表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第一章:獣の厄災と強欲の魔女
6/479

屍の生産者

――………――


「お〜い、本気で行くのか?」

「当たり前だろ!?そろそろ昼間の敵じゃ経験値効率も悪いし、頃合いだろ」

「夜の敵は凶暴化してて普通のより強いんだろ?ちゃんと準備してんのか?」

「だ〜からパーティーで行くんだろ?なぁに準備もしっかりしてるし、いざとなりゃ〝昼寝〟のヒールが何とかするだろ」

「任せ〜zzz」

「「寝るな!?」」


騒ぎながら夜の道を歩くプレイヤー……その横の路地裏、本来は下水処理の道や清掃に使われる入口が音もなく開いた。


「いやぁ、何とかかんとか侵入成功、まさか街の外の下水処理通路を門兵が監視してるとは思わなんだ」

「幸い、誰にも悟られず仕留められたので問題無いかと……それより主様、急ぎましょう」

「んだな、俺は生産者ギルドの工房、お前は倉庫から使えそうな何某かを盗ってきてくれ」

「御意」

「そんじゃ、行くか」


路地裏を音も無く駆ける、目指すは生産者ギルド……ベクターは倉庫のエリアへ、さて……。


「出番だぞ……っと」

――ガリッ――

――トッ――


短剣を突き刺し、短剣を足場に登る……此処は工房の一室鍛冶エリアだ、中に誰も居ないのは把握済みだ。


「よっと」


――トッ――


足音を抑え姿勢を戻す……其処には中々でかい鍛冶設備と金床等が置いてあった。


「鑑定」


―――――――――

【中型鍛冶作業台(中級)】


初級鍛冶作業台よりも大きく、許容できる温度が上がった作業台

―――――――――


「お、良いねぇ」


作業台をインベントリに収め、窓から出る。


「ミッションクリア、サッサと消えるかね」


いやぁ職員の皆さんには申し訳ないが、事後処理宜しく。


『ベクター、そっちは?』

『問題無く、必要な材料は粗方入手しました』

『帰還するぞ』

『御意』


短いやり取りの後、俺達は通気口へ戻る……後日、大掛かりな窃盗騒ぎが生産者ギルド内で起きたとか何とか……だれかな?




○●○●○●


「さて、そんじゃ行こうか……〝死霊作成〟」


俺は死体と魂を各位50程詰めて死霊を作る。


「〝我は求む、神が人へ齎した人知の御業を〟」

「〝救う物、戦う物、実り与える物、人が突き詰めし〝造〟の力、それの担い手〟」


瘴気が揺れる、込めた贄は屍だけではない、多めに拝借した鉄、木、道具、多くの生産道具も突っ込んだ。


「〝汎ゆる物を造り、汎ゆる物を凌駕せし至高の創造者、我は汝に、名を与えよう〟」


瘴気が脈動する……俺はそれを見据え、言葉を紡ぐ。


「〝万造の屍職人、汝の名は〝ヴィル〟…!〟」


――ドクンッ――


身体から魔力が拔ける……それと同時に瘴気の脈動は高まり、徐々に収束する。


「『主よ、その任、拝命する』」


重く、しかし堂々とした声が響く。


「『〝屍職人長アンデット・クラフト・リーダー〟、改〝万造〟のヴィル、主の望む物、この身朽ち果てようと必ず造ってやる』」


瘴気が晴れる……其処には、大柄で筋肉質な身体をし、獰猛な笑みを浮かべコチラを見る渋い顔の爺さんが居た。


「期待してるぞ、ヴィル?」

「応よ!……んで?何を造るんだ?武器か?服か?はたまた道具?」

「そうだな……俺の使う魔法使いの触媒と近接仕様の杖とベクターの剣、後はそれぞれの服を、これから各所の主を狩る為の装備が入り用だ」

「成る程……素材は?」

「ベクター」

「はい、コチラですヴィル」


そう言うとベクターは持っていた麻袋から大量の素材を取り出す。


「ほぉ……平原狼の皮に鉄、森蜘蛛の糸……この辺りが使えるな、炭は十分、服を造るなら織機が居るな、主、ベクター、ちょいと使いを頼む、この森蜘蛛の糸を持ってきてくれ、多ければ多いほうが良い」

「「了解」」

「その間に武器と織機を用意しとくぜ」


さて、今後の生産はヴィルに任せて、我々はお使いに行こうか。


因みにヴィルのステータスだが。


―――――――――

【ヴィル】LV:1

【屍職人長】


生命力:250

魔力 :250

筋力 :150

速力 :80

物耐 :150

魔耐 :100

信仰 :100

器用 :200

幸運 :100


【保有能力】

〈鑑定〉LV:1

〈採掘〉LV:1

〈採取〉LV:1

〈裁縫〉LV:1

〈鍛冶〉LV:1

〈木工〉LV:1


【保有称号】

〈ハデスの忠臣〉、〈万作の職人〉、〈ネームドモンスター〉

―――――――――

―――――――――

〈万作の職人〉

多くの物を造る腕を持った職人に与えられる称号

効果:制作した物の品質を上げる

―――――――――


いやぁ見事に生産特化、何れ生産部門のトップに据えるかもしれんな。


〜〜〜〜〜〜


「〝有らん限りの呪詛を込めて、私は彼の者に呪いを贈る、その腕力は鉛の如く鈍らに〟」

「グゥッ!? 何だ急に腕が」

「〝闇よ、先陰らす闇の魔よ、我が言葉を依り代に、彼の者等を貫く黒き槍を〟……〝多重闇槍〟」


森蜘蛛を斬り伏せようとした戦士に筋力を下げる呪詛を吐く、それにざわつく彼等の隙を突き、彼等を狙う槍を生成する……段々と詠唱について幾つか理解してきたぞ?


「詠唱による魔術の〝性質変化〟、単体の槍を多重に展開する、それに足る魔力と言霊が有れば、その詠唱は効を成すと」


突如飛来したその槍に胸を頭を、腹を貫かれ各々が驚嘆と疑問を上げ死ぬ。


「ベクター、そっちは?」

「滞り無く、コレで必要な素材は足りるかと」

「そいつは重畳、それじゃあサクッと帰還しよ――」


――ドスッ――


「グェッ!?」


帰還しようとした瞬間、横から喉を矢で貫かれる、思わず間抜けな声を上げてしまった。


「主様!?」

「チィ……気配を見落とした」

(毒矢……殺意の塊だなぁオイ)


「報告に有った、既存の不死者と異なる不死者を連れた邪法を操る人間……どうやら貴様等らしい」


目に映る影は、その外套を脱ぐ……無精髭にギラついた目、既に命尽きる俺に目もくれず、ベクターを見やる。



その名前の色は白……異界者、プレイヤーだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ネームドの称号がないのはなにか理由があるのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ