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プロローグ

「どうしたら聖剣士になれるの?」


「……何だって?」


想像をはるかに超えた単語の出現にムームの瞳が揺れた。

きっと聞き間違えたんだとムームは思ったけど、


「聖剣士!僕!聖剣士になりたいよ!」


違った。


「はぁ?何て?」


耳を疑わせた単語はラースの口からはっきりとした声で再び登場してしまった。


聖剣士。


ムームが聞き返す理由は、その言葉の意味が分からなかったからではない。


ただ、少なくともその単語はラースの口から突然出るような単語ではないことは確かだった。


頭の中が白くなったムームは、首を左右に激しく振るった。


「何言ってるの? 聖剣士だなんて、いきなり」


「この本!この本の聖剣王のように僕もかっこよく剣を振りたいよ!」


意味が分からない状況に混乱して揺れるムームの瞳のすぐ前に、ラースは自分の脇に挟んでおいた本を突きつけた。


「はあ?」


慌てた叫び声をあげ、ムームはラースの手から本を奪った。



ぱらぱら。


ぱらぱら。


ぱらぱら…。



空気を引き裂くような勢いで猛烈にめくっていたページの速度が少しずつ遅くなった。


「信じられないね…」


あきれかえった状況でムームの口元で失笑が流れる。


絵本が描いているのは歴史の一部。

いや。


わずか数年前に終わったことなので、歴史と呼ぶのも曖昧なほど生き生きとした過去の話だ。


この世に存在するすべての生命の炎を消すという勢いで、亡者の軍隊を前面に出して世界に侵攻した魔神と、それを阻止するために集まった7人の勇者たち。


この絵本はまさに聖剣王と他の6人の勇者が自身の生命の代価として魔神を没落させることに成功したその日、いわゆる「夜の没落」まであった事件を子供たちの水準に合わせて脚色、かわいい絵で描かれた単なる童話だ。


しかし、問題は…。




「ラース、これは押収だよ」


「……? なんで?なんで?」


「ダメ!」



何かが間違っていることに気づいたラースが急いで赤い表紙の本を取り戻そうと小さな両手を伸ばしたけど、それを激しく押し出しながらムームはかなり強い声で制止した。


「魔法もダメ!聖剣士もダメ!なんで!」


そんなラースの反応にムームも困った様子でラースをなだめ始めた。


「はぁ…ラース。魔法は…そう、魔法なら今すぐは無理だけど、後でなんとかなるよ。でも、聖剣士だなんて、それは不可能だよ」


話し方だけが柔らかくなっただけで結論は少しも変わらない。

ムームは冗談でも嘘をつかない。


無理もない、不可能。

多分、ムーム以外の誰も同じ答えをするだろう。

なぜなら、それがこの世の本質であり真理だからだ。


「不可能?どうして?」


「どうしてだって?ふぅ…」


泣きそうな反応なら心が弱くなるのも当然だが、ムームは長いため息と共に呆れるようにラースに向かって一のページを広げて差し出した。


「だって、ラース、お前…」


そして、きちんと現実をゆっくり読んでくれた。


「デュラハンだろ」



ムームが広げたページ。

そこにはラースのように頭のない亡者一つが聖剣王の剣に真っ二つに割れる姿が描かれていた。

日本の作家になりたくて小説を書く外国人です。 誤字または間違った文法を教えていただければ幸いです。

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