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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:堕天の悪魔と守護の勇者
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守護の勇者、夜明けの悪魔④

偏頭痛と風邪のダブルコンボで小説投稿どころでは無かった泥陀羅没地デス。


喉痛〜い(白目)

「フンッ」

「ブゲェッ」


試合開始から今まで、不本意だが蹴りや殴り、魔術に剣と色々試した、試したが……。


「……面白いな」

(バブ)を殴るとは……貴様〝正気(毒親)〟かッ!?」


巫山戯た言動だが、俺の魔術を耐えるだけの抵抗力と物理耐久を持っている……余程鍛えているのか。


「……ジャックと同じタイプか?――ッ!」

「ヌゥンッ!」


――ドゴォォッ――


「『何だ何だあの男ッ!?カインの猛攻をモノともしないぞ!?』」

「『ふぅむ……中々興味深い』」


「……おいおい…餓鬼がそんな力有るのかよ?」

「我が〝母〟の為ならば、これしきの事当然よ……バブッ」

「……糞雑な語尾だな……さて」


コイツのこの馬鹿げた耐久力と攻撃力は一体何なのか……少し楽しくなってきた。


「仮説1」

「あん?…バブッ?」


――メキョォッ――


「ブ――ッヘェッ!?」

「素の耐久力が高い……その巫山戯た格好でも余裕な程に……(それはない)


現在の守護者の平均スペックは精々が俺の三分の一程度、俺と同じで自身を魔改造しているタイプなら別だが、コイツ自体は純人間だ……言動と性格は〝狂人(コッチ)〟寄りだが。


「仮説2」


――バコンッ――


「ブゲェ!?」

「ジャックと同じ、〝補助アイテム〟による強化……今の所この線だ」


ジャックの身代わりの人形然り、この変態もダメージを肩代わりするアイテム、攻撃力を上げるアイテムを所持している可能性、あり得る……しかし、何処に……イヤ、止めておこう、此処から先は地獄だ。


「仮説3」

「フンヌラバァッ!?」


――ドォンッ――


「称号による能力値上昇……これも無いとは言い難い」


称号には稀にステータスに補正を掛けるものが有る、俺の悪神の祝福の様に、その類いを数多保持しているかも知れない。


それ以外となると……あ。


「ッ――ハッハッハッ、本気であり得るかそれ!?」

「『どうしたのでしょうッ!?カイン選手が突然笑い始めました!?』」

「『何かに気付いたのかな?』」


気付いた、いやこじつけに近いか?……何にせよ偶然だった。


「……〝ソレ〟か」

「この〝クソ野郎(虐待野郎)〟がバブァァァ!!!」


――ドォンッ――


握り拳が地面を穿つ……その手を掴み引き寄せる。


「なぁ、何でお前、何時も握り拳のままなんだ?」

「ッ!?…赤ん坊だからに決まってるバブッ!」

「嘘が下手だなぁ?」


――ギチギチッ――

「イダダダッ!?」

「やっぱり有ったか」

「この……離せやぁぁ!?」


――ブンッ――


空を切るラヴァーの拳から距離を取り、奪ったソレを眺める。


「『カイン選手、ラヴァー選手から何かを奪い取りましたね?……アレは、御守り?』」


「我ながらこじつけが酷い、だがお前が俺へ攻撃に来ないことが何より俺のこじつけに真実味を帯びさせる」

「……」

「下手にダメージを受けたら死ぬのだろう?……〝幸運による食い縛り〟、道理で死なん筈だ、そして、お前の馬鹿げた火力も、大方〝体力が低い程火力が上がるタイプ〟だろう?……そして、この御守りはお前の幸運による食い縛り確率を跳ね上げさせる魔道具だろう?」

「な、何の事バブか?」


――パチンッ――


「いや良い、コレで決まる……どうした?震えてるぞ?…さっきまでの自信はどうした?」

「許して……バブ?」

「……♪」


――パチンッ――

「アギャァァァッ!?!?!?」




変態と俺の試合は……俺の勝ちに終わった……。




それから暫くして……着々と試合は進み……。



「次は〝フェイカー〟と〝リエナ〟か……」

「『さぁ第9試合目ェッ――』」

「……?…彼奴…」

『……む?彼奴…』


――誰だ?――


第9試合目、その舞台に立つ男……〝フェイカー〟……俺はその男の形に違和感を覚える。


『中身がまるで別物だな?』

「……予選で見たより随分と様変わりしてるなぁ?……うん、〝良いな〟……思わぬ展開だ」


悪魔(同種)が居るなとは思っていたが、より強い奴が成り代わったらしい……フフフッ♪


「あぁ、お前はどんな物を見せてくれるんだ?」




●○●○●○


「貴方……何者ですか?」

「あん?……何を言っているのですか?」


少女は………〝戦仕〟のエリセは、眼の前の男の、その異様な雰囲気に、彼女にしか見えないその気味の悪い気配に眉を寄せていた。


(予選で見た時はそれ程でもなかった……でも今は)


彼を中心に立ち込める、黒い靄が、彼を別人だと理解させる。


「私は〝フェイカー〟……ククッ…〝道化〟のフェイカーですよ、戦仕のエリセさん?」

「巫山戯ないで下さい、貴方のその――」

「五月蝿いですね〜?……私は貴方などどうでもいいのですよ」


「『レディ……ファイトッ!』」

「とっとと死ね」

「――ッ!?」


開始と同時に、道化がステッキで床を叩く。


――ズンッ――


「召喚:多頭嗤いの鬼人」

『※※※※』


「『か、開始と同時にフェイカーが召喚ッ!…何だありゃぁ!?』」

「人の身体に……幾つもの小鬼の頭が付いている?」

「次……召喚:継ぎ接ぎ犬猫蠍蛇」


そしてもう一人、通常よりも大きな体躯は二メートルを超えそうな狼の身体に、獅子の顔、3つの尾には蛇と蠍の毒尾……化物が居た。


「さぁ踊れ……醜く滑稽にな♪」



○●○●○●


「つ、つまんねぇ〜ッ!?」

『……悪魔の基本戦術は〝複合獣〟が定番なのか?』


何彼奴、自信満々にドヤ顔で出した攻撃がキメラかよッ!?……うわッ、しかもコイツ雑に貼り付けただけのやっつけだ、鬼の方の頭幾つか無駄になってるッ、獣の方も尾の動き悪っ!?


「こ、殺してェ〜」


いや、俺も造れるけどさ、造れるけどさぁ……こんな不細工お前、あのリグ何とかでも作らねぇぞ!?


「駄目だ……俺だったらこんなもん出した瞬間憤死する」


だが、乱入するのは……クッ。


「せめて……せめて次の試合で俺が介錯してやらねば」


同種としての情けだ、せめて俺の手で殺してやろう……可哀想に。


『……相手の方が可哀想に思えて来たぞ?』


●○●○●○


「ほぅら、ほぅら♪……頑張れ頑張れ、逃げねば死ぬぞぉ?」


「『避ける避けるッ、華麗に避けていく〜!』」

「『ふむ……だが、フェイカーの手はそれだけでは無さそうだな』」


『〝※※※〟』

「ッ!」


――ゴォッ――


少女が獣キメラの動きを躱した瞬間、幾つもの炎の武器が飛んで行き、大地を燃やす。


(あの多頭鬼……成る程、一つ一つに脳があり、別の魔術が扱えるのですね……しかし、想定していたよりも遥かに楽ですね)


少女は……エリセは驚いていた、余程警戒していた相手が繰り出した攻撃の、その〝弱さ〟に……見た目も、込められた〝力〟も、神官に身を置く彼女にとって危険で、恐ろしい筈なのに、繰り出される攻撃の尽くが弱い……。


「クッヒッヒッ♪……そろそろ、そろそろかぁ……そろそろ縊り殺すか?」

(コイツは……何なんですか?)


『ゴフッ……や、止めろお前……ダサ過ぎて殺したくなる……』

「「ッ……あぁ?(はて?)」」


「今、不愉快な台詞が聞こえた気がするが……気のせいか」

「今、とても悪意の篭もった声が聞こえた様な……気の所為でしょうか?」

(……ですが、何時までもこの獣達を放って置くのも、アレですね)

「……〝戦浄術(いくさじょうじゅつ)浄装武鎧(じょうそうぶがい)〟」


「『おっと!?エリセ選手の身体を眩い白が包んでいくッ…コレは!?』」

「『彼女の二つ名〝戦仕〟の由来だね……彼女は神官だが、本来の神官……癒やし、施し、守ると言った神官とは掛け離れ、浄化を己の身体に纏い戦うと言う……特殊な術理〝戦浄術〟と言う独自の力を使う、早い話が、自身に常に回復を掛け続け、敵を殴り飛ばす、その荒々しさと、見た目の神聖さ、正に〝戦に仕える〟神官、故に〝戦仕〟と言うわけさね』」

(二つ名を細かく言わないでッ、恥ずかしいですッ……ッて違う、私の見立てだとこのキメラ達は――ッ)


――ゴンゴンッ――

――ブシュゥゥゥッ――


『『※※※※※※!?!?』』

「やはりッ!」

「……あぁ?」


彼女の棍から放たれる一撃、それがキメラに触れると、面白い程にグズグズに溶けていく……つまり。


(このキメラは不浄の魔力を帯びているッ、つまりこのフェイカーは――ッ)


――メキッ――


「ッ――!?」

「悪魔ですね!?」


エリセの根を受けた、フェイカーの腕が溶ける……と、同時に言葉にならない叫びが響く。


「『は?……悪魔ッ!?』」

「『……彼女の力の大本は〝浄化〟……本来はこんな事にならない、〝不死者〟や〝悪魔〟を除いて……ソレが効いたッて事はつまり――』」

「この……このクソ女ァァァッ!?!?!?」


――グチョグチョグチョッ――


途端、フェイカーの身体が膨れ、破裂し、周囲にドス黒い雰囲気を垂れ流す。


「この俺様に良くも、良くも掠り傷を負わせたなぁァァァッ!?」

「『ッ想像以上の魔力だな……』」

「『おい、おいどうすんだコレ!?』」

「『あわ、あわわわわ……』」


ざわめき立つ観客、実況の動揺……それに、本性を表した悪魔はニタリと笑む。


「ゲハッ、ゲヒャッヒャヒャヒャッ!……恐れろ恐れろ……この上位悪魔、〝隷魔〟の〝レオニス〟をッ――」


「『エリセッ、今すぐ離れろッ……〝隔離心象結界〟』」


――ブォンッ――


「フン、鈍い術だ……コレなら術が完成する前にッ!?」


悪魔の余裕の言の葉は、次の瞬間、横から飛翔する影に遮られる。


「『アーサーッ!……行けるか!?』」

「エリセさん、早く!」

「ッ貴様――グペェッ!?」


そして……術が構築し終える、その瞬間。


「それ以上喋るな……殺すぞ?」

「ッ君は――ッ!?」


――ガチャンッ――


そして、舞台に広がった、大きな結界は、エリセと観客を残し、閉じられた。






○●○●○●


「ハローハローアーサー?……流石の〝英雄的行動(ヒーロー・ムーヴ)〟惚れ惚れするね〜?」

「カイン……何故入って」

「いや〜、この悪魔が言葉をベラベラ垂れ流すのに耐えきれなくてさ〜……お前が乱入したし、イベントもお陰でぶっ壊れたし、もう〝良いかな〟〜ッて、さぁ?」

「ッ!?」


――ゾクッ――

――ゲシッゲシッ――


「この糞悪魔、この腐れボケ、どう始末しようかな〜、どう〝壊そう(殺そう)〟かな〜?」


ドス黒い気配を押し潰すように、空間内を駆け巡る怒気と殺意、その目は笑んでいたが、それ以上に抑えきれない殺意が、重く重く場を支配していた。


――グォンッ――


「貴ッ様等ァァァッ!?何処までも我をコケにしおってェェェッ!?」

「うるせぇ勘違い糞雑魚悪魔、テメェあんな不細工見せやがって殺すぞ?」



次回


遂に始まった闘技場イベント最終局面!


上位悪魔VS無所属悪魔VS何も知らないアーサー。


勝利は誰の手に――ッ!?

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[一言] アーサーが大泉洋さん兼ダークライ枠なの最高に草
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