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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
終章:悪神討つ英雄譚
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神々の成れの果て

――ギュオォォォッ――


「〝グリシア〟!」


――ゴゴゴゴゴッ――


「ッうむ!――」

「「〝雷神ノ戦槌エレメント・ニョルニル!〟」」


空を渦巻く巨大な〝黒雲〟が大地へ警鐘を鳴らし。


――ズガァァァンッ――


天から落とされた…〝神の武具〟はその姿を雷に紛れさせて落着する。


――バリバリバリッ――


精霊…魔術、魔力と言う〝力〟に於いて、その技量にて、右に出る者は居ないと言われる種族…その〝長〟が放ったとなれば、その攻撃を防ぎ得るのは〝龍の王〟程度だろう…。


「――流石、龍と肩を並べるだけは有る…と言った所か」

「「ッ…」」


――バキッ――


己の腕が抑えていた〝雷槌〟を握り潰す…その腕は酷く焼け爛れ、身体全体へ相応の損耗を与えているのが一目で分かる…。


――ゴプッ、ジュプッ――


「いや愉快、一番美味しい所を〝現在〟の方に取られて萎えていたが、気が変わった…愉しいぞ〝精霊王(ハーレクイン)〟共」

「効いています…が、コレは…」

「再生の方が速いね〜?」


対面に浮遊する〝5人〟の少女…否、悠久を生きる精霊王達は口々にそう言い〝オレの未知〟を喰い破る。


「さて、さて…〝現在(未来のオレ)〟の目的を考えると〝過去(オレ)〟の任務は〝精霊王の足止め〟…彼奴の舞台が幕を下ろすまでお前と踊り続けるのが〝役割〟か…うん〝無し〟だな♪」

(折角〝昂ってきた〟んだ、やるなら足止めでは無く〝殲滅〟だ…精霊の王とやり合う機会なんざ早々無いからな♪)


――シャッ――


「しかしどうした物か…流石に〝精霊王〟が5人とも成れば、一歩二歩…殺すには届かない」

(どうにか〝仕留めきる手札〟を創らねば――ん?)


――ギィンッ――


「クハッ♪――お前の相手は〝未来(オレ)〟だぜ〝ギルネーデ〟!」

「クッ!?」

 

無貌がそう思考しながら精霊達の挙動を伺っていると、ふと己等の周囲を蝿の如く飛び回る〝ソレ〟が現れる。


「ッギル!――このッ、ギルから離れ――」


ギルネーデの剣戟を容易く捌き、返す刃が〝大地〟を穿つ…その暴威を一切の呵責無く振るう〝堕天使〟へ〝元精霊王(フィリアーナ)〟が攻撃しようとしたその瞬間。


――ガッ――


「グェッ!?――何だ?」

「丁度良い所に〝来てくれた〟な♪――手を貸せ〝未来〟♪」


フィリアーナよりも早く、ギルネーデへ刃を振るっていた〝堕天使〟を〝無貌〟が捕らえる。


「――へぇ?…中々面白い事を考えたな?…良いぞ、やってみろ♪」

「流石は〝オレ〟、話が分かるな♪」


――ドクンッ――


一見すれば〝仲間割れ〟に見えたソレは、しかし…その直後に否定される。


「「〝我は破壊者〟…〝滅ぼす者〟」」


その瞬間、〝堕天使〟はその身体を融解させ…その身の全てを〝無貌〟の腹に収める。


「〝我は悪の魔、有らん限りの呪詛を捧げ〟、〝今新たに再誕せん〟」


そして、その無貌は己の〝姿〟を変貌させながら…その呪詛を口の無い口で紡ぎ上げる。


「〝沈みし都より深淵の水神へ〟」

「〝星辰の狭間より幽閉されし風神へ〟」

「〝地底に縛られし怠惰たる土神へ〟」

「〝遥か星の底へ繋がれし狂気の火神へ〟」


――ドクンッ――


その祝詞に、空間全域が鼓動を打つ…そして。


――ズオォォォッ!!!――


「〝再誕せよ〟…〝悍ましき産声を上げて〟」


〝無貌〟が…無形を増幅させていた〝無貌〟が収縮する。


「『〝渾沌神話〟――〝神格融合〟――』」


――ボト、ジュウゥゥゥッ――


「『〝不完ノ渾沌(ケイオス・クトゥルー)〟――〝蠢キ叫ブ渾沌神アウターゴッド・キマイラ〟』」



そして、その場に…〝渾沌〟を産み落とす。


「『イyaハや、やハりと言うka?…何とEゥか…』」


――ゴポッ――


「『〝神格〟no融合と、〝白痴〟かraのリ■ース吸収ハ、無茶ダッた化?――ふMu?』」


ソレは燃え盛る〝水〟の手足と、風の皮膚で土の臓腑を包む身体を持つ…見紛う事無き〝化物〟の姿。


――キーーーンッ!――


『ッ!?』


その化物がそう小首を傾げ、顎をさすりながら〝無貌〟を此方へ向けたその瞬間…頭の中で響く、強い耳鳴りの不快感に全員が顔を顰めたその瞬間。


『マイクテス、マイクテス…あーあーあー…良し、此方のほうが言語的には分かりやすいな…いやさすまん、神格を〝融合〟させた影響でマトモな言語が喋れんかったからな、こうさせてもらった♪』


目の前の〝化物〟はその顔を…いや、顔は無いが、兎も角…その身体から音を発さずに大袈裟な身振り手振りで此方へ語り掛ける。


『いやいや、お前達にしてみれば高々〝20秒〟すら惜しいだろうに態々律儀にありがとう♪…それともアレかな?』


――グチャァッ――


『〝オレ〟が向こうに行ったら、〝打つ手〟が無いから、〝足止め〟に待っていた…とかぁ?』


そして、その顔を見ても分かるほど…悪辣な〝笑み〟を纏わせながら、その身体をユラユラと揺らす。


『兎にも角にも、コレで〝お前達〟を殺す準備は整った――』


――ボトッ――


『オレもオレで、それなりの無茶をした所為でこの身体が何時まで保つか分からないし…時間も有限だ、早速始めよう♪』


そして、その崩れ落ちた己の〝水の腕〟を作り直しながら、その濁濁と濁った魔力の洪水を吹き荒れさせてその〝杖〟を此方へ向ける。


『〝水神(クトゥルフ)〟――〝氾濫せし大海〟』

「ッ、皆さん〝此方へ〟!――〝水王の浄泉!〟」


その瞬間、リアナが叫ぶようにそう言うと共に術を行使し――。


――ドォォォッ!!!――


空間を埋め尽くす程の濁流が〝精霊〟と〝天使〟を覆い尽くす――。


――バチッバチチチッ――


『おぉッ、やるなやるな♪――じゃあコレは?』


――キュィン――


その濁流をリアナが堰き止めていたその様を見ながら、ハデスは杖を突く。


――バチャバチャッ――


「ッリアナ〜、何か来る〜!」

「ッ!?――囲まれてッ」

『――〝深底の大王父(ダゴン)〟』

『――〝暗礁の大恵母(ハイドラ)〟』


そして、濁流に水飛沫が上がる…巨大な魚人と醜悪な人魚は空を飛び、その空へ打ち上げられた獲物を食らわんと牙を剥く。


――ヒュッ…ゴオォォッ…――


『カハッ、キヒッ――ケヒッヒャヒャヒャ♪…そう簡単に死ぬなよ〝精霊王〟共、もっともっと遊ぼうじゃないか♪』


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― 新着の感想 ―
ハデスの神格特性は"白痴"ですか? 間違いなら、何か教えて下さい。 まあ、単純に見逃しただけかもしれませんが。
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