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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第十一章地の底に堕ちる者
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賢蟲の研究者と屍の王

タラト回、次はセレーネ回に成ります。


少し短い…いやいや、短く無いさ、きっと…。

――コポコポコポッ――


「〝白毒蠍〟の毒は強力な神経毒で、筋肉の伝達を阻害し激しい痛みを与え、筋肉の動きを緩慢にする」


――ツプッ――


「ふむ――察するに今注入された毒はその痛みを失くした強力な麻酔毒と言った所か?」

「流石だね、その通り…この蠍の毒に〝麻痺〟の効能を持つ〝模倣植物〟の薬効効果を配合し、さらに私が秘密裏に開発した〝万効草〟で毒性の効能を引き上げた…今から注入するから、指を動かし続けてくれるかい?」

「薬の効きを確かめる訳だな…了解した」


タラトの研究所にて、俺は手術台に仰向けに成り、タラトの注射を受ける…注射と同時に指を軽く動かしてゆく…ソレから5秒ほどして、その変化は如実に現れる。


「――ん、鈍くなって来たな」

「―〝5.316〟秒…成る程、毒耐性が無ければこんな物か、毒耐性を持つ者なら凡そ8秒〜15秒で体の動きが鈍く成ると…ふむふむ」

「コレを毒ガスに改良すれば捕縛も殺害も容易に成るな」

「暗器に塗れば戦闘の最中でも使えそうだ…良し、それじゃあボス、次の素体に成っておくれ、今度は別の薬品を試したい」


タラトの言葉に身体を作り変える…カレコレ5時間半この調子だ、俺がタラトに毒を投与されて、俺が感想を述べる、其処から議論して次の発展系の構想を練る…既に50種類以上の毒薬を受けたが、どれも中々面白い、特に面白かったのは〝出血を抑えて痛覚を引き出す毒〟だ、アレは中々痛かったな…拷問するに当ってアレだけ有効な薬品はそう無いだろう、治療魔術や再生薬を合わせれば完璧だな。


「それじゃあやるよ?」

「了解した」


――ツプッ――


タラトが新しい毒を注入する…琥珀色の液体が俺の身体を通り、身体に染み渡ってゆく…時間が少し経過するも、変化現れない…。


「ふむ?……この薬品は他のと違い即効性は薄い様だが…何を――ッほぉ!」


次の瞬間、俺は微妙な違和感に目を見張る…身体中を駆け巡る血液、心臓の鼓動が近く感じる、五感が何時もより鋭くなり、タラトへ自然と意識が向いてしまう。


「成る程、〝興奮薬〟か…理性を削って本能の側面を強く引き出すのか…中々面白いな」

「――聞いたよ君、昨日はグルーヴと随分と密着したらしいね?」


タラトはそう言い、俺へズイッと近付いて来る…甘い香りと薬品の香りが混ざり合い不思議な香りだ…だが決して悪くは無い香りがする。


「今日一日、君は私に従うのだろう?…ならばコレくらいの役得は有って然るべきじゃないかい?」


タラトの目を見る…普段通りの美貌だが、やけに色香が濃い…コレも薬の影響なのか、その動きの一つ一つに目が行く。


「さぁ、君の好きにすると良い」

「――ッ」


そう言い腕を広げるタラトに手を伸ばす…全くコイツは。


「――少し、悪戯が過ぎるぞ?」

「――へ?」


タラトの頭へ手を添える……そして少し力を込めてやる。


――ギギギッ――


「痛ッ、イタタタタッ!?――ば、馬鹿なァ…な、何故〝興奮薬〟が――」

「そりゃああくまで理性を希薄にするだけの代物なら、俺が強く理性を保てば良いだけの話だ…好きにして良いと言うのなら、俺はそうするさ」

「ヌオォォォッ…そんな、馬鹿なァァァァ…」


俺に頭を掴まれプランプランと身体を揺らすタラトはそう言い項垂れる…その時。


――ピコーンッ――


「ッ――♪」


俺の頭に面白い悪戯が浮かび上がった…。


「タラト」

「ォォォォ――…何だ――」


タラトが顔を上げる、その瞬間タラトは目を白黒させる…そして、タラトの瞳一杯に映る俺を、俺は覗き込む。


「――どうした?…コレで良いんだろう?」

「は……え?…ィャァ…」


俺がタラトの真近くでそう言うと、タラトの声が萎んで行く…普段冷静なタラトのその変貌が堪らなく楽しく、嗜虐心が湧いて来る。


「ほら、どうしたんだ?…目が泳いでるぞ?」

「ッも、もう良いッ、もう良いから離れてくれ!」

「連れないな?…〝好きにして良い〟と言ったのはお前だぞ?」



俺の言葉が響く度に、タラトの目が揺れる…だが止める気は無い…好きにして良いと言ったのはタラトの方だ…ならば、俺の気の済むまで虐めてやろう。


「か、勘弁しておくれェェッ〜!?」

「嫌だ☆」


そのまま逃げようとするタラトを影で覆い隠す…それから凡そ数時間程俺は影の中でタラトを〝虐めて〟やった…。


そして日が沈み夜が明けると、其処には――。


「フゥッ、少しばかりやり過ぎたか?」

「グニャア……」


餅の様に緩んだタラトが、俺の膝の上で眠っていた。


まぁ構わんだろう、コレで少しばかりは反省するだろうな…。



〜〜〜〜〜〜



――ドゴンッ、ドゴンドゴンドゴンッ――


「チョイチョイチョイッ!?―ま、待てよ姐御、ソレは流石に洒落に成って「〝天落〟」―ゴッハアァァァッ!?!?!?」



――ドドドドドッ――


「――ギィァァァッ!?!?―何で!?何で僕等がこんな目にィ!?」


「「何やったんだよボスウゥゥゥッ!?!?!?」」



〜〜〜〜〜


「「ウニャニャニャニャ〜ッ♪」」

「ホッホッホッ、コレでは猫の様ですよ二人共…」


(((((可愛い…)))))


日向の上で身体の力を抜き二人が微睡む…ベクターと騎士達はその光景にホッコリしていたのだった…ディヴォンとバリッドは…必要な犠牲と成ったのだった。


●○●○●○


「――それじゃあおやすみ、タラト」


俺はタラトの寝室にタラトを運び、そのベッドにタラトを置く。


「四六時中研究するのは良いが、休息位はしっかり取れ…全く」


影の中で何をしていたのか…?……〝マッサージだマッサージ…〟……それも飛び切り痛いタイ式から肩こりや腰痛に効くマッサージまで…その結果タラトの全身はしっかりと解され、タラトはグッスリ熟睡しているのである。


「――ふむ、案外似合うな」


俺はタラトの腕に〝プレゼント〟を着け、立ち去る…。


タラトの腕には淡い緑に輝く、美しい腕輪が着いていた。


―――――――

【屍銀の腕輪】

ハデスがたった1人の為に手ずから作った腕輪、緑の宝石にはハデスの呪いが込められており、所有者以外が許可無く触れると生命力を奪われる。


効果1:所有者以外が許可無く触れると生命力を吸い取られる。


効果2:夜の間所有者の全ステータスが微量上昇。


―美しき賢き貴女へ、私は虚ろの愛を貴女へ贈ろう――


―――――――

夜雲と月華可愛い(可愛い)…異論は認めない、良いね?

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