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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第四章:狂い堕ちるは堕天の穢れ
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盗み奪う人面鳥

今回は何時もより短い……許されよ……許されよ(懺悔)

「やぁ、毎日ちゃんと報告してくれてありがとうね」

『コレも私の仕事ですから』

『久しいな父よ、此度は我も居るぞ!』

「久し振り、アリー、ノア……あの子は今日も来ないのかい?」

『その事も踏まえて説明します』

『父よ、父からもあの阿呆に言ってくれぬか、アレでは世界を壊しかねない』

「ふむぅ……それは出来ないよ、私達はあくまで観測者、君達の補助だ、世界をどうするかは君達自身で解決しなければならない……現に今の所昔よりは何とかなっているじゃないか」

『えぇ、傾いたバランスは前回の報告よりも2%改善されています』

「君達の〝友人〟のお陰だね、中々面白い子じゃないか」

『友じゃと!?あの不遜な悪魔が!?』

『あくまでも取引相手と認識していますが?』

「……フフフッ、そうかい?分かったよ……僕も一度彼に会って見ようかな?」

『話を戻します、報告にある通りまたしても〝善〟が一国に干渉し、召喚を行いました』

「それで?」

『現在召喚された……〝仮称〟勇者は北西に存在する〝龍種〟と戦争しています、龍種自体に被害は有りませんがそれの影響で〝淀み〟がまた増え始めました』

『ただでさえ守護者から淀みが生まれてくると言うのに、またしてもか…』


〝二人〟と〝1人〟の報告会は、尚も続く……。






そして。


「いやぁ困った困った……まさかこんな落し穴があるとは……♪」


そんな事などお構い無しに、悪魔は落ちた先に存在する〝遺跡〟に舌舐めずりをする。







遡ること数時間前……。



○●○●○●


「ふぅ、思ったより仕事が長引いてしまった……お陰で太陽が綺麗に出ている……死霊的に最悪な日だな」


まぁ第二エリア程度なら弱体化していても問題無いか。


「さぁ、サクサクッと終わらせよう」


そして俺は第二エリアに在る砦へ転移する……目指すは北だ。






『ボスエリアへ侵入しました。【人面鳥長(ハーピー・リーダー)】、〝盗奪のヴァルチ〟との戦闘を開始します』



「……と、言うわけでやって来ました北の山道、此処のボスはハーピー……人間の顔を持った禿鷲だ……グルーヴの方が断然良いな」

「ギエェェェッ!!!」


開始と同時に吠えるヴァルチ、その声と共に山々の木々はざわめき立つ……そして。


「ギギギャーッ!」

「クェクェッ!」

「ギャックク!」


何十ものハーピーがとんでくる。


――――――

【人面鳥】LV45


生命力:8000

魔力 :6000


〜〜〜〜

――――――


「成る程、第一エリアとは比較に成らない強さ、それがこの数居るのは確かに脅威だな……だが俺相手には物足りない」


――グルルルッ――


「姑息な盗人には優秀な番犬を放つとしよう」


――〝十屍:屍肉貪る影犬〟――


「〝好きに食え、ただしアレは俺のだ〟」

「「バウッ!」」


影の様な犬達が、空を舞う盗鳥達を食い千切って行く……しかし哀しいかな、人面鳥の攻撃はまるで霞を掴む様に擦り抜ける。


「んん……薄いな、薄過ぎる……コレでは腹の足しにすら成らんぞ」


喰い殺されていくハーピー共の〝苦痛〟を食う……薄い、水の様に薄い苦痛だ……竜の味に慣れてしまったか?


「だが……お前はどうだろうな?」

「――ッ!?」


空を飛んでいたハーピーリーダーの足を掴み、地面に引き摺り落とす……お!きたきた♪


「……ん〜……雑魚よりは濃いが、まだまだ薄味だな」


ソレに量も少ない……人間は弱い割に良質な悪意が取れるし……やはり悪魔的には狙い目だな♪


「まぁ暫くは手を出さんが」


そう何度も同じやり方で街を襲うのも芸が無い……しかし一人で殲滅するのは公平性に欠ける……ゲームを操ると言うのは些か難しいなぁ。


「お〜美味いか〜?」

「バウッ♪」

「ギ……ギィッ――」

「あ、逃げた――って速いなぁ、流石進化個体、仲間置いて逃げるのは誇りも糞もないな」


『戦闘に勝利しました!』

「ドロップ品は……しょっぱ、逃がしたからか?……ん?」


――バサッ……バサッ……――


「何だ、逃げたら追えないと言うわけでも無いのか?」


遠い空を飛ぶ人面禿鷹を見て少し驚く。


「……フフフッ♪」


嗚呼、駄目だな……面白い事を思い付いてしまった。



――――――――

「グェェッ……クエェッ……」


それは逃げていた、誰から?敵から、己よりも遥かに強い敵から、己の肉盾を物ともしない化物から。


――バサッ……バサッ……――


それは今己が生きている幸運を噛み締めていた、見逃された化物へ少しの嘲りを内に秘めて。


「クエェ……クックックッ♪」


そして考える、あの化物をどう陥れるか、己へ屈辱を与えたあの化物を如何にコケにしてやろうかと。


――バキバキバキッ――


「……?」


ふと、下から奇妙な音がした……逃走に全力だった故に、過敏となった耳が捉えた、木々の枝を折る音。


――チラッ――


そして見た……木々を薙ぎ倒しながら、動く〝闇〟を、人の腕を、人の足を、人の顔を幾多も生み出しては消して、幾つも生やした手で大地を掻き分け、無秩序に生やした人獣の脚で地面を蹴り砕きながら、その恐ろしい眼を、コチラへ向けていた。


「――ッ」

「『捕ま〜えたッ♪』」


逃げようと翼をはためかせようとした、その時、その声と、その巨躯に羽を捕まれ……そして。


――バクンッ――


胸に沸き立つ恐怖と嫌悪諸共に、その巨大な歯に擦り潰されて闇に溶けた。



●○●○●○


「『ふむふむ、最後の一瞬に生まれた〝恐怖〟、実』に美味だったな」


身体を収縮し、元に戻しながら独り言を呟く。


「魂もグルーヴに劣るが良い物だ……少し使い道を考えるか」



ま、何はともあれ北は終わりだ、次は……西だな!


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[一言] 祟り神[人]
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