世界の記録と龍への旅路
どうも、最近暴走中の泥陀羅没地です。
本来は
・世界の収集情報を閲覧
↓
・復活した仲間と軽めの模擬試合
↓
新たに拾った双子狼達を連れて龍の国へレッツゴー!
……の筈が。
・世界の収集情報を閲覧(想定内)
↓
・復活した仲間と軽めの模擬試合(長い、想定外)
↓
新たに拾った双子狼達を連れて龍の国へ(想定内)
と言う、久しぶりに部下の戦闘を書いてテンション上がった結果、長くなってしまうと言う事態に……。
ま、でも長いと読者の皆様もそれだけ楽しめるし、私も楽しいし良いよね!?
――カツッ……カツッ……――
『コチラが、目的の場所となります』
「ほぉ〜……中々綺麗だな、星の踊り場の様だ」
『フフッ、中々洒落の効いた例えですね』
薄闇に、色取り取りの光が舞う空間で、俺と……ノアは居た、無論暇潰しに来たわけでは無い。
「一応聞いておくが、此処での俺の〝注文〟は?」
『えぇ、〝契約〟に則り、貴方の問うた問答への記録は削除されます』
「宜しい、下手に探られるとサプライズに成らんからな♪」
俺がイベントに出場する、その際に運営から申し出られた取引の報酬の為だ。
『それでは、私は退出致します』
「あぁ、と言っても〝お前〟に聞くんだが」
――……――
星の踊り場、数多の色が回る中で、俺へ無機質な声が響く。
『権限を確認……完了〝特殊認可入室者〟、個体名:ハデス……こんにちは、私は〝世界〟……貴方の知る〝ノア〟の本体であり、分体……同一存在です』
「おう、よろしく世界……それでは、何時までも部外者が居座るのも何だ、早速始めても?」
『認識しました、〝世界の記録〟にアクセスを開始します……閲覧可能時間は〝10秒〟です』
「オーケー……少し待て、ちょいと気合い入れる」
一種のボーナスステージだ、〝10秒間の全知閲覧権限〟……俺の持つ器の調整に、運営が参加する……本来は〝不要〟な筈の融通、日頃の行いの賜物だな。
――パンッ――
「それじゃあ、スリーカウントと同時に〝接続〟頼むよ」
『了承……接続開始します……3……2……1』
――プツンッ――
視界が黒に染まる……さぁ、開始だ。
『俺の世界の全体図を――』
『その世界の大地――』
『淀み許容範囲――』
『善悪の均衡状況――』
『善神の所在――』
『魔力――』
『お――』
一気に脳を働かせる、それと同時に複数の情報が流れ始める……重要な箇所だけを見て記憶する。
『………〝10秒経過〟』
「――ッ!……チィッ」
元の視界に戻り、起き上がる……後数秒有れば4割は覗けたが……まぁ構わない。
「必要な情報は〝抜けた〟……注文通り閲覧記録は抹消してくれよ?」
『了承』
俺は消える途中、〝世界〟にそう言い残し元の場所へ戻った。
●○●○●○
「良し、それじゃあ次の目的地……〝龍の国〟……へ……」
「「「「「………」」」」」
考えろ俺、眼の前にはフラストレーションが溜まった5人の部下、そして俺の今の位置は窓辺のない壁際……此処から先へ、逃走するなら……ズバリッ…〝従魔との触れ合い大作戦〟だな、うむ、コレならば逃走確率100%間違い無いッ!
「おっと、俺としたことが日課のアジィ達との触れ合いを忘れていた、コレは行けない……では――」
「アジィ、美味しいですか?」
「キシャーッ♪」
「………」
「「「「「…………それで?」」」」」
「あ、アンヴァー達は――」
「私の部下が旅用に手入れして居ますよ?(ニヤニヤ)」
「……(スッ)」
両手を上げ、俺は降参の意を示し……脱兎の如く逃げッ――ッ!?
――ガシッ――
「何ッ!?成長した俺よりも更に早くッ!?」
「応、酷いじゃねぇのハデスゥ……可愛い部下がお前の目覚めを待ってたったのによぉ?」
「ウフフッ、そうですわ……ねぇ、タラト」
「うんうん、そうだよボス……ほら、僕達が動けない間随分楽しそうな事してたじゃないか?」
「「……」」
「え〜っと……つまりは?」
「付き合え」「付き合って?」「付き合って下さい♪」
「「俺も同行しよう」」
「……(チラッ)」
「シャーッ♪(パクパクッ)」
「……(ヒラヒラ)」
「ま、付き合ってやれよ…プククッ」
………仕方無い、コイツ等のストレス発散に付き合ってやるか……それはそうと喰らえ俺の〝必殺:中身移し〟……ブハッ♪コイツ吐きやがったッ!…うぇっ!?ベクターお前辛くないのか味覚死んでんのか?……あ、元々俺等死体だ――。
「おい」
「――アッハイ」
――ズズズッ――
「お〜……毒沼、荒原、錆鉄の丘、石柱、草むらに屍肉の山……随分と愉快な事になったなぁ」
――ブワッ――
5人の身体から魔力が溢れる、良いぞ良いぞ……しかし。
「やはり一ヶ月動けなかったのは痛いな……アーサーを仕留められるかどうか――ッ」
――ドォンッ――
「ッて所か」
「チィッ♪」
だが俺の想定ではアレはもう一つ進化した筈……なら少し厳しいか……うむうむ。
「良し、龍とコンタクト取るのと序でに、お前等の全面強化も目的に据えるか」
「ウォォォッ!!!」
――ドォォンッ――
肉薄するバリットの大剣を掴んで止める。
――ガシッ――
「お?」
「うぉら!」
バリットの巨腕が俺を掴み、沼地へ投げ飛ばす。
「タラトッ!」
「分かってるよ」
――ピンッ――
「ん?」
――ドドドドッ――
沼地から、鋭利な槍が迫る、この短期間で罠を張るとは流石タラト。
「だがまだまだ甘いな」
「嘘ッ!?」
――バリバリバリッ――
腕から創った〝蛇〟に俺の身体を食い尽くさせる、そして槍を擦り抜けさせ、沼地に着地する。
――ボコッ――
――パァンッ――
「次はッ?――ッ」
――ギロッ――
「ウッ、バレたッ」
「惜しいなディヴォン、潜ってたらワンチャン有った」
――ギンッ――
「まだだよボスッ、〝影蛇〟ッ!」
「ッ!」
奇襲を掛けるディヴォンの短剣を弾く、するとディヴォンがそう呟き、姿を消す……途端に黒塗の蛇の影が現れ、俺へ這い寄ってきた。
「成る程、魔術も組み込んだかッ」
「『へへ〜ん、僕も成長するんだよッ』」
「それじゃあこんな使い方も見せてやろうか……〝Φωτιά……Ήλιος…〟」
――ゴォォッ――
空へ放った輝く〝赤い太陽〟が、影を消し飛ばした。
「……へ?」
「全部の影に本体を入れろ、本体1つじゃ狙われたら終わりだぞ?」
――ドッパァァァンッ――
沼地に〝太陽〟を叩き付ける、それと同時に沼地は消えた。
――ビュオォォォッ――
「ウフフッ、主様……踊りましょう?」
「良いだろう、リードに乗り遅れるなよ?」
「素敵♪」
――ガチャンッ――
「〝μαγεία……τείχος……Μυριάδα〟」
――ブォンッ――
――ガチャンッ――
――ドォンッ――
風嵐の繭の中で、俺は銃を放つ、と言ってもこの程度の速度ではグルーヴに当ることは無い、だから。
――ギンッ――
「ッ跳ねて」
「〝跳弾〟、直線に進む飛翔物の角度と壁の角度が良ければ、どんな場所の敵でも仕留められる、空高い塔の上であれ、完全封鎖を歌われる密室であれ……な」
「ッしかし、この程度なら対処は「だろうとも」」
「だから……こうする」
――グチュチュッ――
腕が音を響かせる、それと共に現れる、十の腕と、十の銃を模した屍肉。
「〝十屍:一身十座〟」
「追加だ〝――〟」
――ブォンッ――
風の繭に更に魔力の壁が現れる、そして。
「踊り歌えグルーヴ……踊りも歌も、淑女の方が良く映える」
「――ッ!」
――ドォンッ――
直後、全ての銃口が火を吹き、二人の揺り籠に五月雨る……十の凶弾は、射手の元を離れ荒れ狂い、射手も、標的も構わず貫く。
「黒の淑女、此度の踊りはどうだった?」
「フフッ、フフフッ……とても満足ですわ♪」
そして石柱は消えた。
「妬けるじゃねぇの、えぇ!?」
「そう慌てるなよセレーネ、怒ると美人が益々美しくなるぞ?」
「アチアチのとこ悪いが割り込ませてもらうぜぇッ!?」
大地から凡そ2桁ほどの距離だと言うのに、何時の間にやら弾丸の如くコチラへ来ていたセレーネとバリットに、俺は叩き落される、このままでは地面の染みにジョブチェンジだ。
――……――
「だが忘れたか?…視覚内は全て俺の〝場所〟だぞ?」
「「ッ!?」」
〝上〟からバリットとセレーネの頭を掴み地面へ突撃する……さぁ、何方の頭が硬いか勝負しようか♪
――ブチャッ――
そして、荒原も消えた……。
「『ま、頭が無くても問題ないんだがなッ、HAHAHA!』」
「糞痛えッ!?…テメェ、これ以上馬鹿になったらどうするつもりだコラぁ!?」
「いや、ボスは兎も角何でセレーネは無事なのさ」
さて、気が付けば残り二人か。
「さぁ、さぁ、そろそろ幕引きと行こうじゃないか」
「セレーネ、少し時間稼ぎ宜しく」
「あぁ?」
「何、ボスと殴り合ってれば良いよ」
「ほぉ?何か考えが有るのか、良いだろう乗ってやろう」
「じゃあそれまでは私の相手しろ!」
――ドゴンッ――
――バキャァッ――
拳を打ち合うと共に双方の腕が砕け、そして再生する。
「おぉッ、随分と再生が早くなったじゃないか!」
「そらそうだ、何時までも治りが遅いんじゃ戦えねぇだろ!」
「違いないッ」
全力で拳を撃ち合う事数分、その時だった。
「「んん?」」
「出来たよ〜」
空を、大地を、大きな陣が覆う……コレは――。
「〝結界術〟に〝五属性〟の魔術文字……効果は……ブッ!?――ハッハッハッ!」
「あ?オイ何なんだよ?」
「お前、タラトお前ッ……中々酷えなお前ッ」
「フッフッフッ――いや、何でも有りな君に言われたくないよ」
「あ?……何の話「自爆」……は?」
「自爆」
「本気で?」
「本気で」
「「………」」
「いやぁ、コレで私の勝ち――」
――ガシッ――
「………離してくれない?」
「連れないこと言うなよ、主を置いて逃げる部下なんて許される訳ないだろ?」
――ズブズブッ――
「今なら間に合うからさ?ほ、ホラ離しなよ」
「………」
「ちょっ、セレーネ!?私達味方だよ!?」
「味方を自爆の囮に使う奴が仲間な訳ねぇだろうがッ!?」
「あ、そう言うわけなんで、私は御暇しますね?」
――スルッ――
「「は!?」」
「いや〜、相手の魔術に干渉するのは中々難しかったな〜♪」
「「は、謀ったな〜!?」」
――チュドォォォンッ――
〜〜〜〜〜〜〜
「はい、そういう訳で今から龍の国に殴り込みに行きます、各員自分の身は自分で……守れない奴はベクターと俺で何とかするので安心するよ〜に」
――ガラガラガラッ――
馬車に揺られ移動を開始した昼下がり、漸く人気のない位置に付いた頃。
――カチャカチャカチャッ――
「〜〜♪」
「……で、主よ、何してんだ?」
「何って……〝パンケーキ〟作ってる、ほら丁度おやつの時間だろ?」
「今か?」
「そりゃおやつだからな……何だ、要らんのか?」
「…………いや、分かった、何でもない」
何故か渋々といった風に、バリットが椅子に腰掛ける……あぁ、そう言えば。
「月華と夜雲、随分と綺麗になったな、宝石みたいで美しいぞ?」
「本当に!?ワフフッ、綺麗だってさ月華!」
「夜雲、五月蝿い……」
獣の尾を揺らしながら、清廉な衣装に身を包んだ夜雲が嬉しそうに笑う……月華も嬉しいようで、尾が揺れているな、どうやら言葉のチョイスは良かったらしい。
「〜〜♪……ほれ、〝世界公認パンケーキ〟、世界で最も美味いパンケーキのレシピを元に焼き加減まで完璧に調整したパンケーキだ」
「「「頂きまーす!」」」
「「「「……頂きます」」」」
「おぉ、うめぇなコリャ!」
「紅茶に良く合いますね」
パンケーキの山を減らしながら、俺達は龍の国へ目指したのであった……。
「キシィィ……」
「食い意地張って焼いてる途中の食うからだ阿呆、ほら、冷やしてろ」




