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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第十一章地の底に堕ちる者
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白蛇の暗殺者と夜の王

どうも皆様泥陀羅没地です。


コレで幹部5人の御褒美回は終わります…ベクターとヴィル、アジィは…はい。


話の都合的に御褒美回を立てたは良いが、私には難易度が高過ぎたよ…。


次からは悪魔回収パート兼ハデスの〝夢見〟となります…ハデスの夢見る、数多の物語、その破滅と希望の結末を御期待下さい。

――バササッ――


「――へぇ、あの子等随分と派手に暴れたんだね」

「――まぁね、偶に僕達とかち合ったりしたけど、やっぱり天使は狡いね〜」

「そりゃああの愚物が後先考えず創った連中だからな…さもありなんって奴さ」


俺は現在、南の沼地に作られた小さな拠点でディヴォンと資料の山に目を通していた…。


「ボスこのクッキー美味いね?」

「手慰みに作ったがお気に召した様で何より…それで、兄の方の天使に変化は?」

「――知ってて言ってる?」

「さぁ?…予想は付くが確定では無いだろう?」


俺の言葉にディヴォンは肩を竦め、悪戯な笑みで言葉を綴る。


「ボス好みに〝狂った〟よ…特に僕達への執念が凄いかな…〝ほら〟」


そう言いディヴォンが水晶を投げ渡す、ソレ覗くと、其処には〝憎悪〟と〝憤怒〟を纏い、〝復讐心〟に駆られた天使と呼ぶには余りにも醜悪な狂気の男が居た。


――……――


逃げ惑う悪魔へ弓を射る…しかしソレが致命傷を与えることは無い。


四肢を射抜き抵抗をさせないようにした、そして弓を射る、少しずつ少しずつ悪魔の骸へ死んでも死んでもずっと射抜く、その存在が塵芥と化すまで。


「お〜怖い怖い、コレでは何方が悪魔か分かったものでは無いな♪」

「だよね〜…まぁボスが一番外道何だけどね♪」

「「ハッハッハッ!」」


――バシュンッ――


「失礼な事を抜かすな!?」

「『だってそうじゃん!?』」


――と、戯れ合いは程々にして。


「――本当にコレで良いのか?」

「うん、コレで良いよ〜…もう何日も戦ってるから、偶にはのんびりしたいの」

「……そりゃあ御愁傷様だ事で…まぁ構わないとも、平穏を享受するのも悪くは無い」


刺激に欠けるがな…ふむ。


「ソレでは少し、荒っぽくは無い遊戯でもするか」

「お?良いね〜♪」


指を鳴らし、影を這わせる……ディヴォンの部屋は一転して穏やかな音楽の鳴り響く木洩れ日の草原と化し、俺とディヴォンは〝テーブル〟を挟んで対面し、俺とディヴォンの間に立つ様に、一匹の死霊が立つ。


「さぁ、〝札遊び〟が良いかな?〝盤遊び〟か?…好きな物を選ぶと良い♪」

「――それじゃあ〝札〟で…ポーカーにしようかな?」

「――結構♪」


――パチンッ――


指を鳴らすと共に死霊のディーラーはカードを回す。


「ディーラーは不正してないよね?」

「無論だとも、ゲームは公平で有って始めて楽しめる物だからね♪」


――シャッ――


札を手に取りカードに目を移す――。


「――ディヴォン?」

「ッ―!」


――グシャァッ――


その瞬間、ディヴォンの腕が拉げて伸びる……その手からパラパラと落ちて来る2枚のカード。


「騙し合いはゲームの華だ…無論構わないが、もっと上手くやりなよ?」

「……あい」


さぁ、仕切り直そう。


「――あぁ、そうだ♪…どうせやるなら〝罰ゲーム〟でも付けようか♪」


丁度手元には良い〝素材〟が有るんだし♪…。


「今からこのクッキーにタラトから拝借した数種類の薬品をランダムに含ませる…無味無臭の物を選出するが何も入っていない物も有る……負けた側が1枚食べる事にしよう…♪」

「ウエェッ、タラトの薬?…嫌な予感しかしないんだけど…大丈夫なの?」

「安心しろ、ヤバいのは五種類位だ」

「全然安心出来ないよ!?」


と叫ぶディヴォンだが止める気は無いようなので続行しよう…さぁ。


「この30枚余りのロシアンクッキーに何が仕込まれているかは私にも分からない…」


さぁ、苦悶の遊戯を始めよう♪…。



ディーラーがカードを切る、そして俺とディヴォンは与えられた札を見て顔を百面相させる。


〜〜〜〜〜〜


「うぅむ…コレは参った、勝てそうもないし、降りさせて貰うよ」


カードを伏せてクッキーを1枚手に取る…さて…。


――ドシャアッ――


「おぉ…コレは以前タラトに使われた〝アポロンの毒塵〟かな?……成る程コレは面白い」


効果自体は知っていたがいざ食らうと厄介だな♪



〜〜〜〜〜〜


「うっそぉ!?」

「ハッハッハッ♪…残念〝フォーカード〟だ」


ディヴォンはそう言い立ち上がる、その手に持っているのはフルハウス…僅差で私の勝ちだった。


「さぁ食べ給え♪」


俺の言葉にディヴォンは顔を引きつらせて1枚手に取る…そして口に放り込んだ。


「……別に何とも――グフッ!?」


その瞬間、ディヴォンが蹲り口を抑える…口からは夥しい血液が、いいや口だけでは無い、目から鼻から耳から…汎ゆる箇所から血が噴き出し、数秒もしない間にディヴォンが干乾びる。


「〝出血〟系か…それもそこそこ強力な物を引いたねタラト」


――パチンッ――


指を鳴らすとディヴォンの身体に血液が戻る。


「ッ――ハァッ!?―死ぬかと思った……!」

「既に死体だろうに」


そうも言っている間にゲームは進む、時に身体が強制的に作り変えられ、時にディヴォンが発情し、時に身体がグズグズに溶けてと、多種多様な毒が俺とディヴォンを襲った。


「ッ……さて、残るクッキーは1枚」

「勝っても負けても恨みっこなしだよ?」


ディヴォンと俺にカードが渡る。


「――ほぉ、コレはコレは……」


中々面白い事に成ったな♪


「――私はもう構わないよ?」

「………僕もだよ」


ディヴォンもどうやら余程自信が有るのだろう、お互い直ぐに勝負を告げる。



そして、俺とディヴォンがカードを捲る……。


「ッ――ストレートフラッシュか♪」

「ッ――ロイヤル…フラッシュ…!?」


ディヴォンは俺のカードを見て口を開き、俺はディヴォンのカードを見て頬を緩める…。


勝者は決した……ならば後は罰ゲームだけだ♪


「ッ―――!」


ディヴォンがクッキーに手を伸ばす、震える手で、ゆっくりと…。


クッキーに何ら変化は無い、ただ其処に有るだけだが、その重圧からか、ディヴォンの息が荒くなる。


しかし距離は遂に無くなり、ディヴォンはその手にクッキーを掴む、そして意を決し口へ放り込んだ…。


数秒、変化は無く…。


数分後…また変化無く……。


「「……」」


俺とディヴォンは見合わせる。


「「〝無毒〟…!」」


最後の勝負の罰ゲームは、このゲームにおいて最も〝味気無い〟結末に終わったのだった…。


「……ハッハッハッ!――最後の最後が無毒の菓子とは、運が良いやら悪いやら…ともあれ中々楽しめたな♪」

「うん、そうだね…どうせなら今度は別のゲームでもしようよ」

「あぁ、構わないさ…まだ夜は此処からだからな」


トランプとディーラーを下げ、今度は二人で駒打ちを始める。


其処からは驚く程穏やかな時間だけが過ぎて行った……。


「それはそうと、ディヴォン…コレをやる」


駒を並べながら、俺はディヴォンへ〝組紐〟を渡す。


「見た目はこんなだが、世界樹の繊維から創った物だ、品質は保証するよ」


――――――

【霊樹の組紐】

ハデスが手ずから作った、たった一人の為の組紐、ハデスの呪いが込められており、所有者以外が許可無く触れるとその生命力を奪われる。


効果1:所有者以外が許可無く触れると生命力を奪われる


効果2:所有者は夜の間全ステータス微量上昇。


―屍の祈りを込めて、呪詛と祝福を貴方へ贈ろう…悠久を耐えた物への贈り物としては、貧相だろうがな――


――――――――


「――ッ!――ありがとボスッ!」


そう言うとディヴォンは己の腕に組紐を結ぶ……喜んでもらえた様でなによりだな。

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