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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第十章:人と悪魔の争奪戦
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悪魔の御茶会

――コポコポコポッ――


「どうぞ、御父上…お口に合うと良いのですが…」


俺は対面に座るメフィから紅茶を受け取り、一口飲む、程よい温かさに紅茶の香り、スッキリとした味わいが堪らなく美味しい。


「良い腕だね、美味しいよ」

「おぉ、それは良かった♪…さて、それでは私はこのアップルパイを食べて見ましょう」


そう言うとメフィは丁寧に切り分けたアップルパイを口に運び…そして目を見開き薄く笑む。


「おぉ!コレは素晴らしい…程よい酸味に甘さ、生地のサクサクとした食感、チーズのしょっぱさが更に味を引き立てる、絶品の品ですね……一体何処の店で?」

「〝白鳥の羽休め〟と言う店でね……素晴らしい料理の隠れた名店でね、そこの店主がまた面白い…一度ファウストに行ってみると良い、メフィも気に入るだろう」

「ソレはソレは…是非そうしましょう、コレで楽しみも一つ増えました♪」


和やかに会話を交わしながら、俺とメフィは思い思いにティータイムを楽しむ。


「所で御父上、どうして私の元へ?」

「いや何、ガレリアに聞けばこんな辺鄙な場所に居を構える悪魔が居ると聞いてね……気になって見に来たんだ……しかし良く私が君の〝父〟だと分かったね、魔力も身体能力も魂も、全て別物だと言うのに」


俺の言葉にメフィは笑みを深くし答える。


「フフフ、御父上の〝形〟は特徴的でしたから♪…〝空洞の無形〟…こんな形は貴方以外に見た事が無いですよ」

「ほぉ…成る程、上手く隠していると思ったが、そうでもなかったか」

「と言うよりも私が特別なので御座います……と言うよりも御父上の息子達の中で、私程異端な悪魔は居ないでしょうね」


そう言うとメフィは一口紅茶を含め、続ける。


「御父上が放った、悪魔が一万匹……そのうち人間に討伐されたのが100匹、天使達に討伐されたのが3000匹……残る6900匹は同族からの力の奪い合いをし、或いは従属したりと言う具合……そして、今、この大陸には20を超える中位悪魔と10と数人の上位悪魔がと言った所でしょうか……私はその上位悪魔の一人であり、彼等から〝異端の道化〟と呼ばれる〝二つ名持ち〟に御座います」


そう言うとメフィが指を鳴らす。


「ほぉ…コレは中々、良い趣味しているね」

「はい、実を言えばこの荒野、より言えば龍の皆様の力を欲して毎年何人も悪魔が来るのですよ…私はそんな悪魔を狩り、力を少し奪い、残った魂と身体はこんな風に…〝加工〟しているのです」


テーブルには様々な〝成れの果て〟が有った、熊の縫いぐるみ、黒い王冠、耳飾り、ブローチ、指輪や宝石まで、様々な形の〝者〟が有った(居た)


「そうだ、〝御父上〟は今悪魔を欲して居ますよね?」

「そうだね、何十人何百人か…千匹二千匹入れば充分かな?」

「それは丁度いい……では此方の〝黒い宝石〟を差し上げましょう…中は私の兄弟、或いは自然に現れた同胞を混ぜて封じた〝封石〟でして、御父上ならお使いになられましょう?」

「おぉ、良いのかい?……悪いね」


メフィにそう言われ、有り難く宝石を〝指輪〟に取り込む…下準備の一つが早くも進んだな。


「さて、折角贈り物を頂いたんだ、何か礼をしないとね…」

「いえいえ、そんな事はお気になさらずとも…」

「いいや、〝恩には報酬を〟だ……私は君から〝駒〟を貰った、では私はそれに見合う代価を用意しなければならない」


とは言っても私からメフィに渡される値打ちの有る物は余り無いが……。


「では、〝私の復活の際〟にはメフィ…〝君へコレに見合う分の力と物を与えよう〟」


――キュィィンッ――


私とメフィの手の甲に黒い紋様が刻まれる。、契約成立だ。


「君は私に似ている…いいや、本質は別だが極めて近い趣向をしているね……なら、こういうのをプレゼントするよ」


そう言い俺がメフィにソレを見せる……するとメフィの瞳は見る間に興奮を帯びる。


「気に入って貰えたようだ♪…コレは復活の後のお楽しみだよ……あぁ、そうしょげないで、そう落ち込まなくても後2週間もすれば準備は整うよ」


――ゴーンッ、ゴーンッ――


「……うん、楽しかったよメフィ、また今度機会が有れば御茶会しよう、今度はガレリア達も入れて…ね?」

「えぇ、その時を楽しみにしております御父上」


そして御茶会は終わった。




その後は2日程竜狩り敢行し、全員の強化を計った…そして。


「もう行くのか?」

「はい、今まで良くして頂きありがとうございました!」


リリーとガレリアの謁見…目的を果たした我々は今、ガレリアへ別れの挨拶をしていた。


「そうか、この数日間、俺も中々面白かったぞ?」


龍王はそう言い、朗らかに笑う。


「此処から人の街までは遠いだろう……どれ」


――ブゥンッ――


「俺が〝送ってやろう〟」


ガレリアはそう言い、牙を覗かせ笑みを作る。


「荒野の入口まで飛ばしてやろう…無論馬車もだ…お前達が何をしようとしているかは知らないが、精々頑張れよ?」


そう言うと一瞬景色が黒に染まり――。


『新たな称号〈龍王の友〉を獲得しました!』


その声と共に我々は気が付けば荒野と草原の境目に立っていた。


「この規模の転移って……」

「ハッハハハ、本気で化物だなあの人…」


3人が顔を引き攣らせ、乾いた笑みを浮かべるのを、止めさせる。


「それは置いておいてだ、いよいよ我々は。この〝骸〟の争奪戦に加わる訳だ…既に君達は守護者上位の力量を得ている事は教えておこう」


そう、いよいよこの修行の理由、俺の骸の回収戦争に参陣する。


「襲ってくるのは悪魔魔物だけじゃない、裏の人間も勿論加わるだろう…きっと血みどろの、悍ましい死闘になる」

「「「っ…!」」」


俺の言葉に3人は生唾を飲み込む。


「ウェイブ、君との契約は此処で終わりな訳だが…どうする?」

「――ハッ、此処まで来て水臭えなぁ…当然着いて行ってやるよ、アーサーを驚かせてやりたいしな!」

「オーケーそれじゃあ行こうか」


楽しい楽しいイベントの渦中へ♪。


(南に一つ…動いていると言う事は掲示板で有った通りディヴォンか、後は西と東に一つ、何方も動きはない…)


そして、ディヴォンは此方へ向かっている……コレは中々楽しめそうだ。

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