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83.一線を画すスキルの数、敵の切り札、そして大人の理不尽さ!

本当、更新する時間帯がバラバラですいません。


83話目です。


ではどうぞ。


<奪うスキルを選択してください>



[候補スキル一覧]


①蹴術Lv.4 


②身体強化Lv.1


③筋力上昇Lv.1


④敏捷上昇Lv.1


⑤拳術Lv.2


⑥修羅属性Lv.1


⑦属性強化Lv.1




「っ!!」



【スキル盗賊団(バンディット)】にて候補一覧を盗み見て、改めて内心大きく驚く。


 ……なんてスキルの多さしてやがる。

 しかも揃いも揃って戦闘関連のスキル。


 先日まで久代さんや来宮さんと行動を共にしていた、あの男子コンビですら2つ程度だった。

 俺はもちろん“数”だけで言えば上回っているが、それは【異世界ガチャ】という特性上むしろそうなっていないとダメだろう。


 つまり千種(コイツ)はスキルだけで言っても、明らかに一般的な生存者(サバイバー)とは一線を画す強さを持っているのだ。



「さて、そんじゃ行くか――」 

 

 

 千種の表情。

 戦闘に対する気負いや緊張感は一切感じられず。

 まるでこれから楽しい祭りでも始まるかのように、高揚した表情で攻撃の溜めに入っていた。

 

 ……君って何、バトルジャンキーか何かなの?

 いや本当、勘弁してくださいよ。


 俺はまともに戦う気は無いって。


 先ずは戦意・戦力を削るためにも【スキル盗賊団】で――



「――ってうぉっ!?」



 気づいた時にはもう目の前まで、千種の姿が迫っていた。

 床を蹴るモーションがまるで見えなかったぞ!



「っ! しぃっ、おっと!」



 ファム無しだが、それでも何とか攻撃をかわしていく。


 成長した【索敵】が、常に脳内で(ちぐさ)の客観的な位置把握を可能にしてくれている。 

【パーティー機能】で、来宮さんからもたらされる敏捷値の底上げも大きい。 

 また、リーユのガチャ時に得た結晶で【危険察知】もLv.2にしていたのが良かった。

 

 アトリと同等か、もしくはそれ以上のスピード。

 たとえ肉眼では完全に追いきれない速度でも。

 事前にどちらから危険が迫っているかが分かれば、対処は十分可能であった。

  

  

「フッ、やっぱ、これじゃあ当たりもしねぇか! じゃ、こっからはガチで行くぜ――」  

 


 回避され続けているというのに。

 千種はその事実が、まるでとても嬉しいことのように無邪気に笑う。

 探し求めていた運命の相手に出会えた喜びを、じっくりと噛みしめるかのように。



 ――そしてその次の瞬間、千種が(まと)う空気が一変した。



「はぁっ!!」


「ぃっ!?――」


 

 千種の鋭い左拳が、初めて俺の腕にめりこんだ。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□



「っ!」



 防いだ右肘に、黄色い光が薄く走る。

 オーラのように一瞬だけ(まと)われたエネルギー体が、ダメージを代替してくれた。


 昨日のマナスポット獲得で得た称号、その恩恵だ。




旗を立てし者(フラッガー) 代替旗(インステッドフラグ)

 

 残量:89/100




 ――今のでHP約10も削られたってのか!?


  

 衝撃だった。

 実験で、モンスターに真正面から攻撃させても2しか減らなかったのに。


 ホブゴブリンから奪った【身体硬化Lv.1】、しかも今はレベルアップしているのに加え。

【危険察知】と同じく、リーユのガチャ時に得た【耐久上昇】のスキルまである。

 

 それなのに。

 代替分とはいえ、一撃で10もHPが消し飛んだのだ。

 これが実際のHPだったらと考えただけでゾッとする。



「ハハッ! ようやく良いの一発、入ったなッ!」

     


 千種はまるで格闘ゲームでも楽しんでいるかのような気楽さで、次々と攻撃を繰り出してくる。

 鋭い蹴り、突き、回し蹴り、また突き……かと思えば掌底。


 

 一撃食らってしまったため、さらに回避へと動きを特化させた。

 それでも何発かに1回はやはり避けきれず、仕方なく防御でやり過ごす。



「ッ――」 



 千種は、明らかに最初以上の速さとキレを見せている。 

 これ以上は無いと信じたいほどだ。



 ……ん?



 回避のためにと目をこれでもかと()らしていると、あることに気づく。




「フッ、どうしたよっ! 反撃、しないのか? 防戦一方、ってか!」




 安い挑発には乗らず、その違和感の正体を突き止めることに神経を注ぐ。



 ――青黒い光が、常に千種の周囲に走っている。



 しかもそれは集中して意識しないと、認識として捕らわれてくれない。

 まるで稲妻のように、見えたと思った次の瞬間にはもう思考の後方へと過ぎ去っている。

 

 それが常に連続して、千種の周りを(まと)っているのだ。



「ふんっ! いや、ちょっとね! 常に狩る側だと思ってる奴ほど、良い的は無いな、と思ってさ!」


 

 隙の一つでも作れればという思いで、【操作魔法】を発動。


 付近に落ちていた園芸用の小さなスコップを、拾えるだけ拾い集め。

 (とが)った先を向けて、死角から千種に撃ち出す。


 

「!? チッ――」  



 あえて忠告ととれる軽口を言ってやったこともあって、やはり千種はそれに気づき。

 俺から離れるようにしてそれを回避した。


 そして警戒してか、あの猛攻は一時的に止む。


 

「……なるほど、それがあんたの切り札ってわけか」



【操作魔法】というからくり全てを解明したわけではないだろう。

 それでも今のが、そしてさっきの落下物が、俺の意図によるものだということは完全に見抜かれたようだ。



「切り札? ……はて、何のことか」 


      

 それはバレてしまったが、軽口の応酬であえて(とぼ)けてみせたようにとれる以外にも。

【時間魔法】という真の切り札が残っているため実際に的外れだという意味、その両方を含んでいた。 


 お互いの手の内、それも重要な一枚が飛び出たタイミングでの仕切り直し。

 その僅かな静止の時間で、俺は【スキル盗賊団】で狙うスキルを絞り切った。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□ 

 

 


<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【修羅属性】



[使用Isekai]


□100Isekai


成功率……2%



現在保有Isekai:6171





 ――これだ、千種のドーピングのからくりは【修羅属性】に間違いない。






<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【身体強化】



[使用Isekai]


□100Isekai


成功率……22%



現在保有Isekai:6171





【スキル盗賊団】の施設レベルに対応した、他のLv.1のスキルを対象に試すとその裏付けができる。





<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【敏捷上昇】



[使用Isekai]


□100Isekai


成功率……35%



現在保有Isekai:6171



 



 同じ“使用Isekai 100”であるにもかかわらず、成功率が一つだけ桁違いに低い。

【操作魔法】と【時間魔法】、あるいは【身体強化】と【身体硬化】のように。

 スキル間で、やはり質の違いが確実に存在する。

  

 そして100Isekaiつぎ込んでも成功率が2%しかない【修羅属性】が、千種(コイツ)にとっての奥の手なんだ。



「はぁ、はぁ……やっぱり俺の目は間違ってなかった。――あんた、どの生存者よりも強ぇよ」



 あれほどの動きをしたのだから当然と言えば当然だろうが、千種の息は上がり始めていた。

 こちらの攻撃・反撃は一度たりとも命中していない。


 それにもかかわらず、疲労感がうっすらと表情に(にじ)みだしている気がする。

 ……さっき【修羅属性】を“ドーピング”と表現したが、あながち間違いではないのかもしれない。

 


<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【修羅属性】



[使用Isekai]


□100Isekai


成功率……3%



現在保有Isekai:6171




 さっきは2%だった成功率が、同じ“使用Isekai 100”であるにもかかわらず、3%に上がっている!

 ホブゴブリンの時もそうだったが、疲労・弱体化させる前後で成功率は上下した。


 つまり、何もしなくとも千種は【修羅属性】で継続ダメージを受けている可能性があるのだ。

 


「……だが、勝つのは俺だ」



 しかし、そのデメリットに焦りを感じている様子もなく。

 純粋に。

 ただ自分の勝利を信じて疑わないその姿は、むしろ好感さえ覚えた。



 それほどまでに自分の強さを、自己を肯定できるってのは、俺にはできない(まぶ)しい生き方だ。




「――ま、世間の厳しさを教えるのも年長者の務めか。……誰しも負ける前はそう言うものだよ」  

    



 とはいえ、だからと言って勝ちを譲る気はさらさらない。

 不良ってあり方も、別に羨ましいとは思わないしね。

 



<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【修羅属性】



[使用Isekai]


4171Isekai


成功率……81%



現在保有Isekai:6171





 リーユのガチャで思った以上に余ったIsekai。

 その約2/3を、一気に投入。

 そしてそれだけでは終わらない。



<使用するIsekaiを決めてください> 


 対象:【修羅属性】



[使用Isekai]


4171Isekai+700Isekai


成功率……90%

※700Isekai分決済:【パーティー機能】SOMA


現在保有Isekai:6171


 



 水間さんが加入してくれたことによってもたらされる【パーティー機能】の恩恵。

【商人】である水間さんは、【施設】で利用するIsekaiを代替するものだった。


 その700Isekai分をフルチャージし、成功率はなんと9割に乗ったのである。




「さっ、大人の理不尽さを学ぶ時間だ――」




 ――“金”の力、思い知れ!!

 



「っ!?」  



 銀色の弾丸が無数に現れ。

 千種を埋め尽くさんばかりに飛来する。

 


「くっ、この――」



 もちろん千種も黙ってはおらず、(おびただ)しい数の弾丸から逃れようと必死に動きまわる。 

 だがどれだけのスピードで逃げようと試みても、その願いは叶わず。


 奴の体へ次々と衝突していっては、瞬く間に全身を銀色へと染めていった。

  


 そして――




<結果報告――スキルの奪取に成功しました! 詳細:【修羅属性Lv.1】>


  


 勝負を決する相手の切り札を、奪い取ることに成功したのだった。



[ステータス]


●基礎情報


ジョブ

①ガチャ師Lv.3

②魔術師Lv.2

③冒険者Lv.1



●能力値

Lv.11

HP:47/47

MP:43/69 (※パーティーレベル+7→50/76)


筋力:50 (※パーティーレベル+5→55) 

耐久:11(装備+5)(【身体硬化】+35)(【耐久上昇】+4)

魔力:34 (※パーティーレベル+7→41)

魔法耐久13

器用:18 (※パーティーレベル+1→19)

敏捷:21 (※パーティーレベル+5→26)



容量53/58(③[●●●●●●]+④[●●●●●●]→65/70)

↓(※パーティーレベル+7)

容量53/65(③[●●●●●●]+④[●●●●●●]→65/77)

↓【修羅属性Lv.1】追加後

容量63/65(③[●●●●●●]+④[●●●●●●]→75/77)


●スキル

【異世界ガチャLv.3】

【身体強化Lv.3】

【MP上昇Lv.3】

【索敵Lv.2】

【時間魔法Lv.1】

【操作魔法Lv.3】

【セカンドジョブ】

【状態異常耐性Lv.10】

【剣術Lv.1】

【身体硬化Lv.2】

【HP自動再生Lv.1】

【火魔法Lv.1】

【チームワークLv.1】

【魔力上昇Lv.1】

【危険察知Lv.1】→【危険察知Lv.2】 

【耐久上昇Lv.1】

【修羅属性Lv.1】(New!)

当初はもうちょっと早く更新できる予定でしたが、執筆中とあることに気づいて……。


作者「……あれっ、そういえば最新のステータスってどこだっけ? 何話のプロットに下書きあったっけな――」

↓捜索

作者「うそっ、ない、ない! えっ、リーユの時のガチャ結果、反映したステータスってやってなかったっけ!? それかどこに保存したか忘れちゃった!?」

↓捜索

作者「も、もう一回ステータス、やらないと……(絶望)」


長く間が空くと、設定の詳細を忘れる以外の弊害もあるんですねぇ……(遠い目)


また沢山の方に読んでいただけているようで大変ありがたく嬉しい限りです。

久しぶりに自分の作品がランキングに乗ったのを見て非常に感慨深い思いでもあります。


今後も更新を頑張ってまいりますので、当作品をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] スキル奪ったところでこのまま退場となるには勿体無いスキル 生存者側にも今後千種のような強いキャラでてくるんだろうな。
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