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プロローグ



凡そ百年前、人類が生み出した新たな境地、〝仮想世界構築〟、百の年月を経て世界へ普及し、現在加速度的に進化を果たす仮想世界、最も発展を見せたのは〝娯楽分野〟、ゲームであった。


現在世界有数のゲーム企業、その群雄割拠の世界を爆走、独走している1企業〈ケイオス・ドリーム〉、彼等の創造した世界は、既存の仮想世界を凌駕する物であった。


寸分の狂いなく動く身体、自己学習する敵、完璧な人間と言える超高性能なAI、そんな物を極平然と提供するソレに、プレイヤーは畏怖を込めてこう言う。


―――史上最高の狂人達と―――




そんな化物企業が世に新たに産み落とした新作タイトル。


〝Fantasia・Another・ World〟


1から産み落とされた世界を、時間加速によって生命を作成、そこから1000年後を舞台とした、剣と魔法の世界、プレイヤーは女神の祝福を受けて不老不死の力を得た異界者として世界に降り立ち、日に日に強大化する悪神の眷属……〝魔物〟の脅威に立ち向かう……と言うのがこのゲームの主軸……なのだが。


「死ね!悪神の手先!」

「うん、知ってた」


街へ向かおうとしたその瞬間、守衛から心の臓腑を貫かれ、俺は砕け散った。







●○●○●○


遡ること約1時間前。



(おぉ、中々珍妙な体験だ)


誰一人居ない真っ白な空間で、横たわる人影と、その上を漂う光が有った……俺の身体が其処に有った。


(チュートリアルが無いってのも相変わらずだなあの会社……んじゃま、始めてしまおう)


ウィンドウを弄り、ステータス画面を表示させる


――――――――――

【名前未定】LV―

【種族未定】

【職業未定】


生命力:―

魔力 :―

筋力:―

速力:―

物耐:―

魔耐:―

信仰:―

器用:―

幸運:―


【保有能力】

無し

【保有称号】

無し

――――――――――


(見事に空欄だらけだな……取り敢えず埋めるか)


ウィンドウに触れて行く。


(種族は……人間だな)


種族ステータスにムラがない、平均的、或いは器用貧乏とも言い換えられるソレ、弱点は無いが特筆も無い種族。


(次は職業だが………剣と魔法の世界ならやはり魔法――)


【…魔術師】

【死霊術師】


――ピッ♪――

『警告――』

――ピッ♪――

『――――』


(……アレェ?何でか職業が決まっテルネ?)


ちゃうんすよ……誰だってふとした瞬間にビビッとくるモノがあるでしょ?別に敵の親友を死霊にしたいとか、死霊に貪り食わせるとか……そんな非道いことはかんがえてないよ?


(さて、茶番は兎も角詳細は)


―――――――――

【死霊術師】

魂を縛り、不浄の力を以て屍人を操る者、その冒涜から世界において禁忌と分類された力


〈死霊術の性能アップ〉

〈闇魔法の習得率上昇〉

〈光魔法の習得不可〉

〈光魔法への耐性ダウン〉

〈一部NPCの心象アップ〉

〈死霊素材ドロップアップ〉

―――――――――


(……ほほう、邪道の香り、だなぁ?)


臭う、匂うぞぉ?……コレを決定したら王道的なプレイングは不可能、絶対悪かしょっぱい小悪党への道に立たされる。


(クフフッ!良いじゃぁないか)


所詮雑多と同じなどつまらん、それならば王道から掛け離れた邪道を進むのも一興か。


(職業も決めたし名前は……面倒だハデスで良いか)


冥界の王の名前を勝手に拝借しよう、なにコレから不死者の主となるのだ、それくらい許容範囲と言うものだろう?


(後は……適当に能力入れて……ってマジか、死霊術は強制取得かよ、知ってたし取るつもりだったけど)

死霊術師なのに死霊術使わないとか卵かけご飯に卵入れてないみたいなもんだろ。


――――――――

【ハデス】LV―

【人間】

【死霊術師】


生命力:100

魔力 :100

筋力 :50

速力 :50

物耐 :50

魔耐 :50

信仰 :50

器用 :50

幸運 :50


【保有能力】

〈死霊術〉LV:1

〈闇魔術〉LV:1

〈鑑定〉LV:1

〈気配察知〉LV:1

〈魔力察知〉LV:1


【保有称号】

〈禁忌を破る者〉

―――――――――――


「………ワッツ?」


キンキヲヤブルモノ? エ? ナニソレ?


―――――――

【禁忌を破る者】

禁術と指定された魔術を好んで習得する異端者に与えられた称号


効果:多くの者に敵意と憎悪を向けられる


――――――――


成る程………ナルホド、つまりデバフ称号か、その分死霊術が強いって事だな、うん!


「ま、誰にどう思われようが構わんし、既に邪道を往く覚悟は出来てるし?いざ行かん!」



キャラクターメイクを終えると、俺の身体と俺の魂は光に包まれた。




〜〜〜〜〜〜〜


「…………ッ!」


そして目が覚めた場所は……光溢れる森の中、死霊術師的には最悪な立地と言える。


「さて……行こうか」


誰に言うでもなく、俺は視界の奥に移る……人工物へ駆け出した。





●○●○●○


「いやぁ、やはり無理かぁ……知ってたケド」


凄いね、近付いた瞬間怨憎に顔を歪めて槍で突き刺すとは……周囲のプレイヤー無茶苦茶驚いてたな……クフフッ♪


「さぁて、頑張って人類滅ぼそう♪」


折角の悪役プレイ、精々外道に卑劣に愉しむとしようか♪

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― 新着の感想 ―
死霊術師なのに死霊術使わないとか卵かけご飯に卵入れてないみたいなもんだろ。 これに対してなんとか反論を唱えようとしたが、死霊術が卵、術の素材がご飯が余りにもしっかりくるから賛同するしかなかった。
[一言] この章をありがとう
[良い点] 骸骨魔術師のプレイ日記に類する作品をずっと探してました。もう本当にありがたいです。 これからも頑張ってください! 応援してます。
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