表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/115

86.間を取って、そしてどうしてこうなった!?

お待たせしました。


86話目です。


すいません、いつもよりちょっと短めです。

ではどうぞ。



「うぃっす! ソルア、リーユ!」



 二人のただならぬ様子を見て、心配させまいと即座に体へ(かつ)を入れる。


 今すぐにでも眠りたいと訴える脳を、全身を。

 無理矢理にでも叩き起こした。



「どうした、そんな深刻そうな顔して」 


「……ご主人様。とても、お体が優れないご様子に見えます」


 

 しかしソルアは表情を崩さず。

 むしろ更に険しい顔をして俺のことを心配してくれる。


 リーユも同じく。

 口には出さないものの、首を何度も強く縦に振り。

 ソルアへ同意を示し、瞳を潤ませてまで身を案じてくれていた。



「……い、いやぁ、その、あれだ。一人であまりにも暇過ぎてさ、ごっこ遊びしてたんだ!」 



 クッ、そんな顔をさせたいわけじゃないのに……。


 ……あれか、陽キャ力が足りないのか。

 物語の主人公とかなら、ナデポ・ニコポで一発解決なんだろう。


 ……いや。

 俺も闇落ちしたとはいえ、さっきは陽キャお兄さんで通してたんだ。



「……ごっこ遊び、です?」



 ソルアは変わらないものの、半信半疑ながらリーユが釣れた。 



 ――行ける!



 集中して、イメージをこれでもかと(ふく)らませていく。



 ……俺は陽キャ。

 フェスで踊り狂う男!

 そして、キングオブ“わら”の名を我が物にする男!

  


「テンション爆上げで行こうぜぇ~! お姉さんたちぃ~、ス〇バのフラペチーノ追加でぇ~!」


「…………」


「……ど、どうしましょうソルアさん!? (あるじ)さん、やっぱり疲れでおかしくなっちゃってるです!!」


   

 ――ダメだったぁぁぁ!!


 

 えぇ~陽キャってあんな感じじゃないの?

 〇タバでガブガブと甘いカフェラテ飲んでるイメージなんだけど。


 ちなみに久代さんとかも勝手に常連だと思ってるが、言ったら何故か半殺しにされそうなので黙っておこう……。     



「――すいません、新しいスキルの実験してたらとても疲れてしまいました」



 これ以上の誤魔化しはむしろ状況を悪化させるだけだと判断。

 二人へ素直に説明することに。


 ……リーユには“疲れでおかしくなった”とまで言われちゃってるしね。


 

「そうでしたか……――あっ、ではむしろお休みなさるところを邪魔してしまいましたか?」



 邪魔された、とは全く思ってないけど。 

 でもタイミングとしては、ソルアがそう受け取ったとしてもおかしくないか。


 今度はソルアが。

 眉根を下げ申し訳なさそうに、それでいて今にも泣きそうな表情になってしまう。


 むぅ……仕方ない。



「いや、ちょうど良かった! 誰か来てくれないかって思ってたところ、ナイスタイミング――」


 

 努めて明るく振る舞いつつ、再び寝袋へ向かう。

 今度はしっかりとジッパーを開けて中へ入り、そうしてうつ伏せになってから二人へ告げた。



「スキルのせいで特に体の疲労感が半端なくてさ。マッサージ、頼んでもいいか?」




□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□ 



「んしょっ、んしょっ……」


「いかがですか、ご主人様。加減の方は大丈夫でしょうか?」



 笑顔で提案を受け入れてくれた二人は、献身的に俺の体へマッサージを施してくれていた。

 リーユは脚を中心とした下半身を。

 ソルアは腕や背中などの上半身を担当してくれている。


 してくれている、のだが……。

 


「う、うん……えっと、良い感じ、だよ?」



 新たな状況に頭を混乱させつつも。

 ソルアの太ももと太ももの間から返事をする。



 ――そう、今ソルアの膝枕に、なんとうつ伏せで顔を突っ込んでいる体勢なのである!      



「そうですか、良かった……よいしょ、んっ――」



 頭上から降ってくるソルアの一所懸命な声。

 それに合わせて肩甲骨辺りが、柔らかな手で揉み(ほぐ)されているのを感じた。


 ……そして体がズレ落ちるのを防ぐため、両手は掴むように、ソルアの至高の太ももへと置かれている。

 膝上までを覆うサラサラした長いソックス。

 その先で露になっている、柔らく温かな素肌。

  

 それらが直に掌へと伝わってきて……。

 余計に今すぐにでも手を放して頭を抱えたくなる。



「…………」


 

 伸ばせばソルアのタイトなミニスカート、そしてその先の桃源郷へと容易に辿り着いてしまう。

 白い(ひも)()まれた(ゴール)にシュートしてしまわぬよう、左手ならぬ両手は太ももに添えるだけ、である。


 ……いや、何言ってんだ俺は?



 疲労感ももちろんあったが。


 それをまるで狙い撃って溶かすよう、俺のためを思ってマッサージしてくれているのが伝わってきて。

 全てを二人に任せてしまいたくなる心地よさがあり、思考も一緒に溶けて手放されようとしているみたいだった。



「――んしょっ、んしょっ……(あるじ)、さん。一杯、一杯、気持ちよくなって、ください!」



 ソルアだけでなく。

 この状況を作り上げているもう一人、リーユも健気に頑張ってくれていた。



「えーっと、リーユさん? あんまり動かれると、その、“真下にいる”俺がちょっと、あれと言いますか――」



 だがソルアの脚に挟まれ声が下へとくぐもったためか。

 残念ながら、俺の言葉は寝袋内にいるリーユには届かず。


 

 ――そう、リーユさん。通常は一人用の寝袋に俺と一緒に入って、“直に”俺の体を触っているのだ! 



 ……何でこんなことになってんだ。

 (リーユ)は“マッサージしないと出られない寝袋”にでも潜ってるの?



「――あっ、んんっ! ……あの、ご主人様? その、横を向かれると、脚が、その、くすぐったいですので……」



 すいません!


 横を向いてもう一度声をかけようとしたために、息が太ももにかかってしまったらしい。

 ソルアさんにグッと来るような声で、じっとしてろとお願いされた。 


 店員(ソルア)さん、ここって健全なことしかないマッサージ店で合ってますよね?



「よいしょ、んしょ――」



 ……とはいえ、やはり二人が純粋な気持ちで頑張ってくれているのは、しっかりとこちらにも伝わって来た。

 だからこそ無下にし辛いというか、途中で(さえぎ)り辛いのもあるんだけど。



 癒しの力に秀でるリーユは特に、直に体へ触れることに意味があるらしい。

 脚にある凝り固まった疲労が、リーユの触れる先からジワーっと溶けて消えていく感じがした。

 


「リーユ、苦しくないか? (そっち)側もジッパー開けてるとはいえ、息し辛かったら無理せず出てくるんだぞ?」



 今度はソルアの脚に当たらぬよう注意し。

 顔は動かさず、気持ち大き目にして声をかける。



「あっ、はい、大丈夫、です! ……でも出る時、その、主さんに色々、当たったらすみません」  



 配慮したこともあり今回はちゃんと聞こえたらしく、返事があった。

 恥ずかしそうにちょっと曖昧な言い方をしているが、何を言いたいのかは……うん、分かるよ?


 ……これ本当、色んな意味でうつ伏せでよかったよ。



「…………」

 


 ――いや、そもそも俺が最初から寝袋に入らず頼めば、もうちょっとマシな状況になっていたのでは?



 マッサージを頼むのだから。

 男に直接触らない方が、女性としては気が楽かなという配慮だったんだが……。


 

 疲れの多くがようやく抜け、頭も次第にクリアになって来て。

 疲労で思考に霞がかった自分のダメさ加減に、やはり頭を抱えたくなったのだった。




タイトなミニスカ美少女にドエッチ太ももを枕にしてもらって、なおかつ別のビキニアーマー美少女に狭い寝袋で密着されたい人生だった……(灰)


すいません、短めで。

最初からイチャイチャ回と決めていたのもあり、あまり話を進める気になれず。

明日、というか今日?もまた1話、多分頑張って書くので勘弁してください。


話は変わりますが、ブックマークが確認した段階で9000件を突破しました。

大台の10000件まで、とうとう残り1000件ですね。

更新、頑張ります!


感想も、日々とても嬉しい内容を送っていただき、本当にありがとうございます。


ブックマークや評価など、数字上の増加ももちろんですが。

感想やいいねなどの反応も、確実に執筆のための原動力になっております。


今後とも当作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] うらやまけしからん! 他の住人が見たら、事案ですよ事案
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ