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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第十章:人と悪魔の争奪戦
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竜狩り②

どうも皆様泥陀羅没地です。


前のサブタイトルですが、既に同じタイトルが有ったので変えておきます。


いやお恥ずかしい。

「フフフッ♪」


空の上で竜と踊る、爪と尾を躱しながら、竜の腹を、顔を殴る……青い空に赤の絵の具が飛び散り、そして茶色い大地へ吸い込まれる。


「ハハッハハハ♪」


楽しい、この緊張感、この興奮が、堪らなく愉快だ。


「グルゥッ――」

「おい、もう疲れたのか?…冗談だろう?」


ボロボロの身体で、辛うじて空を飛ぶ竜の首を掴む、その目には〝怯え〟が有った。


「ほらまだ踊れよ、何怯えている、俺よりも強い筈だろう、俺よりも優れているのだろう?…なら示してみろ、もっと見せろまだまだ遊び足りない」

「グウゥ……」

「〝恐れた〟な?…逃げようとしている、何処へ、己の巣へか?…まさかだろう、誇り高い竜が何怯え、剰え恐れ逃亡しようとしている?」


先程の威勢は何処へ捨てた?


「さぁ、続きだ…奮い立て、殺す為に、殺されない為に、己の為に、己の矜持の為に、さぁ、さぁ!」


俺の言葉に、益々恐怖が大きくなる…そして、次の瞬間、竜の目が〝虚無〟を帯びた。


「――  」

「……ッ、蜥蜴め」


動かぬ骸を大地に放り投げ、俺は次の〝獲物〟を睨む。


「貴様は何方だ?……誇り高き竜か?…〝愚かな蜥蜴〟か?」

「ッ〜!?」


――バサッ――


俺に背を向け、必死に羽撃く〝蜥蜴〟を見る……そうか。


「〝残念〟だ」


――ギュギュギュギュッ――


「〝テラー…食って良いぞ〟」

「『(≧▽≦)!!!』」


槍の形にしたテラーを竜へ投げる……少しの後、蜥蜴の悲鳴が聞こえたが、どうでもいい事だ。


「ふむ……リヒト、リリー、ウェイブの方ももう終わりか?……やはり飛竜相手じゃ、其処まで苦戦しないか」


……となると〝中位竜〟辺りとやるのが良いか。



○●○●○●


「「ハァ…ハァ…」」


息切れ、そして疲労…しかし二人の顔は高揚していた。


――ポタッ、ポタッ…――


二匹の飛竜のその姿を見て……傷だらけだ、血がドクドクと溢れている……何十、何百の攻撃の果てに、竜の再生能力が弱まっている。


「「グルルルッ!」」


二匹の飛竜の声、最早竜の炎は吐き出せない、そんな魔力は残っていない、怒りよりも、屈辱よりも、その目には恐怖が映っていた。


己よりも弱い筈の〝虫けら〟が、まさか…己を殺そうとしている、そしてその巫山戯た行動が今確かに己の首に届いているのだから。


「グルルルッ…グルゥッ…」


逃れようと翼をはためかせる、しかしその翼

はピクリとも動かない……既にその機能を失っていたからだ。


「「ウオォォォォッ」」


そして、二人の慟哭が迫る……その刃は、竜の皮膚を貫き、その肉を掻き分け……見事に、首を斬り飛ばした。


「「……」」


――ズドーンッ――


一瞬の沈黙……その光景を、荒い息を吐きながら二人は見る、そして―。


「「よっしゃあァァァァッ!!!」」


二人の〝竜殺し〟が生まれた。



●○●○●○


「ガウッ…グルァッ…」


飛竜は、その尋常ならざる光景に目を奪われていた。


――焔――


蒼い蒼い、冷たくも熱い焔が、荒野に満ち、己の前の少女から立ち昇って居たのだから。


――ジュウゥゥッ――


己の皮膚を焼く炎によって傷付いた身体が痛む……こうなった理由は、あの女の驚異的な〝治癒能力〟のせいだ。


爪で腕を飛ばそうとも、腹を抉ろうとも、直ぐに元に戻る……己へは炎が攻撃するのに、何故かあの女には攻撃が通らない。


苛立ち、奇妙に思う、そして今……〝脅威〟と判断した、己の脳の無能さを悔いる。


「〝蒼く燃ゆる、焼滅の一矢〟」


だが、その〝竜〟は決して逃げない、逃げようとしなかった…。


「グルルアァァァ!!!!」


相手の一撃が危険だと理解している、己を殺せると理解している、逃げる方が賢いだろう……だが、〝それだけは〟出来ない。


「ッ!?」


女の顔が驚愕に染まる、そうだろう……明らかに強力なダメージを受けていると言うのに、己から〝死〟へ向かっているのだから。


――ジュウゥゥッ!!!――


「グルゥゥゥゥゥッ!!!」


炎に包まれる、己の身体を無視して、女へ迫る…何も諦めた訳じゃない、そんな事は有り得ない。


全ては…そう、全てはこの〝戦い〟に勝つ為の犠牲だった。


――ブンッ、ドガッ――


尾を振り回し、爪で女の身体を引き裂く……その度に元に戻る…それでも続ける、痛みに苦痛を漏らしても。


やがて己の鱗が焼き焦げ、黒く成ってゆく…それでも動き続け、〝溜め〟続けた。


「ッ!…〝我が、眼前の敵を討ち滅ぼせ〟!」


やがて、その真意に気付いた女が言葉を紡ぐ……そして、蒼炎の巨大な矢が己を見た。


「グウゥゥッ!」


そして、矢は放たれ、我は口に燻る〝赤い炎〟を吐き出した。


――ドオォォォッ――


炎と焔がぶつかり合う……赤い波とと蒼い矢が押し合う、一瞬の抵抗の後、打ち勝ったのは。


――ドォッ――


〝蒼い矢〟だった……ソレは我の首元に突き刺さり、身体を燃やす。


「〝再生能力〟の連続使用で魔力枯渇を狙う何て……驚きました」


その時、蒼い少女が我の元へ駆け寄る……その顔は信じられないと言うように、そして〝敬意〟を払う様に凛々しかった。


「咄嗟の判断、お見事でした」


少女の言葉が耳に入ってくる……理解は出来ない、しかしそれでも、己を〝讃えている〟と理解出来た。


「グゥ…ラァ…」


ならばと、我は我の〝ソレ〟を引き抜き、少女へ投げる。


「ッコレは…」

「グラウッ……ウガァァッ」


最後に面食らった少女の顔を見て、我はその生命を終えた……。


「〝素晴らしい戦いだったぞ〟」


最後に、そんな声が聞こえた気がした。



○●○●○●


「……」

「竜の〝心臓〟か」

「ッ!…はい、この竜がくれました」


私は、何時の間にやら近くに居た、ソロモンさんへそう言いながら、〝ソレ〟を拾い上げる。


―――――――

【飛竜の心臓】


飛竜の魔力を生み出す器官で有る心臓、その心臓からは莫大な魔力を生み出す機能が備わっている…。


ソレは名も無き飛竜の、勝者への称賛である。


――――――


「…それで?…ソレはどうするつもりだ?」

「……私の力にします、折角貰ったんですし…」

「ほぉ、〝人では無くなる〟かも知れないぞ?」

「分かっています、でも止める気は有りません」

「…フフフッ、ならば何も言うまい……その竜の骸は、俺が丁寧に埋葬してやろう、〝友人の骸〟を野晒しにはしたくないだろう?」

「…ありがとうございます」


ソロモンさんはそう言うと、燃え尽きた竜の骸を影に入れて、何処かへ立ち去る。




それを見送り、私は―――



竜の心臓を〝食べた〟


「……」


血の味が口いっぱいに広がる、ソレを何とか喉に通した……その瞬間。


――ゴォォォッ――


「ッ※※※※!?!?!?」


私の身体が燃えた……炎が身体全体を包み、燃える痛みが、熱が私を蝕む。


声にならない声を上げて、のたうち回る……それでも、〝後悔〟は無い。


元より承知の上だった。


だから、これしきの事でくじけたりはしない……。



それこら、5分後……私を渦巻く炎は〝消えた〟


『個体名【リリー】の種族が変化します』

『種族【人間】から種族【竜人族】へ変化しました!』

『固有能力【半竜化】を獲得しました!』

『能力〈鑑定〉が〈竜の魔眼〉へ変化します!』

『新たな称号【竜へ至った者】を獲得しました!』

『新たな称号【無謀な挑戦者】を獲得しました!』


―――――――

【リリー】LV:65

【竜人族】

【蒼炎の魔術師】


生命力:45000

魔力 :60000

筋力 :25000

速力 :35000

物耐 :35000

魔耐 :50000

信仰 :25000

器用 :35000

幸運 :30000


【固有能力】

〈蒼炎〉、〈半竜化〉


【保有能力】

〈竜の魔眼〉LV:1/10

〈治癒魔術〉LV:4/10

〈杖術 〉LV:4/10

〈魔力制御〉LV:8/10

〈魔力察知〉LV:8/10


【保有称号】

〈善神の加護〉、〈蒼炎の魔術師〉、〈熟練の魔術師〉、〈竜へ至った者〉、〈無謀な挑戦者〉、〈竜狩り〉


―――――――

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