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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第十二章:冥界統べる屍の王
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嫉妬―邂逅―

思ったより時間が掛かりましたが二本目どうぞ。

――カツンッ――


「――……随分と下って来たなァ?」

「うん…ずっと斜めだから分かり辛いけど…多分1kmは降りてるよ」


石礫を蹴りながらそう言う俺に、ディヴォンは頷き推測を話す…聞くだけで息苦しくなりそうだ…。


「――悍ましい蛇の群れ、千差万別の武器を持つ蛇達の楽園…蛇の因子を強く持つ眷属…そして、この長い長〜い一本道……フフフッ、未だ憶測だが殆ど確信に近いこの高揚が分かるかタラト?」

「まぁねぇ…私も大体同じ推測だよ」

「広く無限に続く様な〝迷宮〟?…果も見えず返りも見えない様なこの馬鹿げた長さだ…そう思うのも無理は無いだろう……だが違うな、そうじゃない」


コレは〝迷宮〟では無い……迷宮ならば俺の魔力探知にも、タラトの探知にも、ディヴォンにも気付け無いのは可笑しいだろう。


「コレは〝たった一匹の蛇の軌跡〟だ……恐ろしく長く、古く、強大な蛇の…な♪」


己が似た者を創って置いて気付くのが遅れたのは些か恥ずかしいが…だが、ほぼほぼ間違い無いだろう。


「漸く〝捉えた〟……まだまだ深い、目の届かない場所に居る、動かず、生命の無い〝物〟と化して尚有り余る〝魔力〟…」


進む度に蛇達の量が多くなる…進む度蛇達を伝いソレの残滓が見えて来る……。



そうして進むその先に〝ソレ〟を見た。


「うわぁ……デカいねぇ…」


ディヴォンの言葉に俺もタラトも無言で肯定する……ソレは白い〝蛇〟だった……馬鹿げたサイズの蛇が、この巨大な地下空間を包むように〝眠り〟…その屍から未だ尽き止まぬ魔力を醸している。


「う〜ん…コレは生きてるのかな、死んでるのかな?」

「…〝生きているし死んでいる〟…肉体は疾うに朽ち、しかし死んで尚溢れる生命力に未だ土へ還らない〝生者〟のソレだ…言ってしまえばコレは〝生きた魔力〟だ」


――ドクンッ――

――ベチャベチャベチャッ――


「「「※※※※!!!」」」


俺の言葉が終らぬ内に、蛇の鼓動が高く鳴る…その瞬間、蛇の腹を突き破り、三匹の蛇が地面に生まれ落ちる……。


「……チッ、成る程」


ソレから感じる〝気配〟に…俺は舌打ちする…何故なら。


――――――

【妬蛇の呪詛】LV120


生命力:1200000

魔力 :1000000

筋力 :600000

速力 :750000

物耐 :800000

魔耐 :1000000

信仰 :800000

器用 :500000

幸運 :300000


【固有能力】

〈呪詛の蛇体〉


【保有能力】

〈寄生〉LV8/10

〈呪毒〉LVMAX

〈隷属支配〉LV8/10


【保有称号】

〈寄生者〉、〈嫉妬の呪詛〉


―――――――


「〝嫉妬〟の呪詛か……つくづく不愉快な悪魔だ」


「『――※※※※※!!!!』」


一匹の呪詛がそう叫ぶ、その瞬間呪詛が零れ落ちた穴が蠢き、何十、何百の蛇共が這い出てくる……。


「【冥府の母蛇】の生命から生まれた蛇を支配する……成る程、まだ幼体ならば隷属に疑問は持たないだろうな」


だから支配も容易い……蛇の母が墓に選んだこの砂原を居城に構えたのはソレが理由か。


「――〝不愉快〟極まるな…殺れ〝ガルダ〟」


飛び掛かる蛇の群れを鏖殺し、呪詛へ迫る。


「妬むばかりで何も掴もうとせず、果てた死人から簒奪し、王位に縋る愚物の女王が」


「シャアァァァッ!!!」


一歩踏み出すと同時に呪詛が口を開き、その牙を俺の腕に突き立てる……すると。


――ピキッ…ピキッ…――


俺の腕が徐々に石化を始めてゆく……極めて遅く、弱い呪いだ…ただ魔力に物を言わせた

だけの容易な〝呪い〟だ……ソレがそのまま奴の実力なのだろう……何処まで行ってもつまらない〝塵〟だ。


「――呪詛風情が一丁前に蛇の真似事をするな」

「『ッ―!?』」


噛み付いた呪詛の頭を掴み、俺の身体に黒い紋様が浮かぶ…。


「本物の呪いは〝こうする〟んだよ♪」


黒い痣が動き、呪詛の中に紛れ込む……その瞬間。


「「「『イヤァァァッ!?!?!?』」」」


呪詛から嫉妬の叫び声が聞こえ、三匹の呪詛がのた打ち回る……そして、その瞬間。


――パアァァァンッ――


呪詛の頭蓋が破裂し、黒い粘液が地面に巻き散らかされ…そして蒸発する。


「――さぁ、行くぞ……無様な女の末路を見に、な♪」


そうして俺は二人を連れて蛇の横に聳え立つ悪趣味な金の城へ足を運ぶ。



〜〜〜〜〜〜


――ズバンッ――


「グアァァァッ!?」


――ヒュンッ、ドスドスドスッ――


「ギィッ!?」


――ドッ、ゴリュッ――


「ガッ…ヒュッ…」


金の城を進む、道中邪魔な悪魔共は俺の術とタラトの罠、ディヴォンの暗器によって金の城を汚す赤血と糞尿に変わる


其れ等を無視して絢爛豪華に飾り立てられた悪趣味極まる調度品を壊しながら、最奥に佇む重量感の有る金の扉を目前にする。


「〝消し飛べ〟」


金の扉に手を翳し、その直後…掌に集まった術が膨張し、金の扉を文字通り消し飛ばす……。


――パラパラ……――


土煙の中を進み、そして土煙の中を通り抜けて…俺は眼前の〝ソレ〟へ心底嘲る様に言葉を吐く。


「やぁ〝レヴィアタン〟…相変わらず癇癪か?」


其処には身体を抑え、悶え苦しむレヴィアタンと、恐らくはソレに触れたのだろう悪魔達がその身体に黒い痣を纏いのた打ち回って居た。


「ハァッ…ハァッ…は、ハデスッ、私に何をしたのよォッ!!!」

「おぉ、流石レヴィアタン…他よりも頑丈何だなァ?……何て事はない、〝呪詛返し〟だよ呪詛返し…どうしたんだ?…お前も呪いを扱うなら〝解呪〟位出来るだろう?」


俺がそう言うと、レヴィアタンは更に顔を赤くしてこちらを睨む……つまりレヴィアタンは〝解呪〟を出来ないと言う事だろう、知ってたさ。


「今まで自信の魔力に物を言わせたお粗末な呪いしか使わなかったツケだな、そんなだから〝肉体への呪い〟すらマトモに解呪出来ない……他ならぬお前が招いた不測だ♪」


――カツッ――


「俺としてはお前が苦しむ様をまだまだ見ていたいが……そうも行かん、年がら年中暇ばかりのお前と違い俺は充実した〝目的〟が有る……お前如きに無駄な時間は掛けられんのだ♪」


レヴィアタンに近付く……弱々しく、最早立ち上がる事もままならないこの〝情けない悪魔〟へ足を進める……そして。


「さぁ、さっさと消えて〝出て来い引き籠もり〟」


――グシャッ――


レヴィアタンの頭を踏み潰す…一度、二度、三度と入念に……そして、その水晶に触れる。



――ピキピキピキッ――


最早語るまでも無く、結晶は黒に染まり……そして砕け。




『ボスエリアに侵入致しました!』

『レイドボス、〝嫉妬〟の〝レヴィアタン〟との戦闘を開始します!』

『参加人数:3/100』



結晶に閉じ込められた無様な悪魔を引き摺り出した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 三百話達成、おめとうございます!! 今後も応援しています頑張って下さい!!!
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