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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:堕天の悪魔と守護の勇者
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守護の勇者、夜明けの悪魔③

「『第1第2と盛り上がりを見せる闘技大会、続いて第3試合の始まりだァァァ!!!』」


『ウオォォォッ!!!』

『ウワアァァァッ!!!』


「『例にも漏れず選手紹介と行こうかッ!…先ずはコイツだァッ!』」


舞台に立つは、銀髪靡かせる冷たい表情の少女、その腰には刀を携え、退屈そうに目を閉じていた。


「『麗しの剣乙女、美しき剣の技、その背後には静かに屍の山が有る、かの老鬼、三郎丸の孫にして一番弟子、三郎丸が荒々しく鋭い剣ならば、彼女の剣は美しく無慈悲な剣であろう、〝剣乙女〟のニノ!』」

「………」


『ウオォォォッ!!!』

『キャーッニノちゃーん!!!』


「『対するは……音も無く忍び寄る影の暗殺者、闇夜を隠れ進む黒装束は、さながら恐怖の証といえよう、その身は少女と侮るなかれッ…〝影襲〟のジャック!』」

「……」


『ウオォォォッ!!!』

『ジャックちゃーん!!!』


「『両者共に準備完了の様だなぁッ!』」


「『レディ……ファイトッ!』」


「ッ!」


試合開始と共に、ジャックが後方に跳び、ナイフを投げ飛ばす。


――ジャリンッ――


「『始めに動いたのはジャック選手、見事なナイフ捌きだったが何と、外してしまうッ!』」

「『違う、彼女が〝避けた〟んだ、最小の動きでね』」

「……つまらない」


「まだまだッ!」


投げる、投げるナイフは空を舞い、銀髪の乙女へ迫るがその尽くが彼女を過ぎ去る。


まるで通り抜ける様に、彼女に一つと当たらない。


「うん……凄い、一つ一つがちゃんと狙ってる、早い、普通の人ならコレだけで負ける……でも、遅い、退屈」


――ヒュゥッ――


風が鳴る、ユラリと少女が振るった刀の先から……それと同時に、また別の音がなる。


――パキンッ――


鉄のナイフは見事に砕け、破片が舞い落ちる、少女の眼前のナイフ、その全てが。


「私は〝カイン〟と遊びたい……だから、勝つ」


感情の見せない目の奥に、少女はあの〝化物〟を観る。


強き者……彼女の知る、鬼の翁と同等か、それ以上に強い……そして、無垢な子供の様に純粋に愉しんでいた、あの男。


まるで通じない、新たな〝敵〟、遊ばれてくれない〝遊び道具(玩具)〟。


それが堪らなく嬉しい……冷たい鉄の様な、そんな無表の面を駆け巡る喜色に、彼女は身を悶えさせていた。




○●○●○●


「私はカインと遊びたい、だから、勝つ」

「私だってッ、あの化物にリベンジしたいのよッ!」


暗がりの少女もまた、その男を追っていた。


あの屈辱を胸に、あの悔しさを胸に、憤怒を抱き、あの化物を殺さんと。


――ジャリンッ――


「貴方は、退屈……もう、おしまい?」

「ッ!?」


だと言うのに……。


――ゾワッ――


勝てない、この少女に……それを理解してしまった。


「それじゃあ、さようなら」

「ッ――」


『まだ踊れるだろう?』


ソレは、己の死の刹那に聞こえた声……暗がりの少女を、陽の光に引き摺り出した〝悪魔の音色〟、ソレが少女の身体を突き動かした。


「――ッ?……避けられた」

「ッ!?」


『ジャック、暗がりの殺し屋、お前は戦士じゃないだろう?』

『お前は殺し人だ、武人ではないだろう?』

(何処から……ッ!?)


少女を警戒しながら、観客席を見渡す少女……その中に居た、彼女をただ静かに、愉しげに見据える男が。


『お前の技は殺しの技だ、お前の戦い方は闇夜を纏う物だ、お前は影だ、影の襲撃者だ、見失うな』


「……何処を、見てるの?」

「……私は、影……〝影襲〟のジャック」


――ゾクッ――


()せろ』

「ッ分かったわよッ!」


――ブンッ――

――ドッドッドッ――


「?何を……ッ!?」


――ギィンッ――


「『な、何とッ!?い、今ッ!その場に居たはずのジャックが、ニノの背後にッ!?』」


――トッ…チャプンッ――

――ヒュンッ――


「『消えたと同時に今度はナイフが、その背後には何時の間にかジャックが居るッ!?』」

「『……ん、成る程…暗殺者が持つ〝影潜〟の能力、本来は〝自分の影〟に潜り、侵入、闘争、隠密に使われるだけの能力を〝影を繋ぐ〟事で高速移動を可能にしたのか』」


(まだだ、もっと、もっと速く、もっと狡猾に)

「ッ……成る程、間違ってた」


アレの言う通りにするのは癪だけど、今はこの試合に勝つッ――。


「貴方も、大事な〝相手〟……軽んじるのは、失礼だった」


――キィンッ――


「ぁ……ぇ?」

「ごめんね、ジャック」

『ッ!?』


その刹那は誰が見ていたのだろうか……否〝誰も見ていない〟、観客も解説も翁も、眼の前の少女も、あの悪魔も。


ただ、彼女の装束毎首を刎ねた、残ったのは、鉄を切り裂く音だけ……正に。


〝神速〟。


「お祖父ちゃんとカインに使うつもりだったけど、貴方に上げる」



そして第3試合は驚嘆の只中に終わった。





●○●○●○


「ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバいッッッ!」


暗がりを誰かがブツブツと呟いていた、その声色は焦りと、動揺に満ちていた。


「ただでさえあの〝化物〟で手一杯だと言うのにッ、このままでは――」

「オイ、オイオイオ〜イッ、〝フェイ〟君さぁ〜、そんなに慌ててどうし〜たの?」

「ヒィッ、〝レオニス〟様ッ!?」

「んん?……おいおい、おいおいおい?……何で魂が無い訳?…俺言ったよねぇ?…魂を集めろって、そしたらフェイちゃんが言ったんだろ?〝近く守護者が戦い合う祭が有る、守護者はまだ弱く楽に殺せる〟ってさぁ……なぁ?」


――ガシッ――


「〝我が主〟に献上する魂がゼロッてのは不味い、不味いよなぁ?……どう落とし前着けるよ、お前のカスみたいな魂じゃ釣り合わないよね?」

「ガ……お、お赦しを……必ず、必ず果たして――」


――グシャッ――


「いや良いよ、お前はもう要らん……仕方無い、〝俺〟が出るか〜……クヒヒッ♪」


良〜く見れば良い玩具いっぱい有るし、〝独り占め〟しよ♪




○●○●○●


「『さ、さぁ気を取り直して第4試合ッ!…選手入場だ!』」


「速かったなぁ、見えなかったなぁ」


アレを食らったら、果たして俺はどう動いてただろうなぁ?


「『予選では、他を寄せ付けない圧倒的な暴虐を見せしめ、四人の猛者を相手取り優勢と言う化物ぶりを見せ付けたッ、破壊の厄災、人の化物ッ……〝暴虐〟のカイン!』」


『………』

「『た、対するは……この男……珍妙な姿に珍妙な言動、しかしその実力は凄まじいッ、本来なら衛兵に突き出したいがコイツも出場者ッ、涙を呑んで紹介しよう!…〝変態紳士〟……〝ラヴァー〟!』」

「『アレは……凄いな……』」

「『へ、変態です……』」

「うわッ、気持ち悪ッ」


会場の空気を制するは、俺の眼前に立つ、その男……何で、コイツ何で……。


「赦さん、赦さんゾォ……」


ネクタイにオムツと靴下しか履いてねぇの?……お前中年がそんな格好とかグロ過ぎんだろ。


「よくも……よくも……」


「『りょ、両者位置について……〝レディ〟……〝ファイト〟ッ』」

「よくも〝ジャックちゃん(俺のママ)〟オォォォッ」

「……は?」


コイツ……もしかしなくてもヤベー奴では?


「近寄りたくねぇ殺したくねぇ、触りたくねぇ……頼めるならこの世界から消えてくれ」


――ドゴォォッ――


「ウオォォォッ!!!…死ねぇッ!!!」

「……仕方無い、試合は試合だ……"Φωτιά……"」


俺は右手に"炎"を作り、無造作に投げつける。


「ッ!?」

――ゴォッ――

――ドォォォンッ――


そしてあの変態の間近で、抑圧を解く、すると中に圧縮された炎の魔術が吹き出し、フィールドに火柱を打ち上げる。


「『……な、は?…炎?」


解説が現実に理解が追い付かず固まっている中、その横に居るだろう男は、極めて冷静に、しかし隠しきれぬ高揚を見せて語る。


「『カインが魔術を使ったことも驚きだが、それ以上に今の魔術の構成ッ……信じられない、あの小さな球体に幾つもの魔術式が折り重なっているッ、信じられない……考えもしなかった、その使い方を……』」

「〝集積型魔術陣〟……魔術式を折り重ね、言葉同士を繋いで圧縮し、その魔術式の起動に必要な魔力を削減し、余剰魔力を術式効果に変換させる……結構難しいんだぞ?……しかし、その形でよくもまぁ生きてたなぁ、ラヴァーとやら」

「我が復讐、我が報復は未だ成されず、故に我は不滅也ィッ」



あれだけの術を至近距離で受けて尚、その男は、変態は何事もなさげに立っていた。

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― 新着の感想 ―
1体1に割り込むのが気に食わないって言うより割り込んだ結果そのキャラが死ぬ(生命的な方ではなく)のが気に食わない この話は「剣乙女ニノVS影襲ジャック」の戦いではなく「剣乙女ニノVS影襲ジャック(暴虐…
1体1の戦いでカインが出てくるのが気に食わん それはもうカインの戦いでしかない あんなのは終わった後にでもやれ
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