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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第一章:獣の厄災と強欲の魔女
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四の騎士獣と一の戦姫鬼

「第一回!イベント作戦会議を発令する!」


――ドンッ――


どうも、拠点へ帰った後ログアウトし、2日後にログインしたハデスさんです!


「オイオイ主よぉ……何だそのテンション」

「イベント……確か〝飢え狂う魔物の軍靴〟でしたか……魔物の軍……つまり〝獣災(スタンピード)〟の事で宜しいでしょうか?」


今、俺達はブラック企業も真っ青な24時間労働に加え、休憩も睡眠も取らない単純作業労働者(不死者)によって造られた我等が城、【屍御殿】(ヴィル&ベクター命名)に居るのだ!……俺の命名は尽く添削されました……何故……。


「それより主よ〜、サクッとそいつ等創り直せよ」

「ん?……あ〜……そうだな、先にコイツ等作り直すか」


――ズブズブッ――


先ずは人間の死骸100✕4と各四種の死骸を各々100ずつ、そしてそれぞれの死体を用意します


「〝死霊作成〟」


4つの魂を作成段階の瘴気渦に魔石と一緒にブチ込みます。


――スゥ――


「〝我は悪の魔、有らん限りの呪詛を込めて、我は新たな眷属を求めん〟」


4つの渦が唸りを上げる。


「〝猛り狂う悪食の暴君、闇に住まう不敗の白蛇、黒の雨を降らす死の鴉、狡猾で純真な支配者の蜘蛛……お前達は悪魔の眷属、黙示録を謳う我の騎士である〟」


魔力を流しながら、俺はソイツ等の名前を呼ぶ。


「〝死〟の騎士、グルーヴ」

『拝命します、我が主』

「〝飢餓の騎士〟、バリッド」

『……拝命する』

「〝戦争〟の騎士、ディヴォン」

『拝命するよ…』

「〝支配〟の騎士、タラト」

『拝命しよう、主よ』


『「我が血肉を以て、儀は終わりとする」』


腕を千切り4つの渦に投げ込む……ヴィルの時と同じ様に、膨張した瘴気の渦は収縮を始める。


そして四人の死霊が生まれた。


「〝屍鴉姫ノスフェラ・レイブン・プリンセス〟のグルーヴです、宜しくお願い致しますね、我が主」


白い肌に黒いドレスを纏った、貴婦人の様な女、グルーヴがそうお辞儀して俺を見る。


「あ、あ〜……正直まだ慣れてねぇけど……な、何だ、これから頑張るわ……〝飢猪屍人ノスフェラ・グラト・ボアオーク〟のバリッドだ、宜しく頼むわ……ボス」


顔を引き攣らせた蛮族風な姿をしたスキンヘッドの大男がそう言い頭を掻く、コイツがバリッドか。


「ぼ、僕も〜……ちゃんと仕事するからさ、首取らないでね? 〝屍毒蛇人ノスフェラ・ヴェノム・スネークマン〟のディヴォンだよ〜、宜しくね、皆」


バリッドの横で俺を見て怯えた面をする白服青髪の少年……ディヴォン。


「最後は私か、久しいな主……私は〝屍罠蜘蛛女ノスフェラ・スパイダー・アラクネ〟のタラトだ……此処は凄いな、私の居た場所よりも色々と改造出来そうだ」


最後、丸眼鏡の長身痩躯な紫髪の長髪女……タラトがそう言い部屋を歩き回る。



「さて、長共はオーケー、後は……〝死霊作成〟」


丁度良い、そろそろ作ろうと思ってたんだよ


「人間〜魔物〜……合わないか、そんじゃ俺の腕を入れて、魔石も入れて……と、良しオーケー!入れセレーネ!」

『………』


俺はセレーネの魂を渦に入れ、〝儀式を始める〟。


「〝我は悪の魔、有らん限りの呪詛を込めて、俺は知己を蘇らせん〟」


魔力を注いでいく。


「〝鏖殺の戦鬼、狂戦の戦乙女、強きへ至らんと異端を進む同胞よ〟」


大渦が脈動する。


「〝新たな生、邪法の再誕、汝の名を示し儀は終了とする〟」

『……セレーネ』


そう呟くと共に大渦が霧散する、其処には。



「………」


赤い髪を靡かせる青白い肌をした、あの日出会い、そして殺した女、セレーネが居た。


「種族は……〝屍食戦姫グール・ヴァルキュリア〟か……ステータスも軒並み1000とバランスも良く――」


――グシャッ――


「貴様何をッ」

「「「「「ッ!?」」」」」


俺がセレーネのステータスを見ていると、不意に拳が頭を貫き、砕き飛ばした……途端にベクターが怒りの声を上げる。


「『待て待てベクター、この程度じゃ死ぬまいよ』……しかし急に何だセレーネ、再会を祝すにしても物騒すぎやしないかね?」

「うるせぇ!テメェあの時の事忘れたのか?」

「あの時?……はて?何のことかね?」

「何が〝可愛い〟だ馬鹿野郎!」

「……率直な意見だが?」


――ベチャッ――


「「「「「「………」」」」」」

「『えぇ……ってか何でお前等も俺を見てんだよ』……何か言いたい事でも有るのか?」

「セレーネ殿、コチラを」

「……おう、アンタ名前は?」

「ベクターです」

「………は?何でガントレット付けてんだよ、流石に俺も無制限に再生はしないんだが……」

「「「一度死んで考え(ろ・ては・て下さい)」」」

「「「「(だな・ですね)」」」」


「はぁ!?待て待て何故――」



――ベチャッ――




さて、少しハプニング「何が少しだ!」が有ったがセレーネも落ち着いたことだし早速本題と行こう。



「さて、1週間後に〝獣災〟がファウストの街を襲う訳だが……我々はどう動くべきでしょーか?」

「〝獣災〟ねぇ……私も3回位遭遇したけど、その時は1万程度の中規模ばっかだったな……昔のスタンピードで10万位来たってのは旅の時に聞いたな」

「現在〝監視者〟と〝運び屋〟を使って偵察をしていますが未だ発見に至ってません」

「主様の話では私達が討伐された事が発生の原因だと推測しますわ」

「ってこたぁ俺達の縄張りでビビってた奴等が溢れ出したってことか?」

「かもね〜……あ、このお菓子美味しい」

「ふむ、となると〝複合型の獣災〟……しかし妙だな、ファウストと我々の縄張りを見るに到達時刻は3日後が妥当な筈、長くても4日だ……おぉ、確かに、これもベクター殿が?」



茶菓子をバリバリと食いながら情報を纏める、其処から俺とベクター、タラトは一つの結論に至る。



「「「裏に〝何か〟が居る」」」


獣災の発生原因は俺が四人を殺ったのが原因、だがエリアの規模から見て獣災の規模は精々が4000弱、仮に全方位から来てもファウストの戦力なら完封出来るだろう、不死の守護者も居るんだしな。


「つまりアレだ、今回のスタンピードには魔物の災害を操る〝第三〟の干渉が有る」

「仮に1週間、その第三者が魔物を集めているとすれば、不明確ではありますが」

「うむ……恐らく万は行く、10万かソレ以上の想定をするべきだろうな」

「ま、俺達に関係はないけどな!」

「だな!」

「「ガハハッ!」」


俺はヴィルと笑いながら紅茶を啜る……さて。


「その第三者、どう殺そうかね……」

「「「「「「「ッ…」」」」」」」


俺の言葉と共に、場の空気は重苦しく変わる、あぁ、本当に面白いよ。


「人様の獲物を横取りしてくるとは……お行儀の悪い輩も居たもんだ……なぁ、オイ」


あの街は俺が壊そうとしてたのに、勝手に手を出されるのは不愉快極まる……さて。


「今回のイベント……人も獣もぶっ殺して、第三者の計画丸潰れにしてやろう、うん、そうしよう」


あぁ、今から楽しみだ……何処かの誰かさんの憤怒に歪んだ顔が……♪


「ま、取り敢えず各々自己強化でもしておくと良い、俺も〝とっておきの玩具〟作りを再開するから」


そんなこんなで、会議という名の茶会は終了した。







〜〜〜〜〜〜



――トクンッ――


「フンフフ〜ン、いやぁ、材料が潤沢だと失敗も気にしなくて良いから助かるねぇ」


――コポポッ――

――ポチャンッ――


『―――ッ!!!』


「喧しい、腹減ったなら〝共食い〟してろ、数は居るだろうが」


『―――ッ!!!』


「むぅ、〝コッチの方〟は随分難航してるな……やはり■■に込められる俺の魔力が少な過ぎて望んだ効果は付かないか……仕方ない、地道に改良するか」






●○●○●○


ファウストの街にて


「おい!資材運べ!ボスからの御達しだ!」

「うっひょ〜!作る作る作るぜぇ〜!」

「おい!木ィ足りねぇぞ!何してる!」

「うるせぇ!コッチも鉄が足りねぇんだよボケ!」

「「あぁん!?」」

「テメェ等持ってきたぞ!」

「「「「「「良し来たァァァ!!!」」」」」」


ある者は〝厄災〟に恐怖し、またある者は来たるべき戦に高揚を抱く……で、こいつ等は……まぁうん、何処かの屍職人と気が合いそうな奴等だ。



そんな中、物静かな街の一角、其処にポツンと存在する喫茶店〝白鳥の羽休め〟のドアベルがカランと鳴る。


「あ!いらっしゃいませー!」


ベルの音を聴いた少女がにこやかに接客をする。


「一名さまですか?」

「えぇ、一名ですよお嬢さん」


白い礼服に身を包んだ紳士はにこやかに笑い少女へそう返した。


「御注文は何にしますか?」

「えぇ、そうですね……それではこのオススメの、〝白鳥のアップルパイ〟と紅茶を1つ」


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