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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:燃える燃える、骸は燃える
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戦猪と老鬼、白蛇と鉄の口

――チャプンッ――


「やはりゲームは良いのう!酒を飲んでも身体に何も影響が無い、しかもちゃんと酔えるッ!ガッハッハッ!」


――ズパンッ――


「ひっく……んんん?他の奴等は何処じゃぁ?……まさか迷子かのう?……ま、ええか!」


ズンズンと、酒を飲みながら進む爺は迫る羅刹を切り進む……其処には1つの大きな鉄扉が有った。


「……何じゃ、木端と思うたが随分と活きの良いのが居るじゃあないか」


赤みがかった顔がふと歪む、さっきまでの怠惰な気配は鳴りを潜め、研ぎ澄まされた戦意が迸る。


――ギィィッ――


「んぁ?……新手か……って」

「お〜此処に居ったか」


扉の先は死屍累々、骨が折れ曲がり、押し潰され、分断され、屍がそこかしこに散々と飛び散っている。


「……うわぁ、マジか……コレ俺負けるわ」

「おん?……何じゃ、随分と諦めの速い奴じゃな?」


翁を見たその大男は、ふと顔を顰め、肩を窄める……そしてまるで自分の負けを予見したかの様にそう呟く。


「ウチの所にアンタの同類が居るんだよ……戦いが大好きで馬鹿みたいに強い人が……お陰で格上かそうじゃないか直ぐに分かっちまう」

「ほほう……それは是非とも立ち会いたいが」

「生憎と何処に居るか分からん……そんじゃ、このゴミ退けてと」


硬い土に草が疎らに生えた草原がうねり、死骸を飲み込む、するとさっきまでの惨状が嘘のように、何事もなく元に戻った。


「殺ろうぜ爺さん……俺は〝バリッド〟だ」

「ふむ……儂は三郎丸じゃ、そんじゃまぁ」


――……カチャッ――


「〝殺ろうか〟、若いの」

「御手柔らかに頼むぜ爺さん!」


――ドッ――


バリッドが大地を踏む、それだけで景色は歪み、翁の前に肉薄する。


「ほぉ!速い、速いのお!」

「ヌンッ!」


そして、左手に持った大剣を振り降ろす……大地は割れ、風圧が周囲を押し退ける。


「ホッホッホッ!若いの、お前さん良い力をしておるのう!」

「ハァ……やっぱ死んでくれねぇわなぁ」


――ズッ――


土埃の中響く、翁の声、それと同時にバリッドの腕は落ちる……何の抵抗もなく。


「凄え技量だな」

「何十年も剣を振るってたからのう……こんなもん造作も無いわ」


鼻を鳴らして三郎丸はそう呟く、そしてバリッドを獰猛に見つめる。


「しかし中々にタフじゃなぁ、硬く、それでいて体力が有る……斬り甲斐が有ると言うものよ」

「痛えから勘弁して欲しいんだがな?」


(この爺さん……今まで戦った事の無いタイプか……姐さんと似てるが微妙に違う)


バリッドは構えながら、思案する……セレーネと三郎丸、その似た者同士の違いを。


(何方も馬鹿げた強さなのは間違い無いが、この爺さんのは何処までも技が極まってる……長年の経験が、長年の鍛錬が生み出した一種の芸術だ、セレーネの姐さんみたいにその場その場で直感的に最適解を出す本能的な戦い方じゃない)


「どうじゃ?……何か分かったか?」

「いんや、取り敢えず手に負えないって事しか分からんな」

「その割に随分とやる気じゃねぇか」

「ッたり前だ、ボスが折角用意してくれたこの舞台で、潔く死にましたなんざ顔に泥塗っちまう……正直ボスは許すと思うけど、姐さん等がコワイ」

「ガッハッハッ、何処の世界でも女は恐ろしいのう!……本当にのう」


「「………お互い苦労するな」」


戦場の中で、二人の中で芽生えた友情……と呼ぶにはやたらと不憫な感情を互いに向け……気を取り直す。


「さて、死ぬなら死ぬで、全部出し切って死のうかね……〝破刃の装威〟」


バリッドがそう呟く……すると、大剣がドロリと溶け、バリッドを包み始める。


――ブフゥゥゥッ――


「勝手で悪いが、俺の魔力の都合とコイツの燃費の関係上、この一瞬しか使えねぇ、避けれるなら避けてみな」

「戯けッ、真っ向から斬り伏せてやるわい!」


翁はそう言うと顔を歪ませ、その口から牙を覗かせる、人間だった姿が見る間に変わり、2本角の鬼に変わった。


「ッマジか……アンタがボスの言ってた〝悪性側〟か」

「うん?…何ぞそれ?儂はただ面白そうじゃから選んだだけじゃい……そう言われてみれば、儂以外に同じ奴は居ないのぅ?」

「はぁ……つくづく勝ち目のない戦かよ……まぁ良いや」


――ザリッ――


「ぶっこ抜くッ!」

「来ぉいッ!」


――ドォンッ――


それは大砲の砲撃の様に、爆音で大地を駆けた、そしてもう片方はまたその手に刃を持って大地を踏む……数秒と、数瞬と掛からず、砂煙と共に2つの影が交差する。



――………――


「……フシュゥゥッ」

「「だぁぁ……負けたッ!」」


2つに割れた身体が崩れ、草原が普通の室内へ変わる。





●○●○●○


――ガチャッ――

――パァンッ――


(ヒィィィッ!?何!?何アレッ!?)


ディヴォンは湿地を隠れ潜みながら逃げていた……飛翔する敵の攻撃から……彼等自身の強さそのものはそれ程でも無かった、問題は人間の群れ一人一人が持っていた〝鉄の筒〟。


――パァンッ――


「居たぞー!居たぞー!!!」

「ちょちょちょッ!?君等狡くない!?」

「「「うるせえ、テメェの隠密のが狡いわ!」」」


一斉に放たれる鉄の雨、木々を砕きながら、着実にディヴォンの身体を削って行く火を吹く筒に、ディヴォンは右往左往していた。


(ヤバいヤバいヤバいッ、何アレずっる、あんなの絶対戦いに出しちゃ駄目でしょ、ヘルプミーボスー!)

『此方本部、増援は送れない……ッてか彼奴等巫山戯んな、コッチが自重して造らなかった重火器何普通に配備してんだ、部外者が勝手に時代進めるな』

(知ってたの!?何で作らなかったのさ!?)

『当たり前だ、外界(そと)からの技術は未成熟な社会を壊しかねんだろうが、社会には社会に見合った発展の仕方があんだよ、それをあのボケ共簡単にぶっ壊しやがった』

『どうすれば良いの!?』

(お前にくれてやった魔剣モドキ使え、後は適当に暴れて死んで来い)

『酷ッ!?』


「えぇい、ままよ!……〝不在猫の腕輪〟」


ディヴォンの腕輪に着いた、透明な水晶の中に猫の紋様が入った四角い装飾が怪しく光り、黒く染まる………しかし、ディヴォンの周りに変化は無かった……其処に鉄の雨が迫る。


「ええぇ!?不発ッ!?ボスこれ不良ひ――ッ」

「消えた!?」


――バキャンッ――


鉄の雨はディヴォンの身体を透過し、背後の木々へ当たる。


『説明聞いてなかったのか?……〝不在猫の腕輪〟、には能力行使中汎ゆる物理、魔術的干渉を透過する……今のお前はそこの心象世界に存在しない』

「つまり?」

『つまり魔術の効かない霊体化だ、魔力消費が馬鹿だからもう切れるぞ?』

「ヴェッ!?」

「探――ッはぁ!?」

「ッ死ねやおらぁ!」


彼らの目には、急に眼の前に標的が現れた様に見えるだろう、誰が分かるだろうか、心象世界の中で、その存在を消失させ、再度現れた等……そんな馬鹿げた道具が有る等、誰にも分るものか。


箱の中の不死身猫キャット・オブ・シュレディンガー〟……その箱の猫が隠れた時、その存在は汎ゆる干渉を拒絶する、箱の中では猫は不死身だ、何故ならば中で起きた事など誰も〝知らない〟のだから……。


「アバァーッ!?」


そして、箱の中の蛇は、覗き見られて息絶えた。



前哨戦も大詰め、守護者の叩く2つの扉には。


「「……来たか」」


絡め謀殺する賢き死に蜘蛛と戦場に住まう狂戦の喧嘩姫が待ち構えていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ショタ蛇君の断末魔が世紀末モヒカン生命体のソレなんですがwwwwww
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