キャベツの子
子どものころ。おじいちゃんとおばあちゃんのキャベツ畑に、お手伝いに行ったっけ。
まあるいキャベツに小さな黄色いモンシロチョウの卵。
白いモンシロチョウがひらひら舞ってたっけ。
「キャベツ好きだよ」
って彼女の夢を見ました。
僕の部屋。白いカーテン。
陽ざしを背に、窓際のラグの上にちょこんと座ってる。
クッションを胸に抱えて。
「寒いね」
って。
僕は、マグカップにティーバッグで紅茶をいれました。
「キャベツ買って来よう」
スーパーのいつものキャベツ売り場。
なんとなく光って見えるキャベツを手にとると、
鼓動がきこえたような気がしました。
ふと冷蔵庫に入れちゃいけないようなきがして。
キャベツの葉を一枚また一枚めくってはがすと、
キャベツの中から光る小さな女の子があらわれました。
あっというまに成長して、やさしい女の子になりました。
帰ろう。
白い服のあの子も待ってたっけ。