『あまりお勧めしません』
――是非とも〝遊んでみたい〟♪
○●○●○●
――バサッ……バサッ……――
「ふぅむ……あの馬車か?……〝死霊術〟とはまた珍しい」
既に滅びたと思っていたが、よもやまだ存伝していたとは……それも凄まじい使い手の様だ。
「あのレベルの死霊を容易く作れる腕前……間違い無いか」
早速コンタクトを――む?
「誰か出て来たな……男か?……ッ!?」
彼は……〝白龍エレノア〟はその男を〝視た〟……そして、其処に映し出された視覚情報に目を見開いた。
――――――
【見たな?】
【見たな?】
見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな―――
――ブツンッ――
「な、何だ……今のは、私の目が弾かれた!?」
「覗き見とは良い趣味してるじゃないか♪…なぁ〝龍〟」
「ッ!?」
凡そ人が来れるはずのない空、その筈の空を1人の……翼を生やした人間が口を歪めて浮いていた。
「うん、うんうんうんッ、やっぱ龍は良いなぁ、全然ステータスが見えない、それでこそ遊び甲斐が有ると言うもの」
「……貴殿、人か?」
「ん?何だ態々人語で話してくれるのか、助かるなぁ……ま、お察しの通り俺は〝悪魔〟だ、ちょいとお前等に、お前等の国に用が有って来た」
「……我は〝エレノア〟、此度此処に参ったのは龍王様の命だ」
「へぇ?……その龍王は何て?」
「〝此処へ行け〟と、それだけだ……龍王様の言っていたのは貴殿で間違い無いらしい」
「へぇ……その龍王、予知か何か使えるのか……ん、いやいや、今は姿の見えない龍王より眼の前のお前だ」
――ビュンッ――
「ぬ?」
「少し遊んでくれ、もう堪えきれそうもない」
――ドゴォッ――
瞬間の間もなく眼の前に現れそう言うと、ハデスはエレノアの頬を殴り飛ばした。
「硬いなァッ!」
●○●○●○
「うわ、アイツ本気でやりやがった!?」
「い、いやぁ……分かってた、分かってたがよぉ」
「自分の何倍も強い相手に躊躇無く攻撃するのは流石としか言えねぇな」
空を見る、彼等の〝主〟と、白き〝龍〟、その戯れと躍動を……憧憬を驚愕を、嫉妬を呆れを…そして、溢れんばかりの〝畏怖〟を。
「「………綺麗」」
「……えぇ、本当に」
始まりの下僕と、拾い物の双月は、その光景に、ただ〝美〟を見た。
変幻自在な雲の様に空の形を変える〝黒〟。
空に君臨し、決して変わらずその威厳を見せ付ける〝白〟。
陽の中で生まれた〝夜の空〟を目に、見惚れ、魅入られていた。
そして、彼の〝男〟もまた――ッ。
○●○●○●
「ハッハッハッ!……全然死なねぇ!」
その存在に魅入られていた……〝龍〟、幻想の怪物、誰もが知り、幻想に見切りを付け、そして空想に仕舞い込んだ真の〝夢〟。
作り物だ、紛い物だ、科学の世界に現れた泡沫の幻だ……そうだと理解して尚、この〝本物感〟、それが堪らなく嬉しい。
「それで良い、それでこそ龍、遍く人が想い、焦がれ、微睡みに見出した夢幻の化物ッ!……決して届かない、届いてなるものかッ……〝人如き〟に倒れる龍は最早龍ではないッ!」
しかし、だからこそ……そんな〝完全な上位種〟だからこそ。
「殺すッ、幾年が経とうと、幾度死のうと、何度でも、何百でも挑むッ、俺の〝空〟が満ちるまで!」
龍、その存在と邂逅したこの瞬間だけでも、この世界に来た価値は有った……だが。
「それは今ではない、今は〝俺〟としての目的を果たそう……嗚呼、本当に惜しい、今この瞬間が終わるのが惜しいなぁ……」
「……良かろう、貴殿の〝渾身の一撃〟、〝我の得意〟で受けてやるとも」
「助かるエレノア………〝偽りの教典――ッ」
「ッほぅ!?」
そして、膨れ上がる〝魔力〟の嵐……爆発的に膨れ上がる〝天と魔〟……人の身以上に剥き出しにされた、悪魔ハデスの〝本気〟。
「〝堕ちし明けの明星〟」
空を引き裂き、大地へ叩きつけられる巨大な〝星の礫〟、見る者が見れば余りの小ささに拍子抜けするだろう。
「凄まじい〝力の塊〟だ」
纏う密度が違う、纏う魔力が違う、街へ落ちたアレが御遊びに見える程の魔力、ソレをあの百メートルに満たぬ形に〝圧縮〟している、人に到底止められぬ理不尽、それに対して、龍もまたそれに驚き、悦に浸っていた。
(悪魔、誰の庇護下にないただの悪魔が、よもやこれ程までの力を有していたとは……実に愉快)
悪魔の全力、想定以上の力を前に推し量る……無論凌げる、だが自身も全力で動かねばタダでは済まないと理解できた、それが真に喜ばしい。
永きを生きて、数百年、平穏でそれなりに充実はしていたが真に戦う、殺し合う事は稀であった……眼の前の悪魔は、そんなまたとない機会を与えてくれた……それが堪らなく楽しい。
「我が全霊の力を見よ、悪魔よ!」
口を開く、心の臓腑、龍の核より莫大な魔力を生む、ソレを圧縮し、変換し、溜める、口から白い光が漏れ出す……そして。
「〝白龍の破光〟」
白龍の口から純白の光が飛び出し、空よりの破壊へ衝突する。
―― ――
大気が揺れる、ぶつかり合いの余波で風が泣き叫ぶ、暫し拮抗していた、その2つ、その均衡は崩れ……白き光が、破壊の礫を呑み込んだ。
「ふぅ……満足だ」
そう告げると、悪魔は羽を畳み、降りていく。
「来いよ、エレノア……話でもしながら、お前達の国へ向かおう」
「うむ、そうしようか……所で、貴殿の名は?」
「あ、そう言えば名乗ってなかったな……俺は〝ハデス〟、死霊の悪魔だ」




