掲示板①
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――ガコンッ……ガコンッ……――
「う〜し、ソレ持って来い!」
「アアァァ」
アレから1日……主は少し眠ると言って馬車の中に消えた……どうも主は人間の〝守護者〟と同じ体質らしい、守護者は何日も不眠で働き、成長も早い……その分一度寝ると数日は起きないとか……龍よりは短いが随分と不思議な身体だよなぁ。
「っと、主が戻る前になるだけ進めとくか」
現在、俺達は山々の奥地、人気の無い窪地に拠点を建設している、街からはかなり離れ、馬車でも3日は掛かる距離だ……主の創る馬がどれだけ規格外かよく分かるな。
「ヴィル、少し宜しいですか?」
「んぁ?おうベクター!何だ?装備の不調か?」
そんな事を考えていた折、ベクターが現れるとこう言った。
「いえ、実は少し前に街から植物の種を拝借しまして……其処で追加建設となるのですが畑を作るのは如何でしょう」
「何だそれか、それなら主が〝薬草と毒草〟を作れる畑も欲しいって言ってたから、少し大きめにして区分けすりゃ良いだろ」
「成る程、了解しました……所で人手の方はどうですか?」
「問題ねぇ!こいつ等は単純作業しかできねぇが不眠不休の飯いらずで働くから仕事の効率が半端じゃない」
「それでは、私は街周辺で人間を狩って来ますね」
そう言うとベクターは一瞬で姿を消した……相変わらずの神出鬼没ぶりだな。
「そんじゃ、俺も気合い入れっかねぇ」
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【我等は】Fantasia・Another・World攻略スレその3【守護者】
1:名無しの守護者
この掲示板はFantasia・Another・Worldの攻略情報をアレコレ並べる掲示板だ、暴言や誹謗中傷は運営に取り締まられるので注意せよ
次は<<950が建てて
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381:名無しの守護者
所で、例のレギオンは?
382:名無しの守護者
確か今日の朝に進軍するらしい
384:名無しの守護者
んでも西の廃教会って確かEランクパーティーで何とかなったよな?
385:名無しの守護者
<<384ソレ
Dランクの連中ならソロで何とか出来るのでは?
386:名無しの守護者
西の廃教会自体を標的にしてる訳じゃねぇらしいぞ?〝2体ノ不死者〟を標的にしてるらしい
387:名無しの守護者
<<386詳しく
388:名無しの守護者
<<386全裸待機
389:名無しの守護者
<<386カツ丼やるよ
390:名無しの守護者
<<389ウメ……ウメ……
じゃなくて説明な、つってもうちの部隊の隊長から聞いた話だが、なんでもこの街周辺で異様に強い不死者が現れたんだと、報告を聞いた円卓が偵察隊を派遣して全滅、救援に来たガラハドも殺られたらしい
391:名無しの守護者
は?
392:名無しの守護者
マジ?
393:名無しの守護者
草枯れる
394:名無しの守護者
<<390続き
で円卓のボスが冒険者ギルドのマスターに掛け合って討伐軍を編成、参加はCランク以上で一人当たり10万zの破格の報酬、参加上限は千人で昨日に埋まった
395:名無しの守護者
Cランク以上ってヤバくね?Bランクもまだ五人しか居ないだろ
396:名無しの守護者
因みに冒険者ギルドの原住民も参加してる、どれもベテランの厳つい兄ちゃんと姉御だった
397:名無しの守護者
セレーネ姉貴も行くん!?ファンクラブは参加してんのか?
398:名無しの守護者
いんや、参加前に弾かれて抗議してた、姉貴の一喝で収まったけど
399:名無しの守護者
はぇ〜、姉御凄え
400:名無しの守護者
ってかその不死者の情報とは?
401:プロフェス
私が答えよう、先ず標的は不死者2体、一人は執事服に身を包んだ老齢の男、体術、短剣術共に高スペックで、身体能力は夜間を差し引いてもプレイヤートップと同等、特筆すべきは偵察隊にすら知覚出来ない気配遮断と無音移動、一瞬で背後に移動する能力、其処から致命の一撃を与える暗殺者タイプだ、無論不死者故に状態異常は効かない
402:プロフェス
そしてもう一人、ガラハド氏の発言から恐らく執事の主、此方が特に危険な不死者、まず執事を凌駕する身体能力、一瞬で治癒する死霊術の応用、自身及び屍の形状、機能を改造する能力、ガラハド氏が見た時は人の肉で出来た羽と鈎爪の腕を持っていたとか、次にガラハド氏が何もできず死んだ謎の能力、コレは何らかの術だと思われ、その不死者が死霊術の類と明言している事から死霊術による召喚と思われる……しかし文献や言伝に聞いた死霊術とは一線を画す存在である事はこの術を聞いて分かるだろう
403:名無しの守護者
流石検証クラン、仕事が早い
404:名無しの守護者
でも変な薬飲まされたのは許さない
405:名無しの守護者
あぁ、あの何故か性病予防薬の触れ込みで作ったのにハゲる薬の奴か、アレは笑った
406:名無しの守護者
そうだよ!アレのせいで暫く笑われたんだぞ!?
407:名無しの守護者
あと料理作って人造生命作るのも勘弁
408:名無しの守護者
何で料理に狼の毛皮入れるんですかね?
409:名無しの守護者
んな事よりその不死者の話だろ、特に最後の、本当に死霊術?ソイツが嘘を吐いた可能性は?
410:名無しの守護者
それも可能性としては有るが、持っていることは確定だろう
411:名無しの守護者
纏めると
不死者A
・気配も音も無くアンブッシュ仕掛けてくる執事
・不死者Bとは主従関係
・不死者Bよりも弱い(円卓の偵察隊を壊滅させるレベル)
不死者B
・不死者Aよりも強い(身体能力&夜補正無し)
・死霊術を使う(不死者Aも死霊術で作った?)
・高性能回復持ち(死霊術の応用? ナニソレ)
・ガラハド(Bランク)をワンパンした謎の死霊術
結論:討伐軍を組んで圧殺します
412:名無しの守護者
まとめ乙
413:名無しの守護者
助かる……何コレ?
414:名無しの守護者
負けイベかな?
415:名無しの守護者
でも不死身なんだよな俺等
416:名無しの守護者
俺達は魔物だった……?
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「うっわぁ、エゲツねぇ」
「ん?どうしたんすか?藤山さん」
それは何処かの管理室、モニターに映る映像を眺めながら、システムエンジニアの藤山太一はそうドン引きの声を上げる、ソレを聞いたのは御年23歳、藤山太一の後輩である大泉月平。
「いやぁ、ちょっと前に〝世界〟が〝悪性召喚〟使ったろ?んでその時の悪性プレイヤーの数が少ないって言ってたろ?」
「あぁはい、でも強制は出来ないんで一応様子見って事になったんすよね?」
「あぁ、そんでさっき悪性プレイヤーの状況を観察してたんだが……最後のプレイヤーが、な……見てみろ」
そう言うと藤山は大泉にモニターを向ける
「え〜……アレ?此処って〝西の廃教会〟ですよね?そのプレイヤーって死霊術師でも選んだんすか?でも〝強くない〟すか?」
「あぁ、それはあれだそのプレイヤーが〝核〟を取り込んじまった」
「は?」
「取り込んだんだよ、アレを……取得条件のシビアなアレをだ、ほんのちょっとでも脳波が乱れたら取り込まれるアレを取り込んだ……で、そのプレイヤーは今全プレイヤーに討伐軍を組まれてる、ただ……ほら」
モニターを操作すると、教会の見取り図が変わる
「ヴェッ!?何これは……」
「信じられるか?コレ全部プレイヤー個人が作ったんだぞ?」
「それだけじゃ無いでしょ!?何でもう冥界が開かれてるんすか!?」
「それもそうだが、何よりこの罠だよ……コイツ」
――一人も逃がす気ねぇぞ?――




