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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:堕天の悪魔と守護の勇者
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剣と杖と、血と肉と②

――スパンッ――

「ギィッ!?」


――スパンッ――

「ガァァッ!?」


ソレは飢えていた……血に、肉に、〝戦い〟に。


「……はぁ」


刀を振るう、一見華奢な少女は、その背後に続く、屍の山を見て、つまらなそうに息を吐く。


「お祖父ちゃん、全然つまらない」


――ギィンッ――


「遠い……倒すのは無理」


冷たい顔で、冷たい眼で、山々の隙間に見える……光を睨む少女。


「暇……」

「なら遊ぼうか?」


――ズガガガッ――


その瞬間、少女の横から黒い光が地面を抉り、迫る……。


「さっすが三郎丸の弟子……この程度じゃ倒せないよね〜?」

「……誰?」

「僕は〝フェイカー(偽物)〟、お茶目で楽しい遊びが好きな道化師さ♪」


ソレを避けた少女は、草原から現れた声の主を見つめる……白い衣服に道化の仮面を付けた男を。


「……んん、つまんない」

「おやおや、それは随分な言い様だね?まだまだ見世物はコレからだよ?」


――パチンッ――


「イッツァ・ショータイムッてね?」

「……」


道化師が指を鳴らすと、空中に箱が無数に現れる。


「〝召喚:屍人の仕掛人〟」

「………」


箱が開くと同時に、中から無数の死者が現れる……。


「……弱い」


それが歩み始めたその瞬間、屍人が真っ二つに斬られ、崩れ伏す。


「偽物の冥王……王を語る道化、面白くない、つまらない」

「中々手厳しい、それじゃあ、こういうのはどうかな?」


〝召喚:道化の屍双竜〟。


「ッ!……〝蛇〟、〝竜〟の欠片、〝無数の人間〟……〝繫ぎ合わせて新しく造った〟」

「う〜ん……こうも簡単に見抜かれるとなんだかなぁ~、面白くない」

「良いね、良いね、少し、面白い」


少女が初めて、その顔に少しの愉悦を見せた……その時だった。


――ドゴォォンッ――

「「ッ!?」」


不意に空から現れた何かが、轟音を奏で、その人造竜を押し潰した。


「――何が……!?」

「――今のは…!」


土埃を防ぎ、その中に飛来した異物に目を向けたその刹那……二人は、一瞬で感じ取った。


「カハッ♪これだけやってもまだ耐えきれるのかァ……どんだけ上等なんだぁ?……ん?」

「グ……ゥゥゥッ」


土埃の中で、クレーターの中心で、愉しげに黒服の少女を掴む赤毛の男の、溢れんばかりの殺気を、戦意を。


「クカッ、クカッカッ♪」

「……何を、笑ってるんだい?」


突如笑い出した男に、道化の男はその飄々とした物腰を潜め、警戒を高めて問う。


「いや何、この女と遊んでいた最中に丁度良さげなクッションを見つけたと思うたら、まさかこんな上等な玩具を見つけられるとは……〝嬉しくて〟ついな?」

「―――ッ!」


――ジリィンッ――


「いや愉快、第二陣でこれ程の腕を手に入れるとは、余程の幸運か、或いは突出した才を持つのか……何れにしろ愉快愉快」

「……チッ」

「シィッ!」

「お、まだ動けるか……腕は潰したと思ったが――」

「〝偽りの光条〟」

「む?……コレは――ッ」


瞬く間に攻撃を始めたニノとジャック、その連撃を楽しげに捌いていた男に道化の男、フェイカーが黒い光の一線を放つ。


「当たった――」

「まだ、気配が死んでない」

「うん、うんうん、成る程……お前のソレ、良い魔力だなぁ?……色が無い、混じりっけのない透明……確かに、〝偽る者〟で在るならば、透明であるべきだ、この技は〝アーサー〟の持つ聖剣の権能を擬似模倣し〝魔術〟に落とし込んだ物か」

「ッバレた?」


黒い光の一条を、涼し気に躱した男がそう言いながら現れる。


「シィィッ!」

「次に剣の娘、お前自身はそれ程特殊な能力がある訳では無い、しかしその〝剣技〟とその未熟を補う為の〝知恵〟は素晴らしい、その剣の動きは三郎丸の所か?」


そしてその瞬間に斬り掛かり、片手で投げ物を投げる剣の娘ニノを捌いていく。


――ジリィンッ――


「遠方の狙撃手の腕も良い、凡そ八百は離れていそうな場所から、動き回る俺を的確に狙う腕前、並以上の才能、何より」

「ッ消え――」


――シュンッ――


「何より凡そこの場に存在する殆どの強者が、俺へ殺意を向けている、ソレが堪らなく面白い」

「ッは――」

「魔術はソレ(五属性)だけじゃないぞ、道化」


反応の遅い道化の首に長剣を振るう……だが、その刃が道化に届く事は無かった。


――ジリィンッ――


「貴方の相手は、私」

「熱烈なラブコールは嬉しいね」


首を刎ねる直前に、剣の乙女が割り込む。


「うん、殺したい程愛してる」

「ジョークのセンスも素晴らしい」


軽口を言いながらも、その剣は加速していく、次第にそれは鉄の身体を掻き消し、音だけが響き、風だけが吹く、誰も近付けない〝聖域〟と化す。


「嘘じゃない」

「ほう?」


剣を打ち合いながら、二人は涼し気に会話する。


「貴方は……〝強い〟、きっと誰よりも強い……私が斬っても死なない」

「それで?」

「だから、私も本気で遊べる……付き合って」

「宜しい、遊びとは双方が楽しむべきだ」

「ん、ありがと」


――ブンッ――

――ヒュンッ、ガッ、ジリィンッ――


「まだ速く、まだまだ速く」

「もっと、もっともっともっとッ」


――ヒュンッジリィンッジリィンッジリィンッ――


「まだまだまだまだまだッ」

「フハッ、フハッハハハッ♪」


――ガガガガガッ――


「近付けない……」

「僕も無理だ、当てられない」


――ジリィンッ――


「ハッハッ♪この嵐の中でも狙撃するかッ、素晴らしいッ!」

「私だけを、見て?」

「嗚呼、今もお前に釘付けだよ」


剣の打ち合いの距離が短くなるに連れ、剣の速さは増す、次第に身体を浅い切り傷が彩り、赤い雫をポタポタと流しながら、二人の剣鬼は近付いていく、次第に避ける事もなく、剣を打ち合い、そして。


――ギンッ――


「ッ!」

「貰った」


――ズパンッ――


男の剣を払い、その首に凶刃を振り抜く乙女……しかし。


「ヒュゥッ、良い切れ味、腕を盾にしねぇと飛んでたな♪」

「――ッ!」

「その剣は貰うぞ?」


男はそう言うと残った腕で、乙女の剣を掴み逆関節の方に引っ張り剣を奪う。


――ガッ、ブンッ――


「チェック」


男はそう言い、丸腰の女に剣を振るう、そして。


――ブンッ――


「『残存生存者が6名に成りました!予選終了です』」


乙女の首が消える直前に、そう告げられた。


「……フシーッ、何だ、決まってしまったかぁ……コレカラが面白いところだと言うに」

「ん、残念……でも、良い……次こそは本気で来て?」

「う〜ん、そりゃお前次第だ」

「じゃあ、頑張る」


こうして、初の予選はイレギュラー達の台頭と共に終了した。




「儂の、儂の孫があんな小童に誑かされた………ッ!?」


同日同刻、闘技場の控室で、1人の老人が愕然と項垂れ、とある男に殺意を向けていたのは、また別の話。

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― 新着の感想 ―
[一言] この孫娘ちゃんがハデスに行き着いてハデスの陣営に入ったらより人類側の戦力低下しそう(愉悦部顔)
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