小説とラーメン ~宣伝の重要性~
いきなりですが、すみません。何か始めちゃいました。
取り敢えず、赴くままにやってみます。
数日前、昼飯としてラーメンを食べに行った。といっても偶然のことである。仕事の都合で普段はあまり行かない方面を歩いていた際に以前まではなかった新店舗が誕生していたのだ。小説のネタになればいいなと、俺は好奇心に従って立ち寄ることにした。
都内某所。駅からもそう遠くなく、周囲には無数のビルと学校施設。立地としては最高のように思えた。しかしながら、そこの客入りは決して良いものではなかった。昼といっても一時半は過ぎていたし、時間帯というものも当然あるだろう。それに周囲に学校施設があるにしろ、高校生なんかは昼休み校舎外には出られないところの方が大半なはずだ。
不思議に思いつつ、俺は店内に足を踏み入れる。手動のドアを開いた瞬間、小気味のいい挨拶が聞こえてきた。
「へい、いらっしゃいませ!」
活気があり、第一印象は良かった。それが益々謎を呼ぶ。
俺は何となくこれを選んで欲しいと言わんばかりに選択肢上で一際目立っていた普通のラーメンと替え玉 (無料)を注文し、席に着いた。座席はラーメンチェーン店「一蘭」を彷彿させるカウンターの個別スペースだった。コロナ禍にオープンしたためだろう。ひょっとしたら、ファストフード店のようにお客の回転速度を意識したのかもしれない。詳細は定かでないが、確かにそうなっていた。
まだ新しい清潔感のある店内は、土地としては狭いながらも、余計なものが置かれておらず広々と感じる。厨房も最低限で店員が三人いることだけがやや過剰に思えた。
店員は二人が厨房で、一人が客席スペースにいた。どうやら一人は案内役のようだった。彼は先程購入した食券を手渡すように促すと、スムーズに空いている席へと誘導した。そして、そそくさと厨房に向かい注文を伝えた。なるほど効率が良い。こうすることで厨房はラーメンに専念できるのか?
数分後、先に出てきたのはトッピングだった。海苔とチャーシュー、実にシンプル。自分で具を好きなタイミングで調節できることは、少なくとも俺にはありがたかった。
満を持して登場した真打のラーメンはスープが灰色。俗に言う煮干しラーメンだった (だったも何も券売機にはそう書かれている)麺に良く絡むドロッとしたスープ。煮干しは好き嫌いがはっきりするものの、好きな人はとことん好きな奥深いジャンルである。
「あ、美味い……」
自身のラーメン遍歴が優れているとは思えなかったが、その味は確かに高レベルだと思えた。
――分からない。どうして、味も悪くなく客対応もしっかりとしているこの店があまり話題となっていないのか。
考えながらの食事ほど虚しいものはない。味を楽しむことを忘れていた俺は、あっさりと残りの麺を完食していた。
「替え玉、お待たせいたしました~」
そういえば、あったな。俺は小皿に置かれたそれを取り出して口に入れる。
「これが無料か~」
昨今の値上げラッシュや元々の都内における物価高を想定すれば、このサービスは素晴らしいものだ。小説で考えれば、人を惹きつける最高のネタ足りうる。
「……」
ここで俺は微かな違和感に気が付く。それは物凄い単純なことだった。
「これ、宣伝していたか?」
思ったら即行動。さっさと替え玉を平らげた俺は、相変わらず心地の良い掛け声に返答してラーメン店を飛び出す。
「ありがとうございました~」
俺の感覚に狂いはなかった。長方形のラーメン店外装には、替え玉無料の文字など全く刻まれていない。どこにでもあるような看板とどんぶりの絵。これでは人は惹かれない。
「そういうことか……」
ここにおいて、俺は自身が感じた違和感を言語化できるようになっていた。
要するに、この店は宣伝が不足していたのだ。中身のラーメンが美味いかどうかも勿論大切であるが、それ以上に大切なことはどのようにして大衆の目に留まるかである。リピーターをどう増加させるか、これは小説とラーメンどちらも何ら変わりない。
では、この店の宣伝不足とは何だろう。それは替え玉無料の存在をアピールしていなかったことであると俺は考えている。立地条件的にもこの店は男子高校生や大学生が主要客であるはずだ。けれども、現状では彼らが求めていることを伝えきれていない。
味を求めてきた客も、安く腹いっぱい食べたくて替え玉無料を求めてきた客も同じ客である。何を選り好みしているのか。そこで俺は自身の小説を振り返った。
「何だ、俺も同じじゃないか……」
宣伝もせず、ただ駄文を書き散らして出来上がり次第投稿する体たらく。平均PVも一日50件を超えればいい方である。
「工夫しないとな」
今まで俺自身はいいねやブクマを乞食っていた作者を確かに見下していた。しかし、それは作者にしかできない精一杯の努力なのだと、現在は考えている。
――中身が良ければ読まれる時代はもうとっくに終わっていたのだ
自身の小説がそうであるかは置いておいて、それは恐らく真理なのだろう。
だから私はTwitterを始めてみた。下記がそのアカウントなので、宜しければフォローお願い致します。
@NakanosimaReki
如何でしたか。宜しければ小説の方も読んで貰えると幸いです。